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君は聞いていないか、地球の周回は九万里あり、
航海する夷狄の諸国は同一の水に由っていると。
大輪を蒸気で急速に回転させる船は、
千里の波の上をも一瞬の間に進み、
東西の海を遠近となく行き、
通商し領土を切り開いて窮まることが無い。
我が国は神聖な山々が海を廻ってそばだっており、
険しい崖やかくれた岩が天然の塞をなしている。
さいわいに朝廷の紀律は堅固で三千年続いており、
夷狄から侵略されるような恥は無かった。
東海のアメリカは元来、愚かな国であったが、
近頃、幕府に請い求めて通商を開いた。
長年続いた朝廷の紀律は忽ち緩み、
とうとう神聖な日本の土地を割き与えて、獣のような輩を養うようになった。
伊豆の南の港の下田のほとりに、
人間と獣とが雑じり合って、足跡がくっつくほど。
国内の難儀はこの時から始まり、
いったい誰が憤って歯を喰いしばらないだろうか。
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