ぶなちろくんの昆虫エッセイ

昆虫観察の視点で書いたショートエッセイです。皆さん読んで下さいね。

飛んでいく春


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   カタクリの花も風邪をひきそうな日曜日の午後
 
  春の女神「ヒメギフチョウ」を画像に写そうと
 
  自然観察の森まで赴く

  
    曇り空から小雨がちらつきタイミングは最悪

  撮影を諦め仕方なくセンター内の展示写真を写す




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  何だかとても虚しい・・・・・・・・・・・・・・

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  センター内には
 
  『インセクトマップオブ宮城』(宮城昆虫地理研究会)
 
  のバックナンバーも置いてあった

  表紙の昆虫イラストがとても素晴らしい

   (実は私も昨年から会員になったのだ)

  中身は県内のチョウやトンボ等の採集記録が圧倒的に多く

  県内のチョウ屋さんにとっては参考になるものばかりだ

  
   「せっかく会員になったのだから会費を納入するだけでなく

  今季は記事も投稿してみようかな・・・

  虫とのつきあい方は人それぞれバラエティーなのだから
 
  学術的な採集記事でなくエッセイ的な内容にしようかな」

  そんなことを考えながら

  せっかくだから展示室の昆虫ビデオを鑑賞し帰宅した

 
 
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   次の日曜日

  平地ではソメイヨシノも満開だ

 
  調べるとサクラの種類は国内だけでも30種以上あるらしい

  
    ソメイヨシノにタマムシが付いているのは見たことがない

  
    タマムシが付くサクラの老木は別の種類なのかもしれない

  
    そんなことを思いながら満開のサクラの花を写し続けた

 
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           午後再び自然観察の森を訪れる


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  職員の方に聞くと
 
  「午前中ヒメギフチョウが飛んでいましたよ
 
  という返事

  
  終わりを感じるカタクリの花を眺めながら

  ヒメという名の付くチョウを期待しながら待つ


   その時

   1頭のヒメギフチョウが頭上を舞うのが見えた

 
  急いでカメラの準備をするがいつの間にか視界から消え
 
  画像が撮れない

  
  気温も低くなりあっというまに姿を見せなくなった

  
  既に交尾や産卵も終えてしまったのだろうか?

 
  結局確認できたのは画像に撮れなかった1頭のみ・・

  
  
  わずかな時間を見つけての観察だったが

  今季の春はもう飛んでいったのだ
 
 
                      平成29年4月9日と16日の日曜の午後 

                             自然観察の森にて




        虫たちとの出逢いも運とタイミングに左右される
 
        虫たちのリズムに
 
        自分自身のリズムが全く合わないこともあるのだ
 
 
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愛しのタマムシ

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 新しい季節がまた巡ってきた


 この時期は暖かくなってきたと思ったら


 寒くなったりで体調が崩れがち


 ヤナギの木枝からもたくさんの花が出てきた


 何かと忙しく


 自分の中では新しい季節をまだ確認できていない


 周辺の山にはカタクリの花が咲き始め


 ヒメと名のつく蝶たちが蜜を吸いに来ているらしい


 (土日の天気がよくないので今年は逢えるかな・・)


 今年の冬は昆虫観察から完全に離れていた


 本格的な活動開始の前に


 「もっと観察を深めたい」


 と感じている虫たちを不定期で紹介したい


 
 今回は 日本一の美しさを持つ


 「ヤマトタマムシ」だ


 多くの人たちにとっても憧れの甲虫だ


 約8年前に羽化したばかりの1頭を


 実家の裏山にある1本の老木で初採集した


 その標本は年月が経っても未だに色あせないが


 虫に食われたのか頭部が少し欠けてしまっている


 夏に裏山を覗いてみると竹藪が深過ぎて侵入ができない


 まるで「天然の要塞」になっていた


 8年前とはずいぶん変わってしまった


 あの夏は奇跡のようなタイミングで採集できたのかもしれない


 もしあの時


 タマムシとの出逢いがなかったら


 昆虫ブログを書こうとはしなかっただろう



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 時は過ぎて昨年の夏


 幸運にも某県の「ヤマトタマムシ」1頭を購入できた


 この「ヤマトタマムシ」の輝きを見てほしい


 自然界にはこんなに美しい昆虫がいることに改めて驚き感動する


 
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 観察して改めて感じたことは同じ甲虫のクワガタ等と異なり

