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作曲:フランシスコ・カナロ、作詞:ルイス・セサル・アマドーリ(映画監督) 「Madreselva」は、古典タンゴの中では名曲とされるような歌曲だと思うが、意外に、まわりのタンゴ好きな人が人が知らないようなので、あえて紹介しておこうと思う。 とは言っても、僕もそれほど詳しくないのだが、僕の場合、フランシスコ・カナロ楽団の古くさーい演奏が割と好きなので、その関係でカナロ楽団の演奏をよく聴く。それ以外の演奏を聴いたことがないので、カナロを聴かない人にはあまり知られてないのかもしれない。基本的には歌バンなので、歌手の歌が入ってナンボなわけだが、中でも有名なのは、ガルデル版と、ここに挙げたリベルタ・ラマルケ版ではないだろうか。 もともとこの曲は、カナロが作ってガルデルやアダ・ファルコンらが1930年代に歌っていたらしいが、その後ラマルケの主演するタンゴ映画の主題歌として使われて有名になったらしい。10年前くらいに上映された「Il Postino」というイタリア・フランス・チリの合作映画の主題歌でも使われたが、それはガルデル版だった。ガルデルの歌うこの「Madreselva」のレコードに合わせて、チリの亡命詩人パブロ・ネルーダが恋人とタンゴを踊るシーンは忘れられない。ちなみに、この映画でパブロ・ネルーダを演じたのは、「ニューシネマパラダイス」にも出演して好演していたフランスの名優フィリップ・ノワレである。 音楽自体は非常に単純な歌のタンゴである。ガルデルの歌で言えば「Mi Buenos Aires Querido」とかに通じるような単純なモチーフで、いわゆる「サビ」から始まり、長調で展開して、短長で締めくくる。典型的なタンゴだ。でも、それがいい。タンゴという音楽は、元は歌から始まったというくらいだが、この頃のタンゴを聴くと、まだまだそんな感じが詰まっている。ガルデルの歌うタンゴが今ひとつ、僕らのイメージする「タンゴ」らしくないと感じるのは、むしろ典型的な4拍子(タンゴ的には2拍子)のタンゴではなくて、歌い手の歌い方によって曲を揺らす音楽だからかもしれない。そんなにビートが効いているわけでもなく、むしろさっぱりしているくらいだが、でもこの「Madreselva」を音楽のジャンルで分類するなら、間違いなく「タンゴ」である。それも「ど」が付くくらいのベタなタンゴだ。だから、いいのだ。この曲はそういう心を持っている。名曲である。 さて、ここで紹介したのはガルデルでなく、ラマルケ版だ。リベルタ・ラマルケと言えば、かつてのペロン大統領の愛人と称されたほどの、国民的アイドルであった。まあかわいこちゃんの映画スターが歌う歌だから、ということで、ラマルケの評価を下げる人もいる。しかし、僕はまったくそうは思わない。ラマルケは確かに当時のアルゼンチンのアイドルだったかもしれない。歌い方だって、ルックスだって、可愛らしい感じのアイドルだ。でも、それのどこが悪いのか? 山口百恵や松田聖子が歌手としてダメだったとでもいうのか? そんなことはない。ラマルケは、男性歌手のガルデルを除けば、映画スターとしてむしろ有名だった唯一の存在だが、それは彼女のタレントがそうさせただけのことであって、それで歌がダメというのはまったくあたらないと僕は考える。アイドルっぽい、甘ったるい歌い方が嫌い、というのなら仕方ないが、そうでなければ、ラマルケのこの可愛らしい(しかもかなりのハイトーン)歌い方は、相当いいと思う。高音の出方で言えば、往年のスターであったメルセデス・シモーネにも近い気がするのだが(シモーネファンのタンゴマニアな方はすみません)、どうだろうか。 まあそんなリベルタ・ラマルケと「Madreselva」だが、来月のロスポジ4th Liveで、この曲の演奏が聴けるかもしれませんよ! もちろん歌入りで。まだ一度も練習してないのでどうなるかわかりませんが、この古くて、あまり人が聴かないタンゴの名曲を、ロスポジ&○○○さんの力でぜひ現代に蘇らせたいと思ってます。お楽しみに!
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