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米国で2週間に1回配信される近年のがん医療の進歩をまとめたCancer Bulletinから興味深い記事を紹介します。 癌治療中の患者は、病気による疼痛や不快感にしばしば悩まされるだけでなく、治療による衰弱という副作用の可能性もある。 このような副作用を軽減する緩和ケアを適切に受けていない患者や、闘病中に少しでも楽になれることがあれば何でもしたいと考える患者は、抗癌作用や健康を補助する作用が広告されているサプリメント(健康補助食品)に頼ることがあるが、医療者に相談せずにそうする場合が多い。 このようなサプリメントはハーブ(薬草)やその他の天然物である場合が多い。「『天然のものであれば安全だ』という考えは、一般的に陥る間違いです」と、スローンケタリング記念がんセンターで統合医療科部長を務めるDr. Barrie Cassileth氏は述べている。「ハーブやその他のサプリメントは生物活性化合物で、処方薬と相互作用して悪影響を及ぼすことが多いのです。」 さらに、ますます多くの研究でも示されているように、一般的に使われているハーブやサプリメントは癌の化学療法あるいは放射線療法と相互作用を引き起こし、生命に危険を及ぼす可能性がある。 広がる使用 1998年にCassileth氏と共同研究者により出版された系統的レビューによると、21件の研究中、ハーブやその他のサプリメントを含む補完代替療法(CAM)の癌患者による使用は7%〜64%であり、平均でおよそ31%であった。 CAMの使用は過去11年間で最も増えたと考えられる。メイヨークリニック総合がんセンターによる2004年の研究では、初期化学療法の試験に登録した患者の80%以上が、補助的にビタミン、ハーブ、あるいはミネラルを摂取していることがわかったが、これらは試験プロトコルで明確に禁止されている場合が多かった。 米国中西部の腫瘍クリニックにより2005年に発表された研究では、化学療法を受けている患者の65%がビタミン以外のサプリメントを併用していた。このうちの25%が、化学療法剤との相互作用で悪影響を及ぼすと考えられるハーブ療法を1種類以上使用していた。大部分の患者はサプリメントを使用する前に医療者に相談していなかった。 危険な相互作用 「われわれは、患者さんが化学療法あるいは放射線治療を現在受けているか、または今後受けるつもりがある場合は、ハーブ、抗酸化剤、サプリメントの一切を摂取しないように伝えています。特にハーブについては、化学療法剤あるいはその他の薬剤を投与しても相互作用を起こし体内の薬剤量レベルを下げてしまう 場合があるため、注意しなければなりません」とCassileth氏は説明している。 このような影響は薬物動態学的相互作用によるもので、化学療法剤が吸収され、体内に運搬され、代謝され、あるいは排泄される過程を、ハーブの生物活性化合物が変化させる場合に起こる。この相互作用が起こるのには、通常肝臓で薬剤を分解する酵素の阻害、細胞膜を介して薬剤を運ぶ輸送体との相互作用などといった多くの原因がある。化学療法剤と薬物動態学的相互作用を起こすと考えられているハーブ製品には、セントジョーンズワート、ニンニク抽出物、およびエキナセアなどがある。 薬物動態学的相互作用には二つの悪い結果が考えられる。ひとつは血中を循環する化学療法剤の濃度が必要量を下回り、治療が失敗することである。もうひとつはその反対の作用で、化学療法剤が予定通り分解されず、体内から排出されない場合、過剰摂取となって重篤な副作用が起こりうることである。 天然物についての信頼できる情報源 ・米国立補完代替医療センター:Herbs at a Glance ・NCIの癌補完代替医療オフィス:CAM Therapies A-Z ・スローンケタリング記念がんセンター:About Herbs, Botanicals, & Other Products 意に反してがん細胞を保護 ビタミンEのような抗酸化剤でさえ治療の妨げとなる可能性がある。放射線治療およびある種の化学療法は細胞のDNAに損傷を与えるフリーラジカルを発生させることで作用する。抗酸化剤はこの治療効果を妨げる可能性があるという。 「皆さんは、抗酸化剤は正常な細胞のみを守ってくれるだけだろうと考え高用量を摂取していますが、正常細胞だけでなく腫瘍細胞も保護することが前臨床データと臨床データでは示されているのです」とサンディエゴの米海軍医療センター(Naval Medical Center)で放射線腫瘍医を務めるDr. Brian Lawenda氏は説明する。 