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〚論壇紹介〛
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実は報道されない「現地リスク」がいっぱい! 尖閣問題後に中国進出企業が心得るべき教訓
(2010.10.19 ダイヤモンド・オンライン) 尖閣諸島海域で、中国漁船が日本の巡視船に衝突する事件が発生してから1ヵ月ほどが過ぎた。この事件との関係性はともかく、中国河北省の軍事管理区域に侵入し、ビデオ撮影をしたとして、日本の中堅ゼネコン・フジタの社員4人が当局に拘束された事件も、記憶に新しい。 先日、拘束されていたフジタ社員の最後の1人も解放され、ようやくこの問題が鎮静化の方向に向かっていると思ったら、この週末に四川省で反日暴動が起こっているようだ。「中国は危ない国だ」と再認識している日本人も多いだろう。 今回の事件で改めて認識させられたのは、日中間に緊張が走る不測の出来事は、いつでも起こり得るということだ。 振り返れば、今回のような出来事は過去に何度も起きている。南京大虐殺や従軍慰安婦の認識を巡る日本の歴史教科書問題、小泉元首相の靖国神社参拝問題などの際も、日中間に深刻な緊張が走った。そしてこのような出来事は、今後も度々起こるであろう。 日中間の軋轢が日本企業にもたらす悪影響 「中国依存度」だけでは語り尽くせない不安 日中間に緊張が走り、国同士の関係が悪化した場合、その犠牲になるのがビジネスだ。領土問題のように、(両方の国から見て)客観的に唯一正しい答えが存在せず、双方が言い分を譲らない(譲れない)問題の場合には、「どちらが正しい」「どちらが正しくない」という議論をしても、ビジネス上はあまり意味がない。 結果がどうであれ、解決に時間がかかればかかるほど、ビジネスはネガティブな影響を受ける。そして、より不利な状況に立たされてしまうのは、中国企業ではなく日本企業だ。 それは、世間でよく言われるように、日系企業が生産拠点、原材料調達先、および市場として中国に対する依存度が高いという理由だけではない。フェアプレーで外交を続ける日本と違い、望む結果を導き出すためであれば、中国はありとあらゆる手段を使うからだ。 今回、まだ中国漁船の船長が釈放されていない段階で、ある日本びいきの中国人は、「今回は中国政府は本気なので、戦争以外のどんなことでもするだろう。早く日本が折れた方が日本のためになる」と言っていた。 この冗談のような話も、あながちウソではないと考えた方がよいだろう。今回、中国政府が公式にとった主なアクションは、東シナ海ガス田開発交渉の延期、政府閣僚の交流停止などに過ぎない。 しかし、中国政府が報復行為として実際に行なったかどうかはともかくとして、日本向けレアアースの輸出停止、フジタ社員の拘束という事実からも推測されるように、中国政府は日本のビジネスに大打撃を与えるオプションをたくさん持っている。 輸出入では全量検査や増税などもあり得る? 日本企業を狙い撃ちする「税関」のリスク その代表例が、「税関」を使ってモノの流れをストップすることだ。これについては、今回も漁船船長が釈放される前に一部始まっていたと言われているが、中国の税関がその気になったら、日系企業が中国に輸出入するモノの流れをスパッと止めることができるだろう。 通常は、抜き取り検査、ランダム検査だけで済ます通関検査を、日本企業だけ全量検査にすればいいからだ。日本が「日系企業だけ目の敵にしておかしいじゃないか」と主張したところで、「たまたま全量検査した方がよいと判断されたのが、日系企業の通関手続きだっただけで、特に日系企業だけをいじめている訳ではない」と言われるだけだろう。 実際には、日系企業でも影響力の大きい大企業や有名企業を集中して狙い、モノを止めることになるはずなので、「日系企業全部の輸出入貨物を停めている訳ではない」という言い訳も、中国は使うだろう。 また中国政府は、モノだけでなくカネに対する影響力も行使できる。中国の税関は、日系企業の輸出入貨物に関して、意図的に不利な条件の関税や増値税を適用したりできる。また、日系企業に対してはより積極的に、本社と中国現地法人間の移転価格の問題を調査して追徴課税するなどの措置を取ることができる。 また、中国と国外のカネの出入りを厳しく管理している外貨管理局であれば、許認可や監督の権限を使って、日系企業の中国外への出金の蛇口を閉めることができる。 さらに税務局であれば、日系企業を集中的にチェックして税金をできるだけ多く徴収することも可能だろうし、政府機関や国営企業が、調達品の入札業者リストから日系企業を排除させたりすることもできるだろう。 