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 ○『江戸風雅』第十八号編集後記

 徳田武の「川田甕江年譜稿」は、三島中洲・重野成斎と並んで明治の三大文章家といわれる川田甕江の消息が、依田学海の日録に詳しく記されていることを利用して、甕江の年譜を編んだ試みである。その結果、修史館を辞めた事情や、妾に関する苦労等は、かなり詳細に明らかにし得た、と思う。だが日録の記載は多く、それらを拾い上げ、文章を整え、内容を要約解説するだけで、締め切りは過ぎ、分量も優に新書のそれを超えるに至った。甕江資料には、なお『魚水実録』『随鑾紀程』『得閑瑣録』など多数存するのだが、今回はそれらを十全に使用するまでに至らなかった。なお補充を期するものである。

 岩田恭氏の「曾祖父・菱田海鷗の妻、一色奈みの家系と一色氏の人物像」は、筆者の先祖である一色氏の成り立ちと家系の流れについて概観したものである。次に、一色氏の中でも特にそれぞれの時代で活躍し、注目すべ人物として金地院崇伝、一色直朝、一色直温に加え、姻戚筋にあたる岩瀬忠震を取り上げ、その人物像に触れつつ顕彰を行った。最後に筆者は天命を賭けて国のために尽力した一色氏及び関わる偉人たちの功績を、現代社会に活かしていくための研究を継続して行うことを結語とした。

 鈴置卓也君の「林鶴梁自筆稿本『乙巳稿』の紹介とその特徴」は、群馬県の高崎市立図書館内の俳山亭文庫に所蔵される、幕末の名代官で、甲府の徽典館学頭を勤めた林鶴梁の自筆稿本の概要を紹介したものである。それには文章十七点、詩十六点が収録されており、文章には明の唐荊川の影響がある、とする。また詩には、甲斐の風景を李白の詩句を踏まえて描写した作などがある、という。今後、この新人が更に該書の内容や性格について深く研鑽することを期待するものである。

徳田武・神田正行「曲亭馬琴『千代褚良著聞集』第一輯 翻刻と影印」で紹介するのは、短編白話小説集『拍案驚奇』の中の二つの話を翻案した馬琴合巻である。「趙六老舐犢喪残生 張知県誅梟成鉄案」に基づく袋田家のエピソードは、過度に甘やかされて育った親不孝な息子が、父親を殺害するに至るまでを詳細に描いている。一方、「西山観設籙度亡魂 開封府備棺追活命」を藍本とする辛須賀家の物語は、母親の不貞に心を痛め、あの手この手で妨害を試みる少年を主人公とする。第二輯では、荒木村重が両家の内紛を裁くことになる。
                            徳田 武
 平成三十年十一月十五日

筆者紹介
徳田 武(明治大学名誉教授)
岩田 恭(群馬大学社会情報学部協力研究員)
鈴置卓也(二松学舎大学大学院文学研究科博士前期課程中国学専攻)
神田正行(明治大学准教授)

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