2008年、Lawenda氏と共同研究者らは、放射線治療あるいは化学療法中の抗酸化剤について調査した、これまで発表されたランダム化試験の結果のレビューを行い、「化学療法および放射線治療中に高用量の抗酸化剤を補助的に摂取することは、腫瘍を保護し、生存率を下げる可能性があるため、避けるべきである」と結論付けている。 希望の兆し? 現在、医師は患者に市販のサプリメントを癌治療と組み合わせないよう警告しているが、化学療法の効果を高める方法を模索する一部の癌研究者らは、ハーブやその他の天然物の生物活性に注目している。多くのハーブについては化学療法を妨げることが明らかになっているものの、実際にその効果を高めると考えられるハーブもあるのだ。 「一部の補完的なアプローチと従来の治療との相互作用は、癌補完代替医療オフィス(OCCAM)が特に注目している分野です」とOCCAMの所長を務めるDr. Jeffrey White氏は述べている。「われわれは天然物をどう利用すれば、従来の療法における治療指数を改善できるか考えているのです。」 OCCAMは、伝統的な漢方薬数種類を化学療法剤イリノテカン、カペシタビン、およびゲムシタビンと併用した場合について現在行われている臨床試験を支援し、さらに天然物と伝統的治療との相乗的相互作用の調査に関心を寄せている研究者らに対して資金を提供する二つのプログラム(PA-09-167とPA- 09-168)を最近発表した。 - Sharon Reynolds「NCIキャンサーブレティ日本語版」は、NCIから翻訳許諾を得て「一般社団法人日本癌医療翻訳アソシエイツ」が翻訳・監修し、NPO法人キャンサーネットジャパンが配信しています。CNJ会員、養成講座受講生には、毎回発信されています。 |
がん治療最新情報
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既に、ご承知おきの方も多いかもしれません。昨年4月21日、中外製薬から厚生労働省に製造販売の承認申請が提出されていた商品名:アバスチン(一般名:ベバシズマブ)が、先日4月18日足掛け一年の審査期間を経て承認されました。 承認を得た対象(適応症)は、「治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌」となっています。商品名:アバスチン(一般名:ベバシズマブ)は、がん組織に栄養と酸素を供給する血管網の伸張を阻害するはじめての治療薬で、既に臨床試験でその有効性が証明され、アメリカやヨーロッパなどで販売されています。 承認条件として、「国内での治験症例が極めて限られていることから、製造販売後、一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は、全症例を対象に使用成績調査を実施することにより、本剤使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること」とされています。 また、中外製薬のプレスリリースによると「患者さんの安全性確保ならびに「アバスチン®」の適正使用推進を最優先とし、発売後一定期間は、がん化学療法に精通し、かつ消化管穿孔、出血等の副作用への緊急対応が可能であり、全例調査に協力いただける医療機関にのみお取り扱いいただくこととなります」とあり、この承認をもって、全ての施設で使用可能というわけではないようです。 未だ、詳細情報について承知しておりませんので、この件に関しては現在かかっている施設・主治医、がん診療連携拠点病院の相談支援センター等に問い合わせされる事をお勧めします。 |
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YUMIURI ONLINE「悪性胸膜中皮腫」の治療薬承認、今年度中にも発売にもあるように、アスベストによる発症が問題となっていた「悪性中皮腫」に対し、新規抗がん剤の「ペメトレキセド」(商品名:アリムタ)に対し、厚生労働省より製造発売承認が与えられました。 悪性中皮腫に対しては、シスプラチン(商品名:ランダあるいはブリプラチン)との併用療法での有効性が報告されており、シスプラチンについても悪性中皮腫に対し、効能効果が追加されました。 「ペメトレキセド」(商品名:アリムタ)の製造販売元は、非小細胞肺癌・膵臓癌などに適応症を有する「ジェムシタビネ」(商品名:ジェムザール)を販売するイーライリリー株式会社です。同社のホームページにおいてもプレスリリースが閲覧可能になっています。 |
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