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『細雪(上)』 谷崎潤一郎著/新潮文庫 【内容】 大阪船場に古いのれんを誇る蒔岡家の四姉妹、鶴子、幸子、雪子、妙子が織りなす人間模様の中に昭和十年代の関西の上流社会の生活のありさまを四季折々に描き込んだ絢爛たる小説絵巻。三女の雪子は姉妹のうちで一番の美人なのだが、縁談がまとまらず、三十をすぎていまだ独身でいる。幸子夫妻は心配して奔走するが、無口な雪子はどの男にも賛成せず、月日がたってゆく。 【感想】 以前、僕の家でとっている新聞の連載小説が、谷崎潤一郎を題材とした小説であって、それ以来谷崎潤一郎に興味は覚えていたのですが、この企画を始めるまではスルーしてしまっていたのでした。 名作と評価される作品を読む度に思うのが、密度の濃さというか重さです。最近の小説でも、恩田陸さんの「夜のピクニック」なんかは一日の濃さがとんでもないことは確かなんですが、もちろんそれとは違って、小説の中で日々が過ぎているのに、その流れが自然というか描写もしつこすぎないところがあって、一年以上の月日が流れ、様々な出来事が描かれているのに、まだ何ページなの?と、驚くこともありました。 登場人物の個性もしっかりと描かれていました。のんびりやの長女、鶴子、しっかり者で優しい次女、幸子、ちょっとませているような気のする四女、妙子。でも、主人公の雪子の性格はなんとなくつかめませんでした。 でもそんな雪子の魅力(?)が垣間見られる場面がいくつもあります。暑い夏に洋服を着て、家族に見られるのを恥ずかしがったり、青白い顔色をして、一見病弱のように見えながらも実は病気らしい病気にかかったことのないというしんの強さをみせたりするのがそれです。 「ふん」 多少なり落ちぶれたとはいえ上流の家柄である蒔岡家が舞台である小説なので、礼儀がなっていたり、見合い1つをするにしても、相手の財産、家柄、職業、評判などしっかり調べるという慎重ぶりなんですが、そんな家柄の彼女たちでもこう呟くことがあります。 「ふ〜ん」といったニュアンスかもしれませんし(「ふ〜ん」っていう記述もあるので違いはあるのかもしれません)、「へぇ」といったニュアンスかもしれません。でも、上流の彼女たちが、「ふん」と突き放すように不満げにただ呟くこの一言が、とても可愛いように思えてしかたがありませんでした。ヽ(ー_ー )ノ ほんとは中巻、下巻を読んでから感想を書こうと思ったんですけど、今追われるように急いで読み終わってしまうのが勿体ない気がしたので、また余裕のあるときに残りを読みたいと思います。 文章自体、とても読みやすく、かつ読み応えのある作品でした。文豪と呼ばれるところがとてもよく分かる作品だと思います。 第1回毎日出版文化賞受賞 朝日文化賞受賞 ☆☆☆☆☆☆☆☆★★(8)
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私も谷崎潤一郎の文体結構好きなので、いろいろ挑戦したいなぁと思ってます。
参考になりました〜。
2009/5/19(火) 午後 9:41
ぜひこの企画で挑戦してみたいと思っていた谷崎潤一郎です。勝手に敷居を高くしてしまっていたんですが、意外と読みやすい文章&個性的な登場人物で楽しめました〜。
2009/5/20(水) 午後 7:58