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弘化三年二月の詩群で最後の作。
春 雨
四檐雨声転作寒 四檐(しえん)の雨声 転(うた)た寒を作(な)し
小楼枯坐発書看 小楼に枯坐(こざ)し 書を発(ひら)きて看る
初覚入春晷方永 初めて覚ゆ 春に入りて 晷(ひかげ)まさに永きも
一巻兵韜読易残 一巻の兵韜(へいとう) 読んで残(のこ)し易きを
四方の軒に雨垂れがして、いよいよ寒さがつのり、
小さな二階家にじっと坐って書をひもとく。
初めて気が付いた、春になってから日が長くなったが、
(却って気が散り)一巻の六韜(兵書)も読み残しがちであることに。
この詩は、転結句の解釈が難しいが、日が長くなると却って読書の集中力が落ちるという逆説を発見したことを詠じたもの、と考えられる。
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