Call me

いつもいつもキミの傍に・・・

‥不由子

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calling

 
 
ねぇ、貢
 
雨が降ってる・・・・・・
 
 
 
乾いた土が、それを吸収して
 
新しい命を育んでいる
 
 
 
熱が冷めやらない身体を持て余しながら
 
窓の外、ランダムに続くリズムを先取るように、ベッドの上で身を揺らす
 
熱い交わりに不由子はいつになく没頭していた
 
 
 
 
“ ねぇ、もう一回 ”
 
そう言って身体を反転させる
 
 
 
 
上から見下ろす不由子の顔が、何かを振り切ろうとしているようで
 
それならひとしきりの快楽をと、腰に回した手に力をこめる
 
 
 
 
何もかも吐き出せばいい
 
オレはその為にいるのだから
 
 
 
 
不由子の白い肌に僅かな赤い跡すら残せないけれど
 
この時間を共有している、それだけで充分
 
 
 
 
またこうしてキミの傍にいる
 
何が辛いの?
 
聞いてもきっとキミは答えない
 
 
 
出遭ったあの日に戻ったんじゃない
 
大人になったと言うより、つまらない諦めを覚えたのだろうか?
 
 
 
 
キミは遠くに行かないでくれ・・・
 
 
 
 
キミが疲れて眠るまで、キミが望むだけ、キミを抱く
 
泣いているのか笑っているのか?
 
冷たい頬に手を伸ばす
 
 
 
 
きっとキミは笑っている
 
花が散ることを、何よりも恐れているキミだから
 
 
 
愛してるって言葉は
 
花びらと同じね
 
 
 
 
何度も紡ぐうちに、それは終焉に向かってる
 
傷つきやすい花弁は、明日には枯れているかもしれない
 
実を成す花ならよかったのにね・・・・不由子は小さくつぶやいた
 
 
 
 
ねぇ、貢?
 
キミだけはずっとここにいてよ
 
 
 
不由子の嘘は、今も健在だけど
 
諦めよりはずっと逞しい不由子がそこに居た
 
 
 
 
 
今は一緒にいるよ
 
だってキミが呼んだんだから・・・・・
 
  
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

泣け無し

 
 
ねぇ、貢、知ってる?
 
なけなしって、“ 泣け無し ” って書くんだょ
 
うふふ、もちろん、不由子語録だけど、ね
 
 
 
 
“ これっぽっち ”
 
ねぇ、自分がすごく凹んで、これっぽっちしかないって考えてしまう時
 
あるでしょ
 
そんな時、自分に言い聞かせるの
 
 
 
 
今は、泣くな、ってね
 
 
 
 
こっからが勝負!
 
また復活するぞっ!  ってね
 
 
 
 
 
でも、そのくせ、泣いちゃうんだ、バスタオル持って、
 
切ないうた聞いて
 
さあ、泣くぞ!  ってね
 
 
 
 
 
 
でもね、
 
泣けないほど辛いときもあるんだよね
 
それは、あたしじゃない人が・・・・・・・・・・・・・・・・泣きたいとき
 
 
 
 
 
しぼり出したような最後のひと言に
 
“ それだけしかない ”
 
そんな悲しみを乗せるとき
 
 
 
 
 
みんな、泣けない思いの中で、ひとつの手段として泣いている
 
それは、生きてく為に、自分を守るために
 
そして、どこかで、誰かの何かの肩代わりとして
 
 
 
 
 
だから生きていけるのよね
 
好きなんだもの、好きなんだもの
 
 
 
 
 
泣きたくないくせに
 
誰かを求めるから
 
小さくてもいいから、確かな温もりが欲しいから
 
 
 
 
 
泣きたくても泣けない
 
何かを拾いながら
 
あたしたち、これからも生きてるんだろね、
 
 
 
 
 
ねぇ、貢
 
 
 
  
 
 
 
 
答えが聞きたいよ。。。
 
 
 

