3月21日 関西フィル第236回定期演奏会
こちらも随分昔の話になりました…(涙)。
先日更新したクラシックの記事、それと同じく3月に行われました定期演奏会です。
この日はこういうプログラムでした☆
指揮:飯森 範親
独奏:木嶋 真優(ヴァイオリン)
[プログラム]
◆ムソルグスキー:交響詩「はげ山の一夜」[原典版]
(「聖ヨハネ祭の夜のはげ山」)
Modest Mussorgsky:“Night on Bald Mountain”[Original Version]
(“St.John's Night on Bald Mountain”)
◆ハチャトゥリアン:ヴァイオリン協奏曲 ニ短調
Aram Il'ich Khachaturian:Violin Concerto D minor
◆カリンニコフ:交響曲第1番 ト短調
Vasily Kalinnikov:Symphony No.1 G minor
仕事を終えて慌てて向かった会場…。
この日は締め日の直後で結構忙しく、ギリギリになってしまったのでした…。
おかげで指揮者のプレトークを聴けなかった…▄█▀█●il||li。
ムソルグスキーの交響曲「はげ山の一夜」は結構有名というか、メジャーな曲なのでご存知の方も多いと思います。
ただ、今回プログラムに取り上げられたのは原典版!
リムスキー=コルサコフ編集の版はよく取り上げられるんですが、よくよく考えると演奏会で原典版は珍しいんじゃないかな?
きよこも今回が初めてでした。
元々の題名は「聖ヨハネ祭の夜のはげ山」という名前らしいです。
リムスキー=コルサコフの手によって編集されたものは、非常に耳に馴染みやすいものなんですよね。
ただこちらのものは、というと。
聖なるお祭りの前には、魔物や妖精などが現れて悪さをするというか、お祭り騒ぎをする、という逸話を主題にして作曲されたものだそうで…。
そう、どちらかというとおどろおどろしい、なんとも不気味な雰囲気が漂う逸品となっております(笑)。
さて、勿論あの超有名な主題などは健在なのですが、聴き比べてみるとその両者の違いが楽しめてこれはまたこれで面白い曲でありました。
リムスキーの方は、やはり同じ主題にしても、背後のパッセージなどに色付けの違いが顕著ですね。
その点、原典版はというとその辺がリアルにグロテスクな感じ(笑)。
飯森さんの演奏、これまた他のオケでは何度も拝聴しているのですが…。
関西フィルはやはりいい楽器になっていますねぇ…。
元々素直な一面というか、指揮者の意図する音楽を他のオケ以上に素直に出す楽器だと思うんですよね。関西フィルって。
基本的に指揮者と楽団員さんの間には、同じ音楽家としての意識のぶつかり合いがあるんですけれども、指揮者の意図する音楽をいかにその楽器であるオケから引き出すか、それは指揮者がどれくらい音楽家である楽器、オケの楽団員に気持ち良く演奏させるか、にかかっているという気がします。
それでいて、そのオケが気づかないうちに(笑)、思うような方向に大局的に向かわせるのが指揮者っていうのかな?
飯森さんは山形交響楽団という一地方オケを、一躍有名にしたプロデュース能力、マネジメント能力の高い指揮者さん、というイメージでした。
その音楽も、どちらかというと理路整然として頭でっかちなイメージだったんですよね…。
今回、それはいい意味で裏切られた気がします。
彼の音楽には、勿論しっかりとした理論の裏付けが感じられますが、その中から作曲家の意図を探ろうとする意志が働いているのを感じます。
それは、ある意味作品への深い愛情にもなっているのです。
短い曲ではありますが、目まぐるしく入れ替わる主題と動きのあるパッセージ、聴き応え十分☆
曲の中でしっかり展開していく物語が語られていくのが分かりました。
続いてはハチャトゥリアンのヴァイオリン協奏曲。
以前木嶋真優さんの演奏も聴きに行ったんですが、正直あのときは今一つの印象しかありませんでした。
今回は、というと。
曲が彼女に合っていたのでしょうね、民族調のテーマと情熱的な主題を用いた曲だけに彼女らしいテクニックが生かされていた気がします。
さて、冒頭ユニゾンで始まるオケの導入に従って、忙しなく動き回る主題をヴァイオリンが奏でます。
この間はユーリ様との聴き比べとなってしまい、若干(?)厳しい評価になってしまったかな、という意味も込めて聴いてみたんですけど…。
やっぱりどこか、テクニック偏重の演奏家、って感じが…。
ただ、ハチャトゥリアンのこの第1楽章に関しては、曲想もこのテクニックとメロディーラインによってかなりフォローされている面があるので、以前ほど気になる空虚さを感じませんでしたね。
個人的にはコーガンの切れ味鋭い音色とかオイストラフの濃厚な味わいが、好きなんですけれど…。
主題の民族調なモティーフも、ヴィブラートを上手く用いて濃厚な味付けしていたのが良かったですね。
ただ、深く注意して聴いていると、どうしてもテクニック、なんですよね…。
前回ほど低評価を下すつもりはないのですが、表層的な表現力だと思われるところもあったりして…。
しかしながら、今回は前回ほど出来が悪くなくて、中々いい感じでした。
やはり関西フィルの音色にもフォローされている面があるのかな?
抒情的な面で物足りなさはあるものの、重音などテクニックに裏打ちされた見事な演奏だったと思います。
ソリストの腕前あってのテンポの揺れなど、十二分に生かせていたように感じます。
カデンツァ(オイストラフ版)でもその比類ないテクニックが見事でした。
長大なカデンツァなので、途中ちょっと飽きてしまいましたが…(;^▽^)。
その辺は、仕方ないかな?
