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アストル・ピアソラが作曲し、オラシオ・フェレールが詩をつけた「タンゴ・オペリータ」、「ブエノスアイレスのマリア」。全部で90分くらいのプログラムのため、なかなか演奏される機会もないこの作品に、小松亮太が挑みます。しかも、「ブエノスアイレスのマリア」初演の主役「マリア」を演じた名歌手、アメリタ・バルタールが来日し、マリアを演じるとか! これは行かないわけにはいきません。話を聞いてすぐにチケットを取り、数ヶ月。いよいよその当日がやってきました。
タンゴ通からしてもマニアックな演目ですが、お客さんは大入り満員。チケットはソールドアウトだったそうです。いわゆるタンゴファンのような方ばかりではなく、いろいろなタイプのお客さんが来てました。これも小松亮太君の日頃の活動のおかげでしょうか。タンゴもすっかり一般的な市民権を得たんだなーと思います。
プレイヤーがまたすごいです!バンドネオン小松亮太君をはじめ、バイオリンは近藤久美子さんとファンダンゴスの谷本さん、ピアノは黒田亜紀さん、ベースは田中伸司さん、ギターは鬼怒無月さん、チェロは松本卓似さんと、おなじみのオールスターファミリーといった感じ。これにビオラやビブラフォン、ドラム、フルートが加わり、10重奏団編成で演奏しました。これだけのメンバーを集めるのも大変だろうし、リハやるのも大変だったと思います。でも、演奏は本当にバッチリで、当たり前ですが上手ですね。ホールもよかったので、音響もよく、包まれるようなサウンドを堪能できました。特にギター、ベースあたりの音から始まって、徐々に弦が加わっていったり、ほかのパートが加わってサウンドが厚みを持って行くときのふわーっとした盛り上がりがすごくよかったです。ああいうのは、さすがプロだなーと。もちろんこれだけの編成でやるからというのもありますが。
もちろん演奏も素晴らしかったけど、驚きはやっぱりアメリタ・バルタールでしょう。白状すると、実際に今日を迎えるまでは、彼女の歌にはそれほど期待してませんでした。さすがに70歳を超えてますし、YouTubeで最近の映像を見た感じでは、あまり声が出てなかったので、まあ厳しいかなと。でも、今日のアメリタは素晴らしかった! もちろん全盛期ほどとは言いませんが、すごくうまく歌っていて、衰えをあまり感じさせない歌いっぷり。いつもCDで聞いているあのアメリタ・バルタールの歌声が、すぐそこで響いているのです。しかも「マリア」ですよ! なんだかそれだけで、このゴージャスなサウンドに包まれながら、少しうるっと来てしまいました。歳ですね。。
会場のお客さんもそういう迫力にすっかり飲み込まれたような感じで、どんどんヒートアップ。タンゴの一般的なコンサートでこんなに盛り上がったことは、なかなかないのでは? もちろん小松亮太ファンとか、そういう方もいらっしゃったと思いますが、アメリタの歌がやっぱり一番拍手が大きく、それは確かにそうだよなと思いました。最後はもうスタンディングオベーションで、アメリタをはじめとした歌手・ナレーション、それから小松亮太率いる十重奏団に拍手の嵐でした。いや、本当に素晴らしかった!
ちなみに、コンサート会場では結構いろんな人の姿をお見かけしました。タンゴプレーヤーの方が多かったですね。やっぱりみんなこのコンサートの重要性はよくわかっているんでしょう。アメリタ・バルタールのマリアを見られる機会はもうほとんどないかもしれないし、そもそもマリアの生演奏を聴ける機会もそうそうありませんから。そういう意味で、実に意義深く、しかも素晴らしい演奏会でした。
参考:「受胎告知のミロンガ」アメリタ・バルタール
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