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実は以前から、タンゴのリズムについて、後輩達に伝えなければ、と思って、ホームページを作ったりいろいろしていたのだが、最近あまりそういうこともなく過ごしていた。でも、また最近、タンゴは初心者というアマチュア演奏家の方といっしょに演奏する機会ができ、基本的なもろもろを説明する必要が出てきたりしているので、ついでだから、ちょっとまとめておこうかと、タンゴのリズムに関するプチ講座を書き記しておくことにした。なお、この講座は、あくまでもベーシスト視点から書いているので、各楽器における細かい演奏技法などはほぼ無視している。
まずは、下の図を見てほしい。これは、タンゴの基本中の基本曲といわれる「La Cumparsita」のベースの出だし4小節だ。コードはDm。この4小節のコードは「D7/D7/Gm/Gm」である。
この譜面を純粋な4ビートと考えて見ると、なるほどタンゴは4拍子の4ビート音楽であるのだなと思う。4ビートというのは、1小節に4つビートがある音楽で、ジャズとかロックとか、ほとんどのポピュラー音楽の基本はこの4ビートでできていると言っていい。で、おそらく、そういう音楽に慣れていると、この楽譜を見た際に、「レーファーレーファー、ラーレーラーファー」と弾くだろう。ジャズのベーシストだったらまずそうするはず。でも、当然ながらそれではタンゴにならない。なぜか? それは強拍と弱拍がないからだ。
タンゴでは、基本的にこういう形の4ビートの譜面を「4つ打ち」と言ったりするが、この4つ打ちの形が出てきた際に、タンゴの演奏家は、1拍目と3拍目を強く短く弾く。逆に2拍目と4拍目を弱くやや長めに弾く(スタッカートの場合を除く)。そして、タンゴのリズムの基本はスタッカートにある。だから譜面上は8分音符でも、音価的には16部音符くらいの長さしかなかったりする。ここがポイント。クラシック風の正しい書き方だったら、もしかしたら下記のようになるかもしれない。
まずは、これがタンゴのリズムの基本中の基本である。これさえ意識すれば、もう全然タンゴっぽくなるはずだ。言葉で書くと、「レ・ファ・レ・ファ、ラ・レ・ラ・ファ」てな感じ。
しかし、これをもう一歩進めてみよう。
タンゴでもジャズでも、基本になるのは、16小節のコーラスである。16小節というのは、非常に数学的な数字で、4小節が4つ分ということだ。上にあげた例は、そのうちの4小節分を取り出したものだが、この4小節で、フレーズとしては1つのブロックということができる。4ビート×4小節で16個のビート。これでワンセットという意味では、タンゴもジャズもロックもボサノヴァもさして変わらない。
で、この4小節を有機的に結びつけていくためには、ちょっとしたブリッジ的な、若干シンコペーションと言ってもいいようなリズムの変化をつけると効果的だ。具体的に言うと、上で弱拍と定義した4拍目の音をブリッジ的に使う。譜面上で書くと、こんな感じになる。
そんな具合で、一番上に書いた楽譜を見て、一番下の楽譜のように演奏するのが、タンゴの演奏家なのである。じゃあ、そう書いてよ〜、という悲鳴も聞こえてきそうだが、だって面倒なんだもーん。それに休符ばっかで譜面が見づらくなるし〜、というのが、タンゴ演奏家のいいわけ(笑)。でも、これを知っているか知らないかでは全然違うし、すべてのタンゴはこの基本を基にしていると言っても過言ではないと思うので、ぜひマスターしてほしいと思う。
(続く)
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