『天正10年(1582年)、天下統一を目前に織田信長が襲われた。明智光秀は単独犯なのか。果たして黒幕が存在したのか。本能寺の変にいたる過程を史料を吟味して再現。様々な仮説を検証し独自の考察を加え、真相に迫る。』 この本の裏表紙の解説にこう記されている。
著者の谷口克宏氏は1943年、北海道室蘭市生まれ。1966年、横浜国立大学教育学部卒業。東京都の中学校教諭を経て、現在、戦国史研究家。織田信長に関する著書多数。織田信長家臣人名辞典の編纂で有名。
実は「隠れ信長ファン」である。昨年大学4年生の時には思想・宗教系専修であるにもかかわらず、歴史・民俗系専修の演習「本能寺の変」の漢文の史料を読む演習を履修した位のファンである。
この本の著者谷口氏は、演習「本能寺の変」担当の堀新共立女子大助教授(早稲田大学第一文学部大学院卒)と親しく、昨年郷里の北海道から上京の折、演習にゲストとしておいでになり教室で「本能寺の変」についての講義をお聴きしている。さらに演習を履修している学生からの拙い質問にも丁寧に答えられ、市井の戦国史研究家として学者とは違って柔らかな話しぶりが印象的な方であった。
この本の中で谷口氏は史料を駆使して光秀が本能寺に信長を襲った経緯について述べている。
さらにこれまで信長研究家や歴史学者・小説家が展開してきた各種の黒幕説や共謀説の論拠を細かく分類した上で、一つ一つ検証を加え、消去法で成り立たない仮説を消してゆき、最後に氏が確信している明智光秀があの時に「本能寺の変」に踏み切った理由を明快に述べている。結論はご一読のほどを。
この本は織田信長と「本能寺の変」に興味を抱いている方々に是非、お奨めしたい労作である。
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