第2楽章、静かな序奏に乗ってソロの抒情的なメロディーが流れるんですが、ヴィブラートが今一つ感情の揺れ、という風に感じられない箇所が何箇所かあり、そこが残念でした。
緩徐楽章では寝てしまう人が続出しやすいんですが(笑)、そこはやはり演奏家の技量が大きく影響するものだと思います。
きよこの横に座っておられるおじさまやおばさまは、かなりのクラシックファンなのですが…。
この時は寝ておられましたね…(爆)!
木管楽器の方の合いの手の入れ方など、聴きどころもあったんですけれど…(汗)。
シンコペーションによる民族的なリズムの取り入れ方、急激な盛り上がり方、間合いの取り方がいいのか飯森さんの導く音楽はすっきりしていて、技巧的な木嶋さんの音色を上手くフォローしておられたように思います。
第3楽章、派手な序章で幕を開けます。
そして、楽しいリズムが楽しい主題を誘い出します。
ここでも細かなパッセージの多い技巧的なフレーズを難なく弾きこなす彼女のテクニックが光ります。
まぁ、音の余韻がもう少し欲しいな、と思うところが多々ありましたが…。
どうも彼女の音の処理が雑いんだよね…。
ヴィブラート1つ、トリル1つ、そういうちょっとしたことが、上手く弾きこなすことの後回しにされているのが勿体ない…。
曲想ではそれこそユーモラスですらある主題、それが上手だなぁ、という感想にしかならないのが勿体ないんだな、これが。
持っている音色は良いものなのに、それを本当に聴かせる演奏にまで昇華しきれてない感じが…。
曲の最後まで疾風怒濤の勢いで流れていくんですが、最後の最後までテンション高い状態を保ったまま演奏されるのは非常に難しいことだと思います。
それをこの若さで弾きこなしてしまう集中力があるので、この辺改良してくれればかなり聴き応え有る演奏を聴かせてくれるようになるかと思いました。
休憩をはさんでは、これまた珍しいカリンニコフという作曲家の交響曲第1番。
これはきよこも初めて聴いたのですが、非常にキャッチーな旋律が美しい佳曲でした☆
冒頭から非常に流麗なメロディーが魅惑的!
貧しさから働き過ぎて、その健康を損ね、夭折してしまったという若い天才の残した可憐な作品です。
ほとんど演奏会で取り上げられない、というこの曲ですが…。
本当に一度聴いたら忘れられない魅力を持っていました!
また、このところの弦楽セクションの見事なアンサンブル能力もあって、この旋律美が遺憾なく表現されつくしている感じでしょうか…。
木管のシンコペーション、展開していく調性の自然で見事な調和、音楽そのものが自然体であって、その流れの中から溢れてくる魅惑の音色!
これは演奏しているオケの面々も、幸せそのものだったのではないかと思います。
オケが歌っていました…。
演奏する側も気持ちいいんだろうなぁ…。
管弦打の見事な調和から生み出される音楽…。
弾いていて気持ちいいこと間違いないと思う☆
第2楽章、子守唄のように優しい始まり…。
ゆったりと包みこまれるような低弦部の音色とゆらゆらと揺れているかのようなハープの音色、そこに母親の子守唄のようなヴァイオリンの旋律が乗ってきます…。
弦のピッツィカートに乗せて木管の奏でる主題、そして主題が弦楽セクションに移ろい、えも言われぬ甘美な世界を構築しています…。
ここでは指揮者飯森さんという存在を全く感じませんでした。
作為のない、自然体の音楽作りを感じさせる辺り、逆に凄いな、と思わせられましたね(苦笑)。
第3楽章では一転して軽快で楽しい曲になります。
ここでは一糸乱れぬアンサンブルがまず聴かせてくれますね〜☆
打楽器の音量がまた絶妙で、盛り上がりに華を添えてくれます。
ここでもオケ全体のバランスが非常に良く、そしてカリンニコフの音楽性なのでしょう、自然とあくまで演出を感じない展開で音楽が進行していきます…。
合間に入る木管楽器の甘い音色もまた良かったですねぇ…。
終楽章、ここでは第1楽章のメインテーマが再登場します。
それがただの再現にとどまらず、明るく希望に満ちた展開を見せ、曲は華々しく盛り上がっていきます。
そこから第2楽章の主題も顔を出します。
その第2主題(?)が勇壮な展開を見せて、最後に盛り上がりながら曲を締めくくるんですけれど、その時の一気呵成な雰囲気といい、弦のオスティナート(簡単に言うとしつこいくらいに同じモティーフを繰り返すのだ…)に乗って登場する主題は、最後コーダとなって壮大に幕を閉じます。
貧困のために教育も思うように受けられず、生活苦を支えるために必死で働いていたプロレタリア音楽です…(涙)。
庶民の音楽なのに、こんなに美しいのは、働き者の汗と血と涙の結晶だから?
しかし、音楽そのものの美しさに共感してか、オケの歌い方が違いましたね☆
こういうレアな名曲を持ってきてくれたのは、プログラムを考えられた飯森さんのお手柄です!
正直この演奏会で、彼の評価はウナギ登りでしたよ(笑)。
皆満足そうな表情で帰路についておりました。
で、きっちりサインももらってきました☆
彼の著作を買いました(笑)。
木嶋さんは録音を新たに買いたいと思うほどでもなかったので(汗)、結局プログラムにサインもらいましたけどね☆
でも、この演奏会、珍しい曲ばかりでとても聴き応えがあり、楽しかったです。
こういうプログラム、定期演奏会ならでは、ですねぇ☆
来年も定期会員になろうと心に決めたきよこです(笑)。