9月のパリは寒かった。晴れた日でも最高気温が15度を下回って、道行く人々は厚手のコートや皮のジャケットを着ている。現地の日本人の方は「今年のパリは異常に寒いんですよ。」と教えてくれた。
渡仏前から気温に関する情報は調べていたのだが、予想を上回る?(下回る?)気温の低さに「蚤の市」で有名なパリ北部のクリニャンクールで慌ててマフラーを買い込んで首にグルグル巻きにして寒さを凌いで、パリの街の中を歩き回った。
そのパリは物価は高いし、街中はあまり綺麗とは言えないし、若い女性達がくわえ煙草で街中を闊歩しているし、シャンゼリゼにもオペラ座通りにも物乞いは多いし、いたるところにホームレスが寝ているし、街中にトイレがないし、メトロの通路は小便くさいし・・・とほとんどいい印象がなかった。
しかし、パリのホテル「ティモテル・ドゥ・サンラザール」はフランス国鉄のサン・ラザール駅近くの小さなホテルだったが、このホテルだけは今回のパリ滞在の中でとても気に入った。
交通のアクセスが良くメトロの路線が集中しているロケーションで、ホテルのドアを出るとすぐ地下鉄の入り口があり、今回はパリ滞在は全てメトロを利用して移動した。
ルーブル美術館、オランジェリー美術館、ポンピドーセンター(国立現代美術館)、ノートルダム寺院、凱旋門、新凱旋門、エッフェル塔、、バスチーユ、クリニャンクールの「蚤の市」、マルセイユ行きのTGVの発着するリヨン駅への往復など、全てメトロを乗りこなして駆け回った。
徒歩での移動はこのホテルから近かったジョルジュ・ルオーの先生だったギュスターブ・モロー美術館訪問の時だけで、ほかはメトロの路線の色でシャンゼリゼの下を通る黄色の1号線は銀座線・緑色の14号線は千代田線・紫色の8号線は半蔵門線などと勝手にニックネームをつけて乗りこなした。
そして、なんとこのホテルの朝食にもゆで卵が出た。なんだかその偶然ががとてもうれしかった。
皆さんはフランス以外の外国のホテルの朝食にゆで卵が出た記憶がありますか?
クロワッサンにカフェオレとジュースとチーズ程度の典型的なコンチネンタル・ブレックファーストなのだがゆで卵がバスケットにたくさん盛られている。心なしかマルセイユのそれに較べると小振りなゆで卵だったが、冬のような気温のパリの朝に、手に取るとほの暖かいゆで卵は、マルセイユでひとたび別れを告げてきた祖々祖父敬一の魂の甦りを感じさせる温もりを私に伝えてくれるようだった。
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