ニホンオオカミを探す会の井戸端会議

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ニホンオオカミ

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サイエンスの中で嘘はタブー

2003年3月31日 東京大学農学部で行われた日本獣医学界に於いて、帯広畜産大学(現在岐阜大学教授)石黒直隆助教授が非常に興味深い発表を行っている。 
講演を友人の読売新聞記者伊藤譲治氏が録音し、私が文字起こしした要旨が以下の通りです。



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石黒直隆岐阜大学応用生物科学部教授



 
【・・・・・・・先程ニホンオオカミに近い物が日本のイヌの中にいると申しましたが、部分的に示しますと、例えばニホンオオカミのJW237というのはここの部分がイリュウジョンしています。
8の塩基のイリュウジョンが有るのですけども、これと全く同じイリュウジョンを持っているのが紀州の27。
これは私のデーターベースの名前ですけども、同じです。
こういったように、ミトコンドリアDNAの中で8塩基がイリュウジョンするのは、非常に珍しいんです。
ですから例えば237と27がどれくらい違いが有るかというと、600ベースのうちたった1ベースしか違はない。
ですから非常に近い物が、日本のある種の系統の中にある。
だいたいハスキーに比べて見ても、600ベースの内3〜4エイトの置換、違いがあると言うことになる。〈後略〉】
 
かいつまんで説明すると一例ではあるが、紀州犬とニホンオオカミの頭骨を遺伝子レベルで比較したら、600ベースの内1ベースしか違わなかった・・・・。
ある系統の紀州犬の中には、ある産地のニホンオオカミと殆ど違わない遺伝子を有していた。
ただ、あくまでも20年前の研究報告で、しかもミトコンドリアDNAでの解析に於いては…だ
 
朝日新聞2017年12月17日の「科学の扉・古代人のDNA探る」に依ると、細胞内にひとつしかない「核」に含まれる「核DNA(ゲノム)」を調べることが出来る様になり、これまでの数千倍の遺伝情報を読み取ることが出来た・・・としている。
この様に、古代人のDNA解析技術をニホンオオカミに適応できるようになれば、謎の部分が多いニホンオオカミの解明も近づくのかも知れない。



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朝日新聞20171217日の「科学の扉」



一卵性双生児の場合、生命の設計図と云われるゲノム(遺伝子)はクローン同様、同じなんだろうか?
それとも性格が違う場合が殆どであるのだから、少しは違っている部分が有るのか・・・
一卵性双生児の場合でさえ価値観、性格等違って居るのだろうから、血縁の無い他人同士であったなら、多くの価値観があって当たり前なのかも知れない。
 
ニホンオオカミという極狭い分野においても、吃驚するほど多くの考え方があり、種々雑多な価値観を持ち合わせている人達が存在している。
『ニホンオオカミは絶滅しているし、大陸オオカミの一亜種に過ぎないから、森林被害の元凶である鹿駆逐の為、大陸からオオカミを導入すべきだ!』という考えの人たちが居るかと思えば、
『ニホンオオカミは絶滅していないが、森林生態系維持の為大陸オオカミ導入はやむを得ない!』という考えの人も居る。



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日本オオカミ協会機関紙創刊号



私が秩父山中で犬科動物の写真撮影に成功し、秩父野犬と命名され、ニホンオオカミ生存の可能性に言及された翌年、1997年の春!
私と同じ上尾市在住のT氏から一通の書簡が届けられた。
T氏の肩書きは 環境庁自然公園指導員、日本山岳会員、日本山岳ガイド連盟会員、と仰々しい物で、小心者の私などはそれだけで圧倒されるほどだった。
プロフィールも輝かしいもので、有名私立大学卒業後、地元では超一流の自動車産業専務取締役まで務め、その子会社の社長を渡り歩いていた。
そんなT氏から届けられた書簡にさっと眼を通した私は愕然とし、動揺する気持を抑える事が出来なかった。



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奥秩父山系幻のニホンオオカミの生存を求めて50年



T氏からの文面は  
1 『秩父野犬撮影場所の特定。』
2   撮影同年の5月、同行のM氏と共に同地域にて秩父野犬と遭遇した。』
3   諸々の点で秩父野犬は、成犬時まで人に飼われていた。』
 等とするもので、撮影地点近くにある渓流釣り場のゴミ捨て場に、多くの野生動物が集まり、その中に秩父野犬もいた・・・と述べていた。
 
それまで多くのエネルギーを掛けイヌ科動物の勉強をしてきたつもりだが・・・秩父野犬は今春生まれたばかりで亜成獣の筈なのに、私の診たて違いだったのか・・・?
同年5月にT氏M氏が見たのであれば、成獣だったのか・・・!そんな思いが頭の中に過ぎりながら、改めてもう一度読み返してみると、最終章の文面「撮影地点より若干下流の谷は『狼窪』と呼ばれ、大正閣の裏には『狼岩』もあり、狼が生存したと考えられます。」の二行から眼が離れなくなった。



