卒業生に隔月刊で送られてくる「早稲田学報」の10月号の付録に大隈重信の演説のCDが付録でついてきた。このCDには1915年(大正4年)3月、帝国議会の解散総選挙に向けて行われた「憲政に於ける輿論の勢力」と題する、時の内閣総理大臣大隈重信(当時77歳)の演説が収録されている。
このCDはタイトルの下の「大正4年3月衆議院議員選挙に際し、蓄音機に吹き込まれて各地に回送せられしものなり」という注釈で分かるように、レコード盤に吹き込まれたものを原盤としてCDに起こしたものである。再生してみるとレコード針がレコードの溝を走査する「ボツンボツン」という雑音にかぶさるような大隈重信の演説を聴くことができる。
初めて聴く大隈の声は甲高く、しかも力強く77歳という年齢を感じさせない。当時、第二次大隈内閣の総理大臣であった大隈が国民に「憲政を支えるものこそ、国民の輿論である。」と説いている。
その中で大隈は「國民が自覚して、自己の貴重なる國家に對する義務を、充分に自覚すれば、此の選擧の効は、実に大なりと信じまするのである。」と国民に訴えている。
92年前の大隈重信の声を聴くことが出来ることも貴重な体験であるが、大隈が「選挙とは、国民が投票を通じて国家を変えてゆく義務的行為なのだ。」と断じていることに注目すべきであろう。
現代でも「選挙に於ける投票は権利であって、その権利を行使するかしないかは国民の自由だ。」と勘違いして棄権し、その行為が結局、時の権力を利することを忘れている有権者が多いのではないか。
しかし「選挙権は国民の義務であり、主権者たる国民は選挙を通じて国家をあるべき姿に作り替えてゆくことが求められている。」という大隈の主張は傾聴に値する「価値の逆転的発想」である。
今日、国会では首班指名選挙が行われ「シニカル福田」が戦後22代目の首相に選出される。しかし、彼の内閣は来るべき総選挙のための「選挙管理内閣」であり、早晩、彼は衆議院を解散して国民に信を問うことになる。
その総選挙で国民が「国家対する義務を充分に自覚して、この国をあるべき姿に変える志を持つもの達を国会に送ること」が出来るような「権利と表裏一体の義務の遂行」をなすべきであろう。
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