|
『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』 森博嗣著/中公文庫 【内容】 僕は戦闘機のパイロット。飛行機に乗るのが日常、人を殺すのが仕事。二人の人間を殺した手でボウリングもすれば、ハンバーガも食べる。戦争がショーとして成立する世界に生み出された大人にならない子供―戦争を仕事に永遠を生きる子供たちの寓話。 森博嗣、渾身の一作が待望の文庫化。 【著者紹介】 森博嗣 1957年愛知県生まれ。工学博士。国立N大学工学部建築学科助教授として勤務するかたわら、1996年、『すべてがFになる』(講談社)で第1回メフィスト賞を受賞し、ミステリィ作家としてデビュー 【感想】 この本は読む人を選ぶ本のような気がします。 まず、その前にこの本の位置について述べなければならないと思います。この本は刊行順は一巻目ですが、内容は最終巻にあたるようです。つまり最初に結末を述べておいてから、それにいたる経緯を説明するという形をとっています。スター・ウォーズのようです。 さらに作風についても述べることにします。作風は、今彼の著作を読んでいる最中だからかもしれませんが、村上春樹の初期三部作の雰囲気に似ている気がします。どこか諦めが前提としてあるような世界観。ときおり挟まれる詩的な(散文的な?)文章がそれに拍車を掛けています。 主人公が、少年であることも関係していると思われます。個人的に主人公が少年少女の作品は読みやすいし共感しやすいと思っています。彼らの年代は僕らは皆通ってきますし、どこか理解できる。(それでいて決定的に理解できないところがあるというのも魅力的なんですが。) でもこの作品はかなり渇いています。渇きすぎているかも知れません。 この作品で、主人公達が少年であることは特筆されません。つまり作中の世界においては当然のことなので、わざわざ語るまでもないということなんでしょうし、これから語られることなんでしょう。きっとそれらの要素を「当然」と思えるぐらいにシリーズを読んで、それから再読しないと本作の評価は意味を為さないと思います。 巻頭の言葉。 戦争を知らない大人たちに捧げよう。 彼らの過ちは、三つある。 子供たちが自分たちから生まれたと信じている。 子供たちより多くを知っていると思い込んでいる。 子供たちがいずれ自分たちと同じものになると願っている。 それら妄想の馬鹿馬鹿しさといったら、 戦争よりも悲惨なのだから。 今読んでいる、村上春樹の「羊をめぐる冒険」にこんなやりとりがあります。僕が町に帰って、ジェイと交わす会話です。 「・・・つまりね、生命を生み出すのが本当に正しいことなのかどうか、それがよくわからないってことさ。子供たちが成長し、世代が交代する。それでどうなる?もっと山が切り崩されてもっと海が埋め立てられる。もっとスピードの出る車が発明されて、もっと多くの猫が轢き殺される。それだけのことじゃないか」 「それは物事の暗い面だよ。良いことだって起きているし、良い人だっているさ」 「三つずつ例をあげてくれれば信じてもいいよ」と僕は言った。 ジェイはしばらく考えて、それから笑った。「でもそれを判断するのはあんたたちの子供の世代であって、あんたじゃない。あんたたちの世代は・・・」 「もう終わったんだね?」 「ある意味ではね」とジェイは言った。(上巻 144p) え〜最近村上春樹の作品からの引用が多いような気がするんですが、気にしないことにします。 「スカイ・クロラ」の感想はシリーズを読み終わったときにしっかりしたものを書きたいと思います。作品をしっかりと何回も読んで、細かい描写にまで気を配るのも良いんですが、作品を読んで雰囲気を味わって、格好の良い箇所を引用すればいい気がします。特にこういう小説ならです。 ☆☆☆☆☆☆★★★★(6)
|
全体表示
[ リスト ]





乾いた透明な世界観が独特な本だと思いました。
が、私にはどうしてもキルドレが戦闘機に乗るのが痛々しくて、続きを読むことができませんでした。
でも、続編も気になりますし、この世界にどう決着をつけるのか(つけないのか)、実はとても気になっていますので、感想楽しみにしています。
トラバさせてくださいね。
2009/3/8(日) 午後 4:35 [ とくだ ]
乾いた透明な世界観が上にも書いたとおりなんですけど、村上春樹の世界観と似ていると感じて、すぐに読んでしまいました。「ナ・バ・テア」(2作目)は買ってあるのでわりと近くに読むかも知れません。
2009/3/8(日) 午後 6:06
友人に誘われていきなり映画を観ました(汗;
理解できない部分も多々あり、また、書評を楽しみにしています。
トラバしてみますね☆
2009/4/28(火) 午前 6:48
トラックバックありがとうございます。
話の順番がスターウォーズみたいに時系列順ではないために、僕も頭が混乱してしまったというか、上手く飲み込めないというか、続編では真相が明かされていくことになるとは思うんですけど、読むかどうか・・・。
いやすでに買ってしまっているのでたぶん読みます(笑)先走って買ってしまいました^^
映画も観てみたいんですけど、2時間画面の前にいるのが苦手で・・・。
2009/5/4(月) 午後 6:35