ニホンオオカミを探す会の井戸端会議

このサイトへのリンクはご自由にどうぞ。無断転載・出版への利用などは禁止します。

ニホンオオカミ

すべて表示

五月の或る晴れた日に

70歳間近かになるとトイレが近くなります。
夜は出来るだけ水分を取らない様気を付けるのですが、認知症もどきの私ですからそれすら忘れてしまいます。
(若しかしたら皆さんは、認知症もどきの文面を読んでいるのです。)
幾度もトイレに起きた、そんな或る日の早朝。
窓から外を見たら月が煌々と照っていましたので、寝るのを止め山に向かいました。
 
走り出して直ぐ、今日が51日だと気が付き失敗したと思ったのですが、秩父市街を越えても予想外に交通量が少ないのです。
旧大滝村内に入って間もなくその理由が解りました。
三峯神社の白い気守り配布が11日に変わったのです。
4/1の気違いじみた大渋滞が周辺の住民に混乱を招き、大型連休と重なった今回は11日に繰り延べした訳です。

イメージ 1
11日に繰り延べを示した看板
    
ところで、140号線の沿道には早朝から、タイガーマスクを始めとする様々な格好をした人たちが歩いていました。
その中の女装をした一人に訳を聴きますと、≪日本横断「川の道」フットレース≫とのことで、葛西臨海公園を昨日900に出発し、荒川沿いに北上し熊谷から長瀞経由で両神経由で上野村へ、それから佐久市に入って千曲川沿いで飯山市に抜け信濃川に沿って新潟港着が55日、延々520km56日の長旅をするとの事。
数年前まで中津川集落から三国峠を越え川上村を抜ける・・・荒川を遡り千曲川・信濃川を下る「日本横断川の道」だったらしいのですが、現在中津川林道は閉鎖中ですので、ルートが少し変わったみたいです。
どちらにしても私たちの捜索地域とピッタリ一致する訳で、とても親近感を感じました。
「世の中には色々変わったことをする人がいるんですね!私たちも変わったことをやっているけど。」って云いましたら、興味を持って私たちの活動を聴いてくれました。

イメージ 2
日本横断「川の道」フットレース出場の皆さん
    
5台のカメラメンテナンスが終了し、お不動様に着くと滝見物の先客が一人居りました。
先客は、大きな荷物を背に山から下って来た私を不思議そうに見ながら、「オオカミ探しの方ですか?」と聴くのです。
返答に困った私にたたみかける様「テレビに出ていた方ですよね!」とも云うので、「そうですよ」と答えると、それを契機にオオカミ談義が始まりました。
ベンチに座り話を交わすうち、周辺の地理にやたら詳しいのでその訳を聴くと、川向うの栃本集落に実家が有るとのこと。
米寿を迎えたお母さんは、お不動様から1時間を要す山中の「大徐ヶ集落で小さい頃生活をしていた」と教えてくれたので、昔話を聞きたくなり実家に案内願いました。
滝見物の帰り、1998211日に吊り橋を渡った私の後方からの咆哮は、大徐ヶ集落近くからだったのです。

イメージ 3
大徐ヶ沢・不動滝(伊藤博之さん撮影)

イメージ 4
大徐ヶ沢のお不動様

イメージ 6
大徐ヶ沢集落跡

イメージ 5
この山域に5台のカメラが・・・
 
お不動様での先客は山崎幸雄さんと名乗り、栃本集落で1軒だけの山崎姓ですので、何処から移住して来たのか伺いますと、ダム工事か何かで新潟県から仕事に来て、家持のお母さんと知り合ったとのことでした。
大徐ヶ集落での生活は、子供でも空身で栃本集落との往復をする事が無いなど、山家育ちの私でも想像を絶するものでしたが、周りの皆がそうした環境なら左程苦痛で無かったのかも知れません。
山崎さんは50才代で現在草加市にお住まいとのこと。
栃本を離れて数十年経ているそうですが、私にとって非常に重要な一言をつぶやきました。

イメージ 7
山崎家近くの「栃本のふせぎ場」と「馬頭観音」
(ふせぎ場とは集落の東からの入り口で悪疫や盗賊を防ぐ場)

イメージ 8
栃本集落の春

イメージ 9
集落のシンボル栃本関所跡

イメージ 10
山崎幸雄さん・自宅前で

イメージ 12
山崎家の庭に咲く絶滅危惧種の熊谷草
 
山村で耕作しても獣に食べられるから、耕作地に囲いをするか耕作放棄をするかになってしまうが、小さい頃はそんなことなかったし、そもそも山に行っても獣を見た事が無かった。
栃本を離れるまで20年近い間で鹿を見たのは1回きりだったし、クマ等全く縁が無かった・・・。
この事は米寿を迎えたお母さんも同意見でした。
 
何を意味しているか・・・と云うと、「ニホンオオカミの存在が無くなって鹿・イノシシ等の獣害が増加した」「獣害を防ぐために、大陸からオオカミを導入する」とする理論の矛盾を明らかにする事例なのです。
私がオオカミ調査で奥秩父の山村を巡った30年前、各集落には名人と呼ばれた猟の達人が居り、獲物の亡骸を前に猟の様子を語ってくれました。
そして達人たちが山から去り、今、山中で猟を行っているのは多くが日曜ハンターで、その数もほんの僅か。
つまり、山中の獣たちにとって「狩猟圧」が減ったのであって、「狼圧」が減ったのでは無いのです。
であるなら、獣害を減らすための方法は狩猟圧を増やすことになりますが、「山は獣たちが先住権を持っている」ことを忘れていけないと、私は考えています。

イメージ 11
奥武蔵猟友会会長の柿沼さん

.


みんなの更新記事