 分からないことがとても多く飼育がとても難しかったことだ

 羽や腹部はゴキブリのように柔らかく

 指に力を入れて摘まむと潰れてしまいそうだった

 何故か上へ上へと登っていく習性がある


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 カミキリムシのように小さく丸い糞もする

 成虫が主食としているエノキの葉が手に入らず

 近所の桜(ソメイヨシノ)の枝葉やリンゴを与えてみたが

 まったく口にしなかった

 ネットでも調べては見たが分からないことが多すぎて

 貴重な生態が4日ほどで×になってしまった

 ♀を飼育したらも飼育したくなるのだが

 ♂は夏の暑い日にエノキの高い部分を飛び回り続けるため

 竹竿のような超長い捕虫網が必要らしい

 フィールドを探す時間も余裕もないゆえ未だには幻のまま

 フィールド採集は夢のまた夢だ

 運がよければ今年の夏もぜひ購入したいものである

 
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 この貴重な「ヤマトタマムシ」を飼育して増やそうとしている

 先生をブログで知った
 

 『千年の輝き〜ヤマトタマムシ生育の秘密〜』知玄舎発行

 など数少ないタマムシの書物も書いている芦澤七郎先生だ

 
 先生は中学生の時に初めて「ヤマトタマムシ」に出逢った

 そのことが忘れられず

 50代半ばに本格的に飼育・観察を始めたと著書に記している

 
 著書には生きたタマムシを手に入れ

 飼育・ブリード等に成功するまでを簡潔にまとめているが

 その苦労は並大抵ではなかっただろう

 
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 そのようなヤマトタマムシではあるが

 宮城県では絶滅危惧種I類に指定されている

 生息数そのものが少ないので採集・飼育は大変難しく

 保護しなければならない甲虫でもある

 採集しようとして採集できる甲虫でもないのだ

 

 私も50代半ばになる

 ライフワークとしての昆虫観察

 芦澤七郎先生のヤマトタマムシに限らず

 昆虫とのめぐりあいを家族同様に

 「めぐり愛」

 にまで高めていきたいと感じている

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  平成2943() 
    
            平和は私から始まる  感謝

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              ※ 現在(4月23日)の裏山の画像
  
   手前の老木がタマムシが羽化した老木である
   画像には写っていないが竹藪におおわれ周辺にはヤマザクラが咲いている

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真冬のミヤマクワガタ

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  昨年購入した福島産ミヤマクワガタ♂が生きていた

  先月の大晦日に×になったと思ってそのままにしておいたのだ

 年度を改め標本にしようと思いお湯をかけたら動くではないか


 自分の体液を低温化させて「コールドスリープ」していたのかもしれない


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   1月なのに黄金の毛がとても美しい状態のままである
   
   ♂の大きさは約66ミリほどだ


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   1ケースに1頭の状態で保管していたため傷もなく美しい

    昨年3月18日まで長生きしたミヤマクワガタ♂でさえ
   この時期は身体はボロボロで
   脚も欠け美しい状態ではなかったのに・・・


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気温が低下すると
脚が突っ張ったまま身体のバランスがとれず
仰向けになったまま仮死していることが多くなった

(てっきり×になってしまったと思い込んでしまった)

動きも悪くなってきたが突起口を伸ばしゼリーを舐める

(自分はというと寒いこの時期は何故か
鬱っぽくなり悲しくてたまらなくなることがある
更年期障害なのかもしれない)

寒さの中で強く生きている生き物たちから学ぶことはたくさんあるはずだ

平成29年1月9日(月) 成人の日

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ラスト・ヒメ

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  秋深し10月に入った
 高山では木々が落葉し色鮮やかな紅色に染まる
 平地の樹木も後を追うように色づいてきた
 今季は虫の活動時期と天候のずれを感じた
 
 台風も多かった
 そのせいなのか収穫も例年より少なく感じた
 
 それにしても眠い
 秋の夜はコオロギの鳴き声が眠りを誘い
 目が開けられなくなる
 茶の間でパソコンを開いても眩しい光が眠りを誘う
 肉体労働をしているわけでもなく
 運動もしていないのにすぐに疲れてしまうのは齢のせいなのか?
 

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   久々に晴れた先月の25
 今季の最後に山歩きをした
 採集を含めて
 総計5時間強を自分一人で歩く
 ここは息子と開拓した思い出の場所
 廃道化がどんどん進み
 現在はゲートが閉じられたままだ
 
 今年もここを歩いて
 『ラスト・ヒメオオ』
 にしようと決意した
 
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   クマよけの鈴を鳴らしながら
 クリの毬が落ちている道を長靴でゆっくり歩く
 道は舗装されているが人の気配が全くない
 まるでゴーストタウンを歩いている感覚になる
 
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   カツラの木の甘い香りが一面に広がる
 
 標高が高くなるにつれ下界の景色が見えてきた
 足元を見るとカビの生えた大きな糞が3〜4個ほど
 「ツキノワグマのものだろうか?」
 笛を何度か鳴らすが不安が強まる
 トンネルをくぐると
 栄養がいいのか大きなセンチコガネが飛んできた
 2時間ほど歩き続けるとかかとの皮がむけて痛い
 