夜遊び好きな現地駐在員も要注意? 政治問題のとばっちりは「天災」と諦めよ 日本へさらに強烈なメッセージを送りたい場合には、企業ではなく「日本人」個人を狙うことも考えられる。 たとえば、税関からの許認可が必要な商品を、たまたま担当者が許可手続きを忘れて関税を5万元以上支払わずに輸入してしまった場合でも、場合によっては刑事事件となる。その直接の担当者だけでなく、書類に捺印した日本人管理者も懲役刑に処せられる可能性もある。 もっと身近な例でいうと、上海、北京などの大都市で夜な夜な夜遊びをしている日本人駐在員や、出張者が集まるKTVなどに公安(警察)が張り込めば、すぐに何人も日本人を捕まえることができるだろう。 このような中国の対応は、日本人から見ると不当なイジメに見えるかもしれないが、中国政府としては、「ルールに違反している当事者を処罰しているだけであり、たまたま日系企業、日本人への取り締まりが最近多くなっているだけだ。そもそも、法律を犯している日系企業、日本人が悪い」という理屈になる。 反対に、日本が逆ギレして、日本国内で中国企業に対して同じような報復行為を行なったところで(日本がそこまで大胆なことをできるとも思わないが)、大きな市場を武器に世界中の国々からラブコールを受けている中国にとって被害は極めて限定的なので、抑止力にはなり得ない。 こう考えると、自分が撒いた種ではないのに、中国ビジネスにおいて大きな危険に晒されることになる日系企業は、ある意味「天災の被害者」とも言えるだろう。 しかも日系企業が、このようなリスクに直面した場合に使える特効薬はない。万一見せしめのターゲットになってしまったら、「運が悪かった」と諦めるしかない。台風が来てしまったと思って、通り過ぎるのをおとなしく待つしかない。 そういうときは、スポーツに例えれば「ディフェンスの時間帯」だと思って、ひたすらガードを固め、被害を最小限に留めることにフォーカスするに限る。 そんな日本企業が被害を最小限に留める策としてできることが、「危険を早く察知し、最悪の事態を想定したバックアッププランを事前に作ること」「二次災害を防ぐこと」である。 具体的には、中国からの輸出入がストップする可能性に備えて、可能な範囲でバックアッププランを考えておくか、ビジネスでもプライベートでも、中国国内で法を犯すと見なされかねない行動を慎むとか、政府に許認可を申請するタイミングを遅らせるといった対処が必要だ。日中間の関係悪化につながりそうな情報を掴んだ瞬間に、最悪の事態に備えて、被害を最小化する判断力とセンスが必要だろう。 日系企業に忍び寄る「二次災害」リスク 架空のコネをちらつかせる悪徳業者にご用心! また、人の弱みに付け込んで寄ってくる怪しい誘いに乗って、二次災害を起こさないことも重要だ。今回のように日系企業が困ったときに、「コネで解決してあげる」という怪しい人が必ず出てくるからだ。 たとえば、「輸出貨物がストップされて、このまま輸出ができないと数億円の損害が出る」などの状況であれば、ワラにもすがる思いで「こういう輩に数百万を払ってでも貨物を動かしたい」と考える企業が多くなっても、不思議ではない。 しかし、特にこういう状況の場合には、「コネはほとんど効かない」ことを知っておくべきだ。平時においては、役人とコネがあれば彼らの裁量の範囲内で色々やってもらえる場合もあるが、中央政府の指示で日系企業に対して厳しい措置をとっている場合には、各地域の役人には裁量権はない。 そんな状況にもかかわらず、「コネでなんとかしてあげます」という人がいたら、詐欺の可能性が高い。こういう悪い人たちは、最初にカネを騙し取った後で、「やはりもう少し関係者にカネをばら撒かないとモノが動かせません。モノを動かすためにはさらに数百万が必要です。もし払わなければモノはストップしますが、あなたの責任です」と言ってくる。 こちらはすでに高額のおカネを払っていて、ここで辞めてしまうとそれが無駄になってしまうので、ついつい2回目も払ってしまう。またこういう悪い輩を「詐欺だ」と訴えようにも証拠はないし、自ら裏のルートを使っている手前、あまり堂々と表で争うこともできない。 中国ビジネスを行なう日系企業にとって、しばらく不利な状況は続くだろう。中国でビジネスを営む日本人の身として、日本政府に対して思うことは、「あまり応援は期待しないので、邪魔だけは最小限に留めて欲しい」ということだろうか。 |

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