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『江戸風雅』第七号が文成印刷から届けられた。
全三五〇頁ほどの大冊だ。
我が国の最初の『金瓶梅』の翻訳(ただし第十一回まで)である『原本訳解 金瓶梅』(明治十五年刊、松村操訳)を一挙掲載したのが、かくも厚くなった原因だ。
しかし、この原本二編は、今や稀覯本であって、揃いで古書肆に出ているのを見たことがない。かように入手しにくいものを読み易い形に直して掲載したのだから、多少の意義があろうと、いささか自負している。
松村操の訳は、意訳の部分もあるが、原作のエロチシズムを、明治の翻訳にしては、かなり濃厚に伝えている。楽しめるだろう。
『傾城水滸伝』の翻刻も七十八頁に亘るもの。馬琴が検閲の名主から注文を付けられて、本文や挿絵を直した痕跡を丁寧に解説している。江戸時代の検閲の実態が具体的に知られる貴重な資料と言える。
広瀬旭荘が秘かに江戸城内に入って将軍たちの観能を覗き見した、という希有な体験を、詳しく伝えている「広瀬旭荘と江戸」も、歴史の面白さを伝えていよう。
その外、新資料、新見解が満載されている、と自画自賛しても、そんなに恥かしくないものだろう。
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