パリ市内のポンピドー・センター「国立現代美術館」の一室の壁面一杯に、100点を超すジョルジュ・ルオーの絵が無造作に展示されているのを見て、呆然としてしまった。また突然泪がこぼれた。
美術館の中の小さな部屋に何気なく足を踏み入れるとそこは「ルオーだけの世界」だった。
あまりにも無造作に、あまりにもたくさんのルオーの作品が展示されているのに驚いて声をなくしていると、その部屋にいたフランス人のおばさんがウインクしてくれた。その表情は「どう?すごいでしょう!」と言っているようだった。
イエス・キリストの顔「聖顔」を描いたものや、イエスのいるガリラヤやエルサレム郊外の風景を描いたものが多く、なかには「ミゼレーレ」の習作の一部と思われるものもある。それらの圧倒的な作品群に取り囲まれ感動して、30分近く立ちつくしていた。
今年はジョルジュ・ルオー没後50周年にあたり、国内でもいろいろな美術館やギャラリーで企画展が開かれており、これまで一つ一つ足を運んで、数点ずつ展示されている彼の作品をつぶさに観てきたのだが、その何倍もの作品が一部屋に無造作に展示されているのだから、ルオーファンの私には、それはもうたまらず、なんだか体中の力が抜けるようだった。(「一枚くらい持ち帰ってもバレないのではないかい?」という想いが一瞬だけ頭をよぎったほどのボリュームと無造作さでした・・・。)
今度またパリを訪れる機会が巡って来たら、ルーブルでもオルセーでもオランジェリーでもなくこのポンピドー・センターのMUSEE NATIONAL D'ART MODERNEに一番に駆けつけようと心に決め、白くなった後ろ髪を引かれる思いで「ジョルジュ・ルオーの部屋」を後にした。
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