 「誰もいないこの道でクマに遭遇したら逃げられないかも・・」
 そんなことを思いながらまた歩く
 

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   その瞬間
 山側の斜面で野生動物の鳴き声がした
 野鳥やイノシシではない
 泣いているような哀しい声
 「この声はクマだ・・」
 
 脚がすくむ
 怖くて前を進めない
 ゆっくりと後ずさりしながら
 「引き返そうか?
 どうしようか?
 子グマならすぐ傍に親グマもいる
 しかしここまで来て引き返すのか・・」
 葛藤すればするほど身体が強張っていく
 
 こんな時のために購入していた爆竹を取り出す
 火をつけると散弾銃のような音
 鳴き声が聞こえなくなったのを確認し
 再び前に向かって歩みを進めていく
 

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   「自家用車ならあっという間にたどり着くし
 クマを見てもすぐに移動できるのだが・・
 ゲートはもう永久に閉まったままなのだろうか?」
 そんな愚痴が頭をかすめる
 
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   もうすぐ目的地だ
 今回はラスト・ヒメ
 自分一人で歩き汗をかいて採集したかったのだ
 この先も道は続くが昨年と同じ場所で歩みを止めた
 おにぎりと水分を補給してすぐに採集開始

 
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  「厳しいな・・」
 道沿いのヤナギにつくヒメは確認できず藪漕ぎをする





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   けものみちから登ってきたキノコ採りの夫婦に出逢った
 まさか人に逢うとは思ってもみなかったので驚いた
 人が入らなくなり雨も続いたためキノコも腐っているらしい
 「(クマなどには)気を付けて採集しましょう」
 と言葉を投げかけ別れた
 

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          1時間弱の採集で2♂1♀
 
 
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  これといった成果もなく今季の採集は終わった
 しかしながらこの3頭は自分の脚で採集した
 「記憶に残るクワガタ」
 になった
 クマに恐怖を感じながらも
 ここまで歩いて採集できたことは
 この素晴らしい景色とともに記憶に残るだろう
 「これで自分の中でけじめがついた
 また来年だな」
 山の辰砲礼を言いながら静かに下山した
 

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      ラスト・ヒメに感謝したい
   
      また来年までごきげんよう(^◇^)
 
        
                   平成28年 9月25日(日) 宮城県 
                             
                                   (10月5日夜記す)

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9月の雨

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  秋本番の9月
 季節の中で特に大好きだったヒメの9月なのに
 今年は休日と天候のタイミングが悪く雨ばかり
 
 September rin rain
            9月の雨は冷たくて”
 
 太田裕美さんの歌う「9月の雨」を口ずさみ
 切なさに自己を解放できずにいた

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 まだ雨の降らない3連休の初日
 
 「何か」
 
 を求めまた高山を彷徨う
 
 齢を重ねると人と逢うのを避け隠遁したくなる自分
 
 今の自分は人間よりも自然の愛に包まれたく思う
 
 自然の中こそ我が心を癒やし慰めてくれる場所なのだ


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 わずか2週間で葉は黄色に変色し
 
 紅葉の準備を始めていた

 「気温23度、今年は秋も短いのかな?」

 そんなことを思いながら愛車を走らせる
 
 標高を上げ新規開拓をしてみるが収穫も無く
 
 アカアシクワガタの雨粒も無し

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 結局前回と同じ場所に落ち着く

 2週間前と同じ曇り空
 
 気温が低く雨が降りそうな午後

 それでもヤナギは優しく自分を迎えてくれる

 秋晴れのヤナギが恋しい

 秋晴れの下

 ヤナギを齧るヒメオオクワガタが恋しい

 ヒメオオクワガタに自分は恋してしまったようだ

 「ヒメ・・」
 
 名称をそっとつぶやくだけで

 愛しさが交じり合い胸が苦しくなる自分は馬鹿なのだろうか

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  誰かが前記事を見て片付けたのだろうか?
 
 2週間前まで捨てられていた家電ゴミが無くなっていた
 
 空き缶やペットボトル類はそのままだが嬉しかった

 そういえば峠でこんなトラップを発見した
 
 白いショーツに寄ってくるヒメオオなんているのだろうか(笑)


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 意を決して崖の藪こぎをする




 「・・・だめだ、前回以上に見つからない」
 
 足首が岩と岩の間に挟まり捻挫しそうになった

 危うく何度も転げそうになった

 時間が経過し切なさだけが残る


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 2時間以上かけてようやく見つけた貴重な1頭のヒメオオ

 足場が悪い状態でカメラのシャッターを押す
 
 こんなチャンスは2度と来ないかもしれないと感じつつ・・

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 採取に成功した瞬間

 捕虫網の裾が枝に引っかかり落としてしまった

 見つからずそのまま終了

 虚しさと残念さだけが強く残る

 雨が降りだしこの場所の終わりを感じた
 
 
  September rin rain 
            9月の雨は優しくて”
 
                へへへ
 
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          平成28年9月17日(土) 宮城県

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