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 このたび『江戸風雅』の別集として『増訂 原采蘋伝』(約240頁)をソフトカバーの単行本として刊行致します。11月中旬の予定。
  
 定価は、『江戸風雅』と同じく3千円で、サービス値段と言えましょう。

 原采蘋は、江戸時代の女流漢詩人の内でも最も力量のある詩人で、単身で全国を旅して廻った、というユニークな個性の人です。
 
 購読会員には『江戸風雅』と同様に送りますが、会員以外の方には定価で販売致します。当会に注文戴ければ幸いです。
 神田神保町の山本書店にも置いてあります。

 以下は、その序文です。

 
   『増訂 原采蘋伝』序
                        徳田 武

 本書は、春山育次郎(誰賞談客)著『日本唯一の閨秀詩人原采蘋』(昭和三十三年十月十五日発行。非売品。発行者、原采蘋先生顕彰会代表 戸原多助。印刷所 福岡県甘木市下新町 松尾菊次郎)を翻印し、それに徳田が引用漢詩文には総べて訓読を施し、その殆どに解釈を加え、更に新たに知られた事実などを相当に加えたものである。また、原著では、近藤思川による「読売新聞『采蘋伝』の筆者春山育次郎に就て」と、戸原多助による、その「追記」とが巻頭に掲げられているが、本書では、それらを巻末に廻した。

 春山著書は、元来、読売新聞に大正二年十月十六日より翌三年三月四日まで、七十三回に亘って連載されたものであり、それを戸原氏たちが読売新聞の許可を得て、謄写印刷したものである。しかし、春山稿は、第五十五章で途切れており、第五十六章から第六十章までは山田鉄崖の『原古処、白圭、采蘋、小伝及詩鈔』(秋月公民館、昭和二十六年刊)の文章が抄録されている。そして、第六十一章からはまた春山の稿となり、最終章の第六十三章に到ったようである。このような内容であるが、一応これを春山著書と称しておく。

 この春山著書は、原采蘋の伝記研究としての基礎的な業績であり、今後もなお参照してゆかれるべき内容を備えているものであるが、今から見れば、粗悪な紙に謄写版で刷られており、保存に堪えないし、読みにくいものである。それが一要因になってであろうが、現在では古書展などで見かけることも無く、入手し難いものになった。稀に九州の古書展の目録などに出る場合があるが、そうした稀覯書ゆえに、意外な高値が付けられている。そこで私は、刊行されてより五十五年を経た今、これを再刊したく思い、更には新味を付加することをも考慮し、訓読・解釈・増補をも行ったのである。

 また、右の原著は、誤字・誤植が少なくない。それは、もともと読売新聞掲載時から存したのか、それとも謄写される折に生じたものなのか、調査はしていないが、とにかく気の付く限りは訂正しておいた。更に原著の漢字をも仮名に開いた場合が少なくない。もう一つ断れば、新たに施した訓読は、殆どのものを新仮名遣いにしておいた。それは誰賞談客の文章が時代を反映して難しいものであるので、少しでも分かり易いものにして、当代の人々に読んでもらいたく思うからである。

 なおまた、私がこれまで書いたものの中には采蘋が登場することが結構あった。たとえば、采蘋と広瀬旭荘が関係深いことは、本書を繙けば容易に気がつく事であるが、従来、旭荘に関心を寄せて来た私の文章には自ずから采蘋が出て来るのである。そうした文章は、(徳田補)という断わりを冠した上で、然るべき箇所に挿入した。

 というような次第で、本書において私が増補訂正した量は少なくないので、書名を右のように定め、更に「徳田武増訂」という五文字を付したのである。

 謄写版で読みにくい故にOCRが出来ず、結構量のある原著の本文をパソコンに打ち込む外は無かったが、この辛くて厄介な作業を長田和也君と山形彩美さんが快く引き受け、今夏の猛暑を凌いで完遂してくれた。二人の協力が無かったら、本書のように労多くして利益少ない書物はできなかった筈で、感謝の言葉を見つけようがない。

 また、巻末に一応の人名索引をも付したが、これまた長田君の手を煩わせた。

   平成二十五年十月八日

 付記  武藤正行著『勤皇家戸原卯橘』(昭和十九年十二月刊)に「閨秀勤皇詩人」というユニークな采蘋論があるが、その成果を本書では取り込んでいないので、いずれ『江戸風雅』に再録する予定でいる。                        

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