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  六 松陰と月性との交渉

 その後の松陰と月性との交渉を幾つか拾っておこう。
 安政三年三月二日には、月性が松陰の『獄舎吟稿』に批点している(「月性年譜」)。
 同年三月十二日付け河野数馬宛の松陰書簡に、

(前略)清狂が詩二冊差出し申し候。此の類、先日富永君(筆者注、有隣)へも出し置き候間、仰せ合 されいづれ様になりとも御写し頼み奉り候。(後略)
三月十二日              松本の無名氏(筆者注、松陰)
獄中先生 足下

というのは、月性から松陰のもとに送られて来た『乙卯稿』の副本を牢内の河野や富永に差し入れし、写させようとしているもの、と解せるであろう。

 同年四月某日には、月性が松陰の『乙卯稿』を閲し、『咏史』『獄舎吟稿』を批評している(「月性年譜」)。

安政三年六月六日以前、月性宛て松陰書簡に、                                 
欄板、早速御貽り下され拝受仕り候。誠に佳刻目を拭ひ候。(中略)
  僕に与へ給ふ毎句韻長篇は今に御録詩賜はらずや、渇望し奉り候。

というのは、門人天野御民の「松下村塾零話」(定本『全集』第十巻)にいうように、半紙十行二十字の藍色の竪横罫(けい)版が月性から贈られたことをいうのであり、以後、松下村塾ではこの罫版が用いられるようになる。また次の録詩云々とは、前引の長詩を月性の吟稿にまだ録入していないのかという催促であろう。


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