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飯能市(旧名栗村)の大松閣



手持ちの地図を取り出して「狼窪」の位置を確認してみると、T氏が指摘する撮影地点の下流ではなく、私の認識通り上流である。
そして「狼岩」が有ったとされるのは大正閣では無く、大松閣のはずである。
その村の中で大松閣は非常に大きな存在で、間違えようが無いほど到る所に大松閣の文字が氾濫しているのだから、「耳から入った情報。眼で確認してない筈!」。
T氏の文面は作為を持った嘘だろう!」・・・そんな当たりを付けて、次の休日現地に車を走らせる事となった。



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秩父野犬の撮影現場







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地図で示す狼窪(黄印)




私の予感は“見事”と表現したいほど的中していた。
おまけにお土産付きで!
渓流釣り場の食堂で昼食を取りながら、山の様子を聞こうと話し掛けた老人が、私の疑念全てを取り除いてくれる事となった。
老人は、今回の件に関しT氏に情報提供したその人だったのだ。
老人・・・釣り場の責任者小沢氏は地元の人で、勿論近辺の山にも造詣が深かった。



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現在の渓流釣り場



私が渓流釣り場の食堂で昼食を摂った様に、初対面のT氏が食堂に現れたのは、1ヶ月位前の事だったと言う。
休憩しながら話す中、T氏が秩父野犬の撮影現場を教えてくれると言うので、T氏の車に同乗しその時「狼窪」と「狼岩」の事を教えてあげたとの事だった。
頷いて耳を傾ける私に、小沢氏は信じられない事を話し出した。
私が秩父野犬の写真撮影に成功した2ヶ月ほど後、同じ谷でニホンオオカミらしき動物を見た地元の人がいる・・・!この前T氏にもその話を教えてあげた!・・・・。



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2ヶ月後に遭遇した柿沼洋治氏



その時確か、私と小沢氏の間にこんなやり取りが有ったと記憶している。
T氏が5月に秩父野犬を見た話は知ってますか?』
T氏はそんなの見てないよ!私が教えた話(秩父野犬撮影2か月後の目撃情報)を交ぜ返してるだけだよ!』
『とすると、T氏の話は全て小沢さんからの話で、本人は何も知らないんですね』
『そらそうだ!この前Tさんから礼状が来て、この話、誰にも言わないでって書いてたよ!』
 
今でもそうだが、私は山人達から話を聞くとき、いつも録音しながら聞くようにしている。
“貴重な証言を後世に残すべく・・・”と、研究仲間と言うより師と表現した方が相応しい、井上百合子氏のアドバイスで始めた事である。
今迄の長い積み重ねの中で、私の部屋に収録されたテープが、ケースの内外に雑然と納められている。
テープの存在が有ってこそ、ニホンオオカミ生存の軌跡を認める事が出来るのだと、今となっては井上氏に感謝、感謝なのだが・・・。



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私の師とも言うべき井上百合子さん



早い話、秩父野犬撮影現場を誰かに聞いて(注1)、見に行く途中立ち寄った食堂で耳寄りな話を聞いた・・・。
些細な事で以前やり合った事がある私に一泡ふかす為、有りもしない話をでっち上げた・・・。
そんな事だったのだろうが、それが後々大きな波紋となって、自らの人生に汚点を残す事になるとは、T氏は想像だにしていなかった。
後年T氏は“奥秩父山系幻のニホンオオカミの生存を求めて50年”なる小冊子を作り多くの部数を無料配布しているが、私の撮影した秩父野犬の写真を無断使用している。
それ以上にT氏の行動が決して許せない、卑劣な行為だと事あるごとに私が言うのは、秩父野犬が何だったのかは兎も角、有識者を含む多くの人たちに間違った材料を提供し、真っ当な判断から程遠いところへ、彼らを導いたからである。
“サイエンスの中で嘘はタブー”を犯して、どうなるかは、数年前の考古学会を見るまでもない。(注2)



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人間不信に陥らせたY氏の文章







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2000年の旧石器捏造( ねつぞう)事件を記した書籍




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掲載した文面は2003年秋頃記した物で、2015年8月21日にこの欄で記した「困った人・許せない人」の内容と重なる部分が有ります。
しかし、次回の「瓢箪から駒」をご覧頂く為に必要な部分ですし、FaceBook「秩父の山でオオカミを探す旅」の閲覧者には,未知の記事ですのでご理解願います。
(注1)2015年8月21日掲載「困った人・許せない人」に詳細。この件以降は、互いに信頼できる者十数人とで,密かにと言える範囲での活動に留めている。
(注2)2014年9月2日掲載「石の虚塔」に詳細。
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