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けっ なんて、オンナだよ だいたい、こんなこと、普通他人に言うかよ 僕は心の中で、さんざんに悪態をついた 小さな子供なら “ あっかんべー ” をしてるところだ 『 はい このお話は、これで、おしまい♪ 』 はっと気がつくと ひなた自作の絵本の読み聞かせは、既に終わってしまっていた う〜〜、くそぉ〜〜〜! 聞き逃してしまったじゃないか!! これもみんなあのオンナのせいだ!! ひなたがスケッチブックをたたみ始めると 子供達が駆け寄って周りを取り囲む すぐに、楽しそうに話のやりとりが始まった 矢継ぎばやに“ まあるい国 ” への質問が飛んでいる ひなたの作った “ まあるい ”世界は 子供達にとって、すっかり楽しい場所となったようだ 『 どうして? 』 『 どうやって? 』 何物にもとらわれない自由な発想からくる子供たちの質問に 彼女は、時には深く考え込みながらも、まじめな顔をして一生懸命に答えている 空想の世界で子供達と遊ぶ、その姿を見つめていると心が和んでいく さっきまで、怒っていたことさえ忘れてしまう 僕はそんな自分の変化に戸惑っていた 『 あっ、傘さん! 』 顔を上げたひなたが、僕に気づくと 嬉しそうに笑って、子供たちの輪の中から、駆け寄ってきた 『 や、ひさしぶり! ここで働いていたんだ!! 』 近づいてくる“ まあるい ” 笑顔に、さっき聞いたばかりのあの単語 【 知的障害者 】 が蘇る 『 そう・・・リベロさん! あの雨の時には・・・・・傘をありがとうございました!! 』 あの時とおなじようにぴょこんと頭を下げる 僕は、彼女の瞳覗いた 何かに突き動かされるように、とにかく覗き込んだ 『 わたしね、傘を返したくて・・・ いつも持っていたのに、今日は、忘れちゃって・・・ わたし・・・いつも大事なこと、失敗しちゃうから 』 さっきの笑顔が一転 ひなたの瞳は悲しそうに、みるみる潤んでいった 『 いいんだってば、あれはキミにあげたんだから ね、そうだっただろ 』 僕は思いっきりの笑顔で言った ひなたは、笑った 僕たちは、いつの間にか図書館の前庭に出てきていた 色づいた木々の枝の間を過ぎると 林を通り過ぎてきた一筋の光が見えた 『太陽のえくぼみたい♪ 』 ひなたは、走り出した 『 ね、ひなた 今度、どこかに遊びに行こう! 』 僕は気づけば また唐突に 夢中で落ち葉を拾い集めるひなたの背中に、話しかけていた 生ビールとそば焼酎と芋焼酎、グレープフルーツ生搾り 以上が昨日飲んだお酒です、ちょいと飲み会でした^^ |
‥ボーダーライン
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『 太陽のえくぼみたい 』 小さな林の小道でそう言うと、ひなたはクスっと笑った 僕には絶対にできない発想、だけど言われてみると妙に納得する 色とりどりの落ち葉を拾い集めると 彼女は自分のバックの中のスケッチブックに挟みこんだ そう・・・・・あの傘を渡した夜以来、僕は彼女を初めてみた ここは市立の運動公園の外れにある図書館 ブラッっと立ち寄ってみたそこで 小さな子供たちの中で読み聞かせをしているひなたを見た “ あわぶく、ぶくぶく・・・・・・ ” 嬉しそうに口を尖らせながら “ ぶくぶく ” と大げさな笑顔で語りだす 子供達は、これから何が始めるのかと、顔を近づける それを見つめながら、あるときは大胆に、あるときは小声で、話しを続けた その瞬時のきらやかな瞳に、僕は思い切り見入ってしまった 既成の絵本を何冊か読んだ後に、ひなたはスケッチブックを取り出した 黄緑色のよく見かけるスケッチブックだけど、僕は直感した あの日のスケッチブック!! 彼女は最後にそれを胸元に抱きしめてにっこりと微笑むと 子供達を見回し、ゆっくりと話し始めた “ まぁるい国には・・・・・ ” 『 あら、またやってる これで、また完全に時間オーバーだわ!! 』 背中の声に振り返ると、その女性は僕を見て言った 職員用のエプロンをつけているところをみれば、ここの職員なのだろう 『 あの子ね、知的障害者なの ま、ボーダーラインってとこみたいなんだけどね 週に2回、読み聞かせをさせてるんだけど こっちの帰る時間も気にしないで、ああやって長引かせて・・・困っちゃうわ 』 僕は、はっきり言って驚いた 彼女は、いわゆる健常者と、どこも変わったところがなかったからだ 『 可愛いから・・・子供にも人気があるしね だれも何も言わないけど、こっちにとっては大迷惑 』 僕をどんな立場の人間と思ったのだろうか うんざりと言った顔をしながら言いたいことだけ言うと、その女性は部屋を出て行った 寒い一日でした・・・ 皆さまは大丈夫でしたか・・・? がんばって冬を乗り切りましょう!! |
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『 ニーハイ。。 』 声をかけた、その女の子は、ひと言こう言った 『 ニーハイ濡れちゃうもん、買ったばかりなのに・・・・・ 』 『 でも、ここにいたら、風邪引いちゃうよ 』 水溜りに映るネオンがしずくに揺れる 人ひとりがやっとの小さな軒の下で、彼女は震えていた まだ学生だろうか、大きなカバンから、薄い本が数冊とスケッチブックが覗いている 僕は持っていた傘を差しかけたけると、もう一度言った 『 ここにいたって、いつかは濡れちゃうよ せめて、駅まで一緒に行こう 』 しばらくの逡巡の後、彼女は頷くと、僕の傘に入ってきた 別に警戒するでもなく、それはごく自然に行われた体重移動のように 『 名前、聞いてもいい? 』 今思えば、何でそんな事を言ってしまったのか ただ駅まで送るだけ、それだけだったのに 『 ひなた 』 彼女は、長いストレートの髪を耳にかけながら 黒い大きな瞳を向けて微笑んだ 『 傘さんは? 』 『 あはは、僕はね、リベロって言うんだ 』 “ 傘さん ” が可笑しくて、思わず笑ってしまったが すぐに笑いをかみ殺して自分の名前を名乗った 『 リベロさん? 外国の人みたい 』 小さな疑問に気がついたことが嬉しいのか、ひなたは満足気にひとり頷いている ほっこりとした空気が傘の中にひろがる 『 あの、ここでいいです 絵の具を買っていくから、ここで ありがとうございました! 』 駅のアナウンスが聴こえる場所までくると 突然彼女はそう言ってぴょこんとお辞儀をした そして入ってきた時と同様に 僅かな体重移動ひとつで、ふんわりと傘から出て行った 『 ひなた! この傘をあげる! 』 僕は、走って後を追うと、傘の柄をひなたに握らせていた ニーハイを買ったのは、わたしでーーす ヾ( ̄∇ ̄=ノ バンザーイ♪ ニーハイとは、膝上丈のブーツのことでーーす♪ |
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