こんにちは。 秋亜綺羅です。
前回、お話ししていた、「現代詩ゼミナール ”東日本” in 青森」 のチラシが届きました。
シンポジウムや詩の朗読があります。 日本現代詩人会の学会みたいなものですから、趣向のちがう方には退屈かもしれません。
津軽三味線の山上進と、舞踏の福士正一、伊藤文恵の競演というのは、ちょっとどきどき。 興味しんしんですよね。
わたしも10分だけ時間をもらって、詩をやりますよ。 伊藤文恵といっしょに。 ね。
お近くの方、だまされたと思って、来てみてください。 だまされますから。 ふふふ。
くわしくは、上のチラシを拡大して見てみてください。 懇親会へもぜひどうぞ。
10月8日(土)、連休の初日ですので。…
わたしがいまのところ、「楽譜」 として用意している詩は、以下のものです。 金魚と恋人が津波で死にます。 残されてしまった 「わたし」 だけが、この詩の唯一の風景です。 伊藤文恵とわたしが、当日どのように 「演奏」 するのかは、ふたりですら、まだ知りません。
ちょっと長い詩です。
津 波
詩 秋亜綺羅
舞踏 伊藤文恵
昨年の夏祭りで
恋人といっしょに買った
一匹の赤い金魚は
血の色を知らなかった
三月十一日、午後三時十一分
そのとき、わたしの家の金魚鉢には
海が近づいていた
金魚鉢に水平線が飛び込んで来た
そこには、水溶性の海岸があった
そのとき
赤い金魚をいっしょに買った
恋人は
金魚とも
わたしとも
いっしょにはいなかった
そのとき
水平線は赤いデニムをひき裂き
一匹の金魚を犯した
部屋の白い壁には
海の影が動いていた
そのとき、一匹の赤い
わたしの金魚は
海水魚になることを拒んだ
金魚は遠くなる意識のなかで知るのだった
血の色は海の色だったことを
すべての生物は、生物のふりをしていた
すべての時間は、時間になりすましていた
すべての風は、風のなかにひそんでいた
すべての水平と地平は、鳴り響く警告音とカクテルされた
ひとつぶの砂より小さな地球が
ここにはあった
ままごとをしていた子どもたちは
おとうさんになって、自分を探した
おかあさんになって遠くまで叫び、泣いた
子どもの役に戻ると
おとうさんとおかあさんに抱きついた
抱きつけない子は
孤児の役が始まった
すべては、始まったばかりだった
流されてしまった子は
家族も待っていない
海に帰っていくのだった
すべては、帰っていくしかなかった
ごはんだよと呼ばれて
ままごとをおしまいにして
手をひかれて
帰っていくのだった
潮が引くと
がれきでできた地平線が残った
太陽がいっぱい
太陽がいっぱい
太陽がいっぱい
太陽がいっぱい
主人公の犯罪者は
砂浜で囚われるべきだった
がれきたちは魂のツイッターで
つぶやくことしかできなかった
みんなといっしょ
でもひとり
ちがうけど同じだね
嫌いだけど好き
冷やし中華終わりました
スパイは、猫の死体と
未来である
かわるとわかる
わからないとかわらない
オモテのウラはウラ
ウラのウラはオモテだ
オモテのオモテはなんだろう
紅茶の香り、好きな音楽、絵画や写真。
の楽や写。香絵な音り紅、好真、画き茶
、真絵。楽の好、紅香や写茶りき画な音
鳥だ! 飛行機だ! いや、
海に隠れるなんてずるい!
と、両親を流された少女は
かくれんぼうの、鬼になった
ここだよ
と、両親はすぐに少女の頬をなでて笑うのだった
いつものかくれんぼうだったなら
そのとき
赤い金魚をいっしょに買った
恋人は
金魚とも
わたしとも
いっしょにはいなかった
わたしの誕生日のためにつくりかけた生クリームたっぷりのチョコレートケーキ、未遂
ひとごみの街のなかでたったふたりきりで話ができるツールってなんだろうねといっ
て思いついた糸電話、未遂
あなたの両手でうしろから目隠しされたまま聞こえてくるプロンプターのささやき、未
遂
怖がらなくてだいじょうぶ。 映画はいつか終わるのだから、未遂
読者はきみひとりだよといって書いてくれたあなたの詩に、お返事として絵を描いて
いるところです。 あなたにしか見ることができない絵です、未遂
どっちに行ったってきみに会えるよ。 だって地球は丸いもの、未遂
そのとき、わたしの恋人は
人魚になろうとは思わなかった
恋人は死んだふりして
目をつむって、目をつむる
暗闇のなかで目をつむり
ちょっと笑ったふりして
目をつむった
目をつむれば
寒くもないし
おなかもすいていない
すこし暗いけれど
好きなひとの顔を
見ることができる
透き通るような死化粧がよく似合うよ
このまま舞踏会ができそうだね
みんな集まっているんだね
長い黒髪の匂いを追いかけた
わたしのこころは恋人の吐息のなかにある
いちばん愛しあった夜は
明けないでいてほしい
ひとつぶの砂より小さな地球が
ここにはあった
ふたりだけ取り残されることができたなら
割れてしまった金魚鉢に
もういちど赤い金魚を買おう
砂のない砂漠で
黙って手をつないでいよう
光のない都会で
おたがいの影を合わせよう
会いたいという名の孤独
会えないという名の約束
太陽がいっぱい
帰りたくないのでハサミで切った世界地図の日付変更線は
波にさらわれることなどないだろう
太陽がいっぱい
瞬きをすれば真似をする恋人の見つめるような瞬きは
波にさらわれることなどないだろう
太陽がいっぱい
沈む一瞬好きなひとを思い浮かべた恋人のくちびるは
波にさらわれることなどないだろう
太陽がいっぱい
わたしたちのアイ・ラヴ・ユーは
波にさらわれることなどないだろう
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