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肥満の人に糖尿病が多いことはよく知られています。データは報告者によって異なりますが、糖尿病発症率は適正体重の人とくらべ、中等度肥満で四倍。高度肥満で二十一倍という報告もあります。
私が人間ドックの受診者(40〜69歳男性)を調査したところ、糖尿病の頻度は肥満の人で約18%、適正体重の人で約9%でした。また、現役力士(15〜31歳)を調査し、肥満度が高くなるにつれて糖尿病が多くなったという報告もあります。
これらのデータから、肥満の人は適正体重の人より何倍も糖尿病になる危険が高く、肥満が進むほどその危険率も高くなることがわかります。
糖尿病は大きくインスリン依存型糖尿病とインスリン非依存型糖尿病に分けられます。インスリンは膵臓でつくられ、分泌されるホルモンで、いろいろな働きをしています。その働きのひとつが糖代謝、つまり糖を利用しやすいようにつくりかえるものです。そのインスリンが不足する、あるいは働きが悪くなる糖尿病では、食事でとった糖の代謝が悪くなり、血液中の糖(血糖)が増えやすくなります。
インスリン依存型糖尿病は膵臓のインスリン産生細胞が破壊され、インスリンが絶対的に不足します。インスリン非依存型糖尿病のほうは、インスリンの相対的不足でおこります。肥満が原因になって血糖の高値が続くと、神経や血管が傷害されて、いろいろな合併症がおこります。主なものをあげてみましょう。
【糖尿病性網膜症】
目の網膜にある欠陥が侵されて小出血などをおこし、進行すると網膜剥離をおこすなどして失明します。現在、失明原因の第一位がこの糖尿病性網膜症です。肥満の人ほど網膜症になりやすく、進行がはやいといわれています。しかもこの網膜症は、いったん障害をおこしてしまった視細胞の回復はむずかしく、治療は進行をとめるしか方法がないのです。
【糖尿病性腎症】腎層で尿をつくる血管が侵されて、腎機能が低下します。進行すると尿毒症がおこるようになり、人工透析が必要になります。この糖尿病性腎症は人工透析の原因疾患として第二位を占めています(第一位は慢性糸球からだ腎炎)。重い腎不全に陥ると、一生透析が必要です。血液透析の場合、週三回、一回四時間くらいの治療を欠かさず続けないと、生命を維持することができません。
【神経障害】
下肢の神経が傷害されて知覚が鈍化し、たとえば熱い湯たんぽなどを当てても気づかず、ひどい熱傷から壊疽をおこすこともあります。また、膀胱の神経が侵されて尿がたまってもわからないとか、陰部の神経が侵されてインポテンツになったりもします。
こうした合併症を防ぐには、血糖値を正常範囲に保つことが何より大切です。血糖は食事によって増えますので、摂取エネルギー量を必要最小限の量に制限します。その人の体格や運動量(日常生活や仕事で動く程度)によって異なりますが、一般に一日1600〜1800Kcalぐらいに設定します。
肥満の人は当然、減量が必要です。減量のためには摂取エネルギー量をもっと制限しなければなりません。ただ、血糖降下剤を使っている患者さんの場合は、摂取エネルギー、運動量を計算した上で薬の用量を定めているため、減食するときには薬の用量を調節する必要があります。薬の用量はそのままで減食を行うと、血糖が下がりすぎて昏睡する恐れがあります。
また、糖尿病には至っていないものの、糖の代謝が悪くなっている耐糖能異常が肥満の人には高率にみられます。いわば糖尿病の予備軍です。
減量して肥満を改善すると、インスリン非依存型糖尿病の人の大部分は血糖値が下がります。正常値に戻る人もいます。耐糖能異常は100%近く改善します。
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肥満は重病重症の入り口です。簡明な記事をまとめて、とってもいいですね。
2009/4/17(金) 午前 7:08 [ しゃべりば ]
ありがとうございます。
しばらく忙しくしていましたが、来週あたりから
今までの症例紹介をしていきたいと思います。
2009/4/17(金) 午前 11:05 [ etikezono ]