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歌番組ではない。歌の伴奏、つまり「うたばん」である。(上記ビデオは、Los Pollitos第3回ライブより「Uno」)
しかし「うたばん」なんていう言葉は、元々楽団のメンバーだけが使っていた業界用語だろう(今でもそうか)。その裏には、いろんなニュアンスがあって、「やれやれ、歌の伴奏か」とか「次、うたばんだから楽できるわ」とか、まあそんなように、通常の器楽曲(インストゥルメンタル)よりも、何となく格下に見ている感じもなくもない。
というのも、うたばんは、歌がメロディーを持って行くので、バックの伴奏はだいたいにおいてアレンジが単調でおもしろみがない。タンゴの場合は「四つ打ち」だらけになってしまうこともあるし、楽団がどんなに頑張っても、観客はたいてい歌しか聞いていない。だから、上記のような言葉が口をついて出てくるのもわかる。伴奏側からすれば、単調で(逆を言えば楽で)、おもしろみがなく、美味しくもない、それがかつての「うたばん」だった。
確かに、昔の楽団の人達はそうだった。我が先輩達にもそういう人がいたことは知っている。でも、僕らはそうではない。少なくとも僕はそうではない。僕はうたばんが大好きである。別に楽できるからというわけではない。僕が歌好きということもあるが、うたばんこそ、ベーシストの腕の見せ所という部分もあるからだ。そんなことは観客はまったくわからないと思うけども。
タンゴのオルケスタでは、誰がなんと言おうと、ベースがリズムの中心だ。ベースは同じリズムパートであるピアノと意思を同じくし、ピアノによって楽団を統率する。これが、タンゴのオルケスタの基本形だ(もっともこれによらない楽団ももちろんある。あくまで僕の考える基本形)。そこに「歌」という要素が加わるとどうなるか。歌は最強のリード楽器だ。誰がなんと言おうが、うたばんは歌が主役。歌に合わせて、伴奏は動く。ただ、歌手が微妙なフェイクをしたり、ためて歌ったりと、歌というのはとかくリズムが揺れる。いや、揺れて当然なのだ。しかし、時によってはその振れ幅は、普通の楽器の振れを大きく超越する。それくらい歌の世界は自由だ。そして、そのリズムをうまく生かすことは、歌手の(少なくともタンゴ歌手の)技量の見せ所となる。だから、歌は基本的には自由にガンガンやればいい。後は、バックの演奏がフォローする。そういう世界だ。
しかし、伴奏が1人や2人ならいざ知らず、10名とかそんな人数のオルケスタだったらどうか。それぞれの楽団員の感じ方はバラバラだ。しかもタンゴの普通のオルケスタには指揮者がいない。歌手がどんだけ突っ込もうが遅れようが、それをうまく拾い上げてフォローしてくれる人はいないのだ。だからこそ、ベースの出番となる。タンゴではよくテンポが遅くなったり早くなったりするが、あれも基本的には打ち合わせの元にやっている。じゃあ、どれくらいのテンポでいくか、それはベースが決める。ちょっとしたブレイクなどでテンポがなくなる時間の後、ベースが2音、音をはじけば、それがその後のテンポになる。だから、この2音はすごく大事だ。そして、こういうやりとりは、うたばんでもかなり使われる。歌は最後朗々と引っ張ってためたりすることは多いが、そのときも、エンディングのテンポを決めるのはベース(あるいはピアノ)だ。リタルダンドもそう。歌い出しのときのキュー送りにあたる、いわゆる「さんはい」的なきっかけもベースを中心として行う。要するに、うたばんにおいて、オルケスタでもっとも歌手とコンタクトをとっている楽器がベースなのだ(と勝手に思っている)。だからこそ、ぼくはうたばんが好きだ。
もちろん、それだけではない。僕は基本的に歌が好きだし、タンゴにはやっぱり歌が不可欠だとも思っている。すでに書いたとおり、歌は最強のリード楽器である。歌の前にはどんな楽器も、無力とは言わないまでも、勝ち目を失う。それはそれでいいのだ。歌が素晴らしい表現力を持っているのは間違いないし、素晴らしい歌のバックで演奏するのであれば、僕も本望だ。そして、観客はわからないかもしれないが、その歌を気持ちよく歌わせてあげているのは僕たち楽団の力だからだ。まあ、当たり前と言えば当たり前の話なのだが、タンゴ界における「うたばん」というのは、長らく特殊な世界にあったと僕は思っている。いつの間にか、楽団と歌手の間に見えない壁のようなものができてしまった。そういうのを僕は壊したいし、もっと歌を身近に感じてほしい。なんなら、楽団のメンバーが歌ったっていいのだ。だから、僕はときには自分で歌ったりもするし、まあそんなことで、うたばんの見方が変わるのであれば、それもいいだろう。要するに、僕はうたばんが好きだし、うたばんをできる限り多くやりたいと思っている。
ただ、最近、ロスポジは歌手が不在で、せっかくのうたばんに対する思いがうまく昇華できないでいる。つまり、消化不良である。やりたいことができずに、ここ数年うずうずしているのである。
というわけで、誰か、タンゴの歌を歌いたい方、ロスポジで歌歌いませんか?(と呼びかけてみる) 過去にも何曲もうたばんやってきましたし、いわゆるレパートリー曲みたいなものもあります。もちろん、持ち込みでも、何とか譜面作ってオルケスタ版にします。 上手い下手は問いませんので、やる気のある方お待ちしております!
参考として、過去にやったライブ音源とか載せておこうかな。懐かしいね。
El Ultimo Cafe
Remenbranza
Sur
(以上、初代歌手の今井君との演奏)
メンバー以外の人(僕の友人ら)ともやってましたね。
El Ultimo Cafe(w/yumiちゃん)
Madreselva(w/これりん)
やっぱり、これくらいの編成(オルケスタティピカ)でのうたばんって結構いいと思うんだよな−。日本ではアマチュアでも実はなかなかなかったりするので(最近ロスポジもメンバー集めるの大変だけど)、ぜひうたばん復活したいです!
ちなみに、もうひとつのバンド「Tango Gatos Negros」のほうは、そもそもバンドリーダーが歌手の安達君なんで、持ち曲でも歌が多くてうれしいです、個人的には。今日も練習ありましたが、やっぱうたばんはいいですね。
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歌の入った演奏についてはタンゴに限らず、こういったところありますよね。
歌手という立場からみて、伴奏を聴いて歌を愛している演奏かどうかはわかりますし、その逆に客観的にみたステージで歌手が伴奏を愛しているかどうかもわかります。その曲に対しどうでもいい感じが伝わるのは悲しいことです。
CAMAさんは歌に対する愛溢れる演奏で楽しいです♪
あと歌、もし私でよろしければ歌います!
2013/7/10(水) 午前 9:32 [ 安達玉樹 ]
玉ちゃん、ありがとー!
ぜひ一度ロスポジの練習にも遊びにきてくださいー!
2013/7/11(木) 午後 11:16 [ CAMA72 ]
是非伺わせてください!
2013/7/13(土) 午後 4:51 [ 安達玉樹 ]