ジャーナリスト堤未果のブログ

公式HP完成! htt​p:/​/mi​kat​sut​sum​i.o​rg/​

全般

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索

全21ページ

[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11]

[ 次のページ ]

         何が「報道の自由」に価値をつけるのか?
                 
                ジャーナリスト 堤 未果
 
 
イメージ 1
 
 
 パリに本部を構える国際NGO「国境なき記者団(RSF)」による「報道の自由度インデックス」が発表された。
 世界180国における報道の自由度を順位付けした報告書だ。
 
 ジャーナリストの安全への脅威は世界的に拡大している。
先日国連総会でジャーナリストの安全確保に関する初の決議が採択された際、RSFは国連に対し、加盟国が記者達の保護義務を果たしているかどうかの監視を国連に呼びかけた。
 
約十年前にブッシュ政権下における令状なしの監視システムが明らかになり、内部告発者エドワード・スノーデンの告発で政府による無差別監視が世界に暴露された米国は46位。諜報機関による世界的通信傍受と内部告発者への弾圧・脅迫は今も続いている。
だが政権の情報統制に対する世論の批判も近年急激に拡大し、フェイスブック、ヤフー、グーグル、マイクロソフトといった米国内のインターネット・プロバイダー企業は、今月米国大統領および議会に、これ以上のスパイ行為やNSAへの顧客データ提出強要を止めるよう要求する書簡を提出した。
 
46位に落ちたアメリカより更に「報道後進国」の烙印を強く押されているのがここ日本だ。二〇一一年に11位だった順位は原発事故の翌年22位に下がり、二〇一三年はそこから大幅に急落し53位、そして今回そこからさらに59位にまで落した。今では「主要先進国で唯一、「顕著な問題」のある国カテゴリーに相当、東アジアでは韓国・台湾を下回る自由度とされている。
 
主な理由は、従来から指摘されている閉鎖的な記者クラブ制度に加え、東京電力福島第1原発事故における報道の自由度の欠如、原子力産業関連への取材内容の検閲、当局によるフリージャーナリスト達への独自取材禁止、および「特定秘密保護法」の成立だという。
 
二〇一三年十一月二十七日、国境なき記者団は「特定秘密保護法」についてこう批判した。「あらゆる不都合な情報を国家秘密に指定できる法を成立させる日本政府は、一体福島原発事故の影響について国民の間で怒りと共に高まる更なる透明性への要望にどう応えるつもるなのか」
 
米国では憲法に国民の権利として記載された「報道の自由」が、「愛国者法」を初めとする情報統制法や権力集中を強化する政権下で暴力的に侵害されている事に多くのジャーナリスト達が批判の声をあげている。   
 
 代わって日本はどうだろうか。日本国憲法には「報道の自由」は存在しない。あるのは第21条で認められている、「知る権利」を充足させる為の報道機関の自由だ。
 
 マスメディアは誰の人生を取り上げ、誰を無視するかを決める権力を持っている。何に対して同情の涙を流させ、何を取るに足りないとして無視させるのか、誰を英雄にし、誰を悪人に仕立て上げるのか、記号でしかない数字にどんな意味をつけるのか。
 
 報道の自由」は、社会が求め、守るべき価値があると認められて初めて正当性を持つ。それは「権力の監視」と「真実を伝えること」の二つに他ならない。
 
先ごろ、福島第一原発事故の取材で来日した、在米独立系ラジオ番組のキャスター、エイミーグッドマン氏に「独立ジャーナリズムの意義」について尋ねると、こんな答が返ってきた。
「海の向こうの人々を当事者として取り上げる事で、数字だけでは見えないリアリティと連帯感を生み出せる」
 
現在諮問会議で審議中の「秘密保護法」について、安倍総理が尊重するよう言及した「報道の自由」とは一体、何に対しての「自由」をさすのだろう。昨年同法が成立する直前になって、マスコミ各社は次々に「国民の知る権利」を主張した。
ならば彼らが今まで謳歌してきた「報道しない権利」についてはどうか。
 
年末の施行に向けた特定秘密保護法の行方を含め、世界の厳しい目が日本に注がれている。
 
                          (週刊現代3月8日号 連載記事 「ジャーナリストの目」 に掲載)

この記事に

 
イメージ 1
 
 
「㈱貧困大国アメリカ」が、
 
                   韓国で翻訳出版されることになりました
 
 
 
これで  
     「ルポ・貧困大国アメリカ」
     「ルポ・貧困大国アメリカⅡ」
     「㈱貧困大国アメリカ」
     「社会の真実のみつけ方」
     
「報道が教えてくれないアメリカ弱者革命」
 
           と、海外での翻訳出版は5冊に♪
 
 
イメージ 2
 
 
 
 
   韓国、中国で、20-30代の若者を中心に読まれているようです。
    読者からのメールや書評も沢山頂きます。
    「アメリカ社会の見方が変わりました」
    「自分の国も他人事じゃないです」、、、という感想が多いですね。
 
    彼らの多くは、
    「やっぱり政治を変えなければ変わらない」、
    という危機感を強く持っている印象です。   
 
    世界はどんどんフラットになってるし、、
    今の情勢を見て、
    英訳、仏訳、蘭訳もはよ!というご意見も
               たくさん頂くのですが、、、TRYすべきかな?
 
 
   翻訳版のひとつだけ残念なところは、
    どんな訳がされているのか読めないことです     
         (今年は語学の勉強本腰いれなきゃ、、、、できるのかっ?)  
 
