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ひよこは鳥かごといっしょに踊ることで自由になれる
横向きに立つ伊藤文恵の姿が浮かびあがる。只野展也の音楽(「オリオン変奏2」)の中を、丹野久美
子が詩「鏡と現実の水平線」(秋亜綺羅)を読む。(写真上)
丹野久美子
水平線では
泳ぐものと飛ぶものが半分ずつ溶け合っています
鏡と現実との境界にも水平線があって
ふたりのあなたが半分ずつ溶け合っている
だから鏡を見ているあなたは
半分だけあなたなのです
残り半分のあなたはまだ鏡の中にいて
隠れたままかもしれません
帰りたくないのかもしれないね
あなたは半分だけ自分を嫌いだから
丹野久美子の照明F・O。
曲「HI・YO・KO」(只野展也)にかわります。
中央で伊藤文恵が踊ります。
上手より星川友衣登場。
その後、上手よりセトトモコと星川麻衣、下手より江目ひとみが登場。
セトトモコ
わたしの部屋には、このまえお祭で買ったひよこが1羽います。
江目ひとみ
夜寝るとき、わたしをおかあさんと思っているのか、ぴよ。
星川麻衣
ぴよ。近づいて来てわたしのお布団に入って来ます。
星川友衣
ぴよ。…ぴよ。…ぴよ。…ぴよ。…。
セトトモコ
ひよこは鳥なので、将来青空を飛ぶ予感を持っているのです。
江目ひとみ
わたしのお布団の中で、空を飛ぶ夢を見ているのでしょう。
星川麻衣
うれしそうな表情で、肩甲骨のところを震わしているのです。
舞台奥から、高橋史生、寺島広、斉藤ら真生、狩野新之介が登場。
ランダムに置いてある丸いデザイン椅子を、ステージ中央のひよこを囲むように並び変えていきます。
女性たちは、ひよこの周りをゆっくり歩きながら…
星川麻衣
ぴよ。ぴよ。
星川友衣
ぴよ。ぴよ。
セトトモコ
ぴよ。ぴよ。
江目ひとみ
ぴよ。ぴよ。
星川友衣
ぴよ。ぴよ。
男性たち、それぞれ椅子の上に立つ。
セトトモコ
だけれど、おとなになって、ニワトリになった時、
星川友衣
(ひよこを見つめる)
江目ひとみ
ひよこは自分が、空を飛べないことを知るのです。
星川麻衣
空を飛ぶだろう「予感」と、
セトトモコ
飛べないことを知る「絶望」。
江目ひとみ
それがひよこの、
星川麻衣
運命なのです。
女性たちも椅子のうえに上がります。
男性たち、女性たち、両腕を宙に伸ばして空に向かうように。
その後、ひよこをとり囲むようにして、鳥かごのかたちをつくります。
高橋史生+セトトモコ
飛ぶことをあきらめるときが
ひよこがおとなになれるときです
寺島広+江目ひとみ
鳥が鳥かごに飼われるのは
鳥は空を飛べるからです
斉藤ら真生+星川麻衣
鳥が飛ぶことをやめてしまえば
だれも鳥かごに閉じ込めたりはしない
狩野新之介+セトトモコ
鳥かごの鳥は飛ぶことをやめてしまえば
自由なのです
高橋史生+江目ひとみ
飛ぶことをあきらめてしまえば
そこには
すこしの間
俳優全員
自由が待っている!
ひよこを囲む鳥かご(俳優たち)は、ゆるゆると解体されます。
ひよこと鳥かご(俳優たち)はいっしょに踊ります。
ひよこは鳥かごを背負って生まれてきた鳥です。鳥かごといっしょに踊り明かせば、そこには自由が
いっぱい! というわけです。(写真下)
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はじめまして。ご訪問ありがとうございます。
「やめてしまえば」「あきらめてしまえば」っていうところに惹かれました。「やめてはいけない」「あきらめちゃいけない」ってそういうメッセージがメディアを通して流されていることが多いように思ったせいかもしれません。たちどまって、既存の言葉について考えてみる機会をくださって、ありがとうございました。
2009/10/18(日) 午前 1:37
ookini-nekoさん。ありがとうございます。
いまの若いひとたちって、親や先生に「夢を持て」とか言われて、歌謡曲にまで「夢をあきらめないで」とか言われちゃって…。破るべきカラを異常に分厚くて堅い、巨大なものにしちゃっている。夢を背負って気がつけば、若くもなくて…みたいな。
ひよこがカラを破って誕生するように、目の前にあるカラをがむしゃらに壊しつづければ、自由な自分の姿くらい見えてくるのに、ね。空なんか、飛べなくても。
2009/10/20(火) 午後 8:31 [ ココア共和国 ]