ガラ

 
冬はね・・・それはじっと耐えるもの

宇宙の中で身を守るように
胸の前にある暖かなものをじっと包みこんでいるわ


痩せてしまった腕を灰色の空へと伸ばす木々の
小さな突起に指を滑らせてみる

それは冷たくて、けれど決してカサカサなどしないでいて
いつか来る春を無のこころで待っているような・・・


短く切りそろえた爪から伝わる冷気すら
キミには明日への希望なんだよね
待つことも時には大きな前進なのかもしれないね


   春を感じよう
   いつか小さな春を感じよう

   こころが春を感じる日が、あたしの春になる
   寒くても温かなひとでありたい
   じっと、じっとそんな自分になれるよう明日もがんばっていこう


うふふ、ガラじゃない、、、かもね
でも、新しく買ったストーブが、そんなこと言ってる気がしたから・・・


  


    

不由子 : 卒業

 
イメージ 1






そうだね・・・

もう春だね・・・






不由子は、ふたつのグラスに入るだけの氷を入れると

オレンジジュースを注ぎ始めた

春風がカーテンを優しく揺らす






ね・・・貢

これまで、ありがと





ふふっ

ありがと・・・って言ったの

いつも、傍に居てくれて、本当にありがとう







オレンジジュースの入ったグラスを両手で包み込みながら

不由子は首を傾けて、少しだけ笑った







ずっとずっと大好きだった・・・よ

だから

今日はあなたにさよならを言おうと思って・・・







春の陽に溶けて、カランと氷の音がする

両手の温もりがオレンジジュースを薄めても

不由子は飲もうとはしない








あたしね・・・・・

長いこと望んでいた自由に

指先が届くところまで来たんだ





だから

独りは哀しいけれど

ひとりになれるから、嬉しいの





翼は

これから、また育てる

その強さくらいは、この手で掴んだもの





ね・・・貢

オレンジジュースを







不由子が次の言葉を言いかけた、その時

突然に、春風が踊り込む

一瞬、カーテンを大きく揺らすと、すぐに部屋を出て行った






不由子は言いかけた言葉を飲み込んで

哀しげに笑った






目の前には、もう誰の姿もなかった・・・・・







不由子は

一度だけ、ゆっくりと瞬きをする

瞳の中に残る貢が、一滴の雫になって流れた








バイバイ・・・・・貢







春だから

わたしも、卒業するよ・・・・・・・・・










    

いつもありがとうございます
不由子は、これで終わりです

貢は不由子の心が作り出した存在でした
辛い時や悲しい時に話しかけながら生きていくための・・・・
けれどいつか卒業しなければならない・・・

私事ですが
正社員として就職がはっきりと決まった今日をその日に選びました

春になって、また新しい名前を見つけたら、わたしもまた復活いたします
それまで、もう少しだけお休みさせてくださいね
リコメ・ご訪問、必ず致しますので、どうかお許しくださいね。。

皆さまもどうぞお元気で・・・・・

    

不由子 : 機微

 


2月というのが嘘みたいな

今日はそんな暖かな一日だったね






不由子はカーキ色のエプロンの紐を前で結ぶと

白地に細い黒のストライプのシャツの袖を肘まで捲り上げて

パスタを作り始めた






今日はね、アスパラが安かったんだぁ

それに桜海老を入れて、春色のパスタにしよっかなぁって

オリオンビールも買ってきちゃった、桜の缶の♪







ふ〜〜〜ん

やけに元気だこと







はい、出来上がり♪

お腹空いちゃったから、早く食べよ〜♪








よく冷やしたグラスをオレの手に滑り込ませると

不由子は桜のビール缶を静かに傾けた








ふふ、ほら綺麗な泡になった♪








前髪を透かして、何かを言いたげな不由子のおでこが見える

でも今日は聞くのを止めよう

きっと不由子もそれは望んではいないだろう








春は

一番優しい季節ね







2本目の缶ビールのプルタブに爪をひっかけながら

不由子は幸せそうに笑う





オレは・・・・・・・・

胸に広がる感情を押さえ込むように、グラスの中のビールを一気に飲み下した











今夜は不由子に笑ってもらいます^^


    

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