|
東日本大震災 被災鉄道の復旧/JR対沿線の問題ではない 河北新報 2012年04月21日土曜日
東日本大震災で被災したJR山田線、気仙沼線などの復旧をめぐるJRと沿線自治体の協議がかみ合わない。
協議は、路線ごとの復興調整会議が主な舞台。東北運輸局が事務局の立場で関わっている。
協議は初めから復旧財源が問題となり、「鉄路での復旧」を求める沿線側と、バス高速輸送システム(BRT)での仮復旧を優先し「鉄路は確約できない」とするJRが対立、決着は見通せない。
国はJR線の復旧に際し「黒字企業に財政支援は行わない」との大原則を掲げた。議論が「国費投入なし」から始まれば、反発を招くと分かっていても、JRは沿線自治体に「ゼロ回答」を突き付けざるを得まい。
しかし、問われているのは国土の均衡の回復ではないか。本来、国が主体的に取り組むべき交通インフラ整備がテーマだ。
「費用対効果」など公共投資に関する効率論を盾に、国が一歩引いた立ち位置で応じようというなら誤りだ。
JRが示したプランによれば、気仙沼線の場合、BRT専用路線として使用されるのは全線の6割程度。志津川(宮城県南三陸町)、本吉(気仙沼市)周辺では、仮設住宅や医療施設へのアクセスを念頭に、一般道の走行を想定する。
だが、専用路線に色分けされた志津川−歌津間などでは、トンネルや高架が甚大な被害を受けており、復旧には鉄路並みの費用が必要となりかねない。交通渋滞が慢性化している気仙沼市南部の市街地も同様だ。
現在行われている暫定的なバス輸送では、柳津(登米市)−気仙沼間の所要時間は2時間。かつて気仙沼線の快速は、仙台−気仙沼間を2時間で結んでいた。専用路線が十分に整備されなければ、不便は解消しない。
沿線の市街地では、各自治体の復興計画との調整も求められる。JRは「段階的な専用路線の整備」を言うが、BRTでの仮復旧を目指すにしても、被害の甚大な沿線で定時性を確保するのは容易ではない。
山田線、大船渡線の問題は、より根源的だ。
第三セクターの三陸鉄道が重視するのは「縦貫性」だ。大船渡から釜石、宮古を結び、陸中海岸を久慈まで貫くから、観光資源としての価値が生じる。
釜石−宮古間がバス運行となれば、路線の性格そのものが変わる。岩手県など出資者の反発は当然だ。
国には、自らが鉄路再建を担い、JRが経営を受け持つ「上下分離方式」のような、大きなアイデアを示してほしい。三鉄の南北リアス線は、復旧への歩みを進めている。JRと沿線が対立して、交通基盤の回復を遅れさせることは避けたい。
解決への道筋を開くのは、国の関与と責任だ。協議の枠組みも、必要ならば変えていく柔軟性が求められる。
JRに自助努力を求めた大原則が、沿線とJRの対立の根本的要因となっているなら、国が原則を見直すべきだろう。
コメント:JRが民営化したことで、こういう国家的インフラが、採算性という壁にぶちあたって、あえなく廃止になるという事例。全国がレールでつながるという価値をどう考えるのか。明治の人々が渇望したものを、我々の世代で全部だめにしていいのかどうか。交通基本法制定後の課題である。
|
恐れ入りますが、この記事と関連すると思われる記事を私も書いておりますのでトラックバックいたします。
2013/1/5(土) 午後 5:21 [ ghm*125 ]
こんにちは。残念ながら、今の日本社会は鉄道より高速道路を優先して整備するべきという判断をしています。最早虐めを通り越して虐待としか言いようが無い、今日の日本の公共交通(特に地方のJR在来線や民鉄及び路線バス)の置かれている環境。独立採算制の是非も含めて、根本的な対応が必要だと思います。
2015/9/22(火) 午後 0:07 [ ISHIZAKI Kyoshiro ]