     

この記事に

「実態と乖離する景気回復
          〜アベノミクスとアメリカ経済の危うい共通点」                                                 ジャーナリスト 堤 未果
イメージ 1
 
 
二〇一三年十二月二十九日。
アメリカ政府は130万人分の長期失業手当を打ち切った。
理由は「経済が回復し始めた事」。これによりリーマンショック以来延長を繰り返してきた緊急援助予算は今後さらに打ち切られる見通しだ。
二〇一四年末までには五百万人の長期失業者が手当を失うこの流れに、国民の間からは政府に対し強い批判の声が上がっている。
 
「経済が回復しているという政府発表は事実ではありません」
そういうのは、ニューヨークのホームレスセンターで働くリサ・マクガバンだ。
「アメリカの実体経済は、不安定雇用と高い失業率が続いている事を示しています。かつてないほどのスピードで拡大しているテント村を見て下さい」住宅ローンや家賃が払えなくなり、家を失った結果テント暮らしをする人々の数は、リーマンショック以来減るどころか増えている。彼らの集まる「テント村」は今や国内のすべての州に存在し、急速にその規模を拡大させているのだ。  
 
「現在国民の50人に1人が無収入である中、緊急援助予算の削減は失業手当の受給者数を減らし、統計上の失業者人口と失業率をますます減らすでしょう。手当を失えば家賃も払えなくなり、住所不定になることで就職活動は困難になる。職探しをあきらめた失業者は政府データに反映されません」
 
政府はさらに、現在4700万人が受給し、新規申請者が一日二万人のペースで増加を続けるフードスタンプ(政府による食糧援助プログラム)を四〇〇億ドル(四兆円)削減、受給額は以前の四分の三に縮小されている。
 
「職に就かない若者の増え方も深刻です」とリサは言う。
シカゴ、ヒューストン、ダラス、ニューヨーク、マイアミ、ロスアンジェルス、フィラデルフィア、アトランタなどの大都市に住む、学校に通わず仕事にもついていない十六歳から二十四歳の若者の数は、600万人を超えているという。この年齢層の失業率は16・3%と米国全体の約二倍だ
 
消費が冷え込んでいるために小売業はクリスマス商戦で売れ残った大量の在庫を抱え、家を買う米国民が激減した事から、住宅ローン会社は数千人規模のリストラを実施した。
 
実体経済と反比例して、国内の報道は明るい内容だ。失業率の低下に加え、住宅市場の回復し、株価が上昇し、失業率は下がり出し、「米国経済は回復に向かっている」というニュースを繰り返す。だがこうした政府発表について、多くの国民は懐疑的だ。CNNの世論調査では、国民の七割が「景気は回復していないと思う」と答えている。
 
ロスアンジェルス在住の弁護士アレックス・ジョイは、政府発表と現実の温度差は驚くべきものだと指摘する。
「現在の株価高騰は、2008年のブッシュ政権以来続いている不良債権買取政策(TARP)や量的緩和など、政府が大量に投入する資金が市場に流れて株や債券の価格を押し上げているせいです。住宅価格の上昇も、実際には十一月の住宅購入件数は年初以来最低になるなど、3か月連続で減少。しかも購入者の大半は米国民ではなく海外投資家なのです」
 
株価の恩恵を受ける投資家や何があっても税金で救済される銀行、従業員を低賃金労働者に置きかえて利益を増大させる企業群、2012年の大統領戦で2000億円以上の広告費を得た商業マスコミなど、一部の人々にとっては、米国経済の回復は紛れもない事実だろう。
だがそれは大多数の労働者や失業者に中小企業、借金と共に卒業し職が見つからない若者や、一億人を超えるフードスタンプ受給者達の現実には重ならないのだ。
 
米国政府は消費を伸ばし税収をあげるための雇用政策を打ち出す代わりに、フードスタンプを減額。国民の暴動を恐れた国土安全保障省はニューヨーク州だけで百億近い特別予算を投入してセキュリティを強化した。
 
薄氷の上にある米国の危うい現状が、そこに重なるアベノミクスと私たち日本人に、警鐘を鳴らしている。
 
(週刊現代連載「ジャーナリストの目」by 堤未果)
 

この記事に

開く トラックバック(0)

 「反体制派が国家安全保障の脅威なのではなく、
     反体制派を弾圧することこそが脅威なのです」
        −−−Amy Goodman(Democracy Now!)
 
 
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
昨日発売された岩波書店「世界」4月号に、
先月エイミーグッドマン氏をインタビューした記事
「デモクラシーナウ!の挑戦」が掲載中です♪
 
イメージ 1
イメージ 2

この記事に

イメージ 1
 
 
去年刊行された
「㈱貧困大国アメリカ」(岩波新書)
中央公論社の「新書大賞2014」の3位に選ばれました。
 
1位「里山資本主義」(藻谷浩介・NHK広島取材班)
2位「犬の伊勢参り」(仁科邦男)
3位「㈱貧困大国アメリカ」(堤 未果)
4位「野心のすすめ」(林真理子)
5位「来たるべき民主主義」(國分功一郎)
 
去年ご縁が出来て仲良くなった藻谷浩介さんと國分功一郎さんのお名前も!
 
藻谷さんにはJAM THE WORLD のゲストに来て頂き「里山資本主義」についてインタビュー
國分功一郎先生とは「岩波書店百周年シンポジウム」でご一緒させて頂きました。
 
 
詳細は本日発売の
中央公論社「新書大賞2014」に掲載されます。
 
 

この記事に

全21ページ

[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11]

[ 次のページ ]


.


みんなの更新記事