塵も積もれば山となる。

時間がたつのは早いですね・・・

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村上春樹

                            【村上春樹】


  …(むらかみ・はるき)

 作家。

 山羊座のA型。(多分)

 昭和の白鳥、平成の漱石などと呼ばれた不世出の人気作家。

 一言で言えば、「頑固な人」。

 早稲田大学に七年間通い、ヤクルトスワローズの優勝した年に、新宿の紀伊国屋の下にあった万年筆屋さんで万年筆を買い、缶ビールを飲みながら『風の歌を聴け』を書いて群像新人賞を受賞。

 日本文学界を震撼させる。

 『1973年のピンボール』を勝手に全集に収めようとした編集者が後に入水自殺をする。

 おでんを食べる。

 三作目の長編『羊をめぐる冒険』で鼠は死ぬ。

 お寿司を食べる。

 以降一作ごとにその地位を固め、ファンを拡大し、『ノルウェイの森』をベストセラーにする。

 厚揚げを食べる。

 その後、『国境の南、太陽の西』ではやや厳しい批評を受けることになるが、この作品が一番好きというブロガーも珍しくない。

 作品についていちいち書いていたらきりがない。

 吉本隆明はもっとも優れた作家であると評する。

 その通りである。


                ■ □ ■ □ ■





 有意味なものを貶下し、無意味なものに真剣に取り組んで見せること。

 これは『風の歌を聴け』において、アメリカ人もほとんど知らない、また知る必要もない作家デレク・ハートフィールドを大々的に持ち上げて、彼から書くことを学んだといってみせたりするところにもあらわれている。



(『終焉をめぐって』/柄谷行人/福武書店/1990年 /p.83)




               ■ □ ■ □ ■




……村上春樹・川西蘭・島田雅彦らのものを読んでいると、内向の世代・空虚凝視の世代どころか、いまでは〃ライト・タッチの世代〃というべき世代が成立してきているように思うが ……

 (『私の見た昭和の思想と文学の五十年』小田切秀雄/集英社/1988年/下巻P.443/)





               ■ □ ■ □ ■




 これまでの小説を書くための体系みたいなものが、崩れちゃってるわけでしょう。

 それを認識して、手持ちの断片を拾い集めて、なんかつくっていかなきゃならない。

 その断片が、たまたま風俗だった、だから風俗小説というとらえ方をされると、非常に困るんじゃないかな。




(『ウォーク・ドント・ラン』村上春樹/村上龍/1981年/ 講談社/p.19)




              ■ □ ■ □ ■




「これは僕の個人的な意見ですが、あなたのストーリーと日本の伝統的な短編小説のあいだにはある種の共通項があるんじゃないでしょうか?」

「ふうむ。たとえばどんな?」

「たとえばですね、あるひとつの状況があって――これはどちらかといえば個人的なドメスティックな状況なわけですが――そこに変化が起こる。ひっそりとした目立たない変化です」

「うん、そう。ひっそりとした変化だ」

「そして状況も変わる。しかし本質的なレベルでは何も変化しない。そしてストーリーはそこでカット・オフされて終る」

「そう、カット・オフだ。イエス。何も変らない。ザッツ・ライト」

(『夜になると鮭は……』レイモンド・カーヴァー著/村上春樹訳/中公文庫/あとがきの中にあったインタヴュー)




            ■ □ ■ □ ■



「荒廃」ruin,devastation,それらの言葉はまるでまじないみたいに、繰り返し繰り返し、この本に登場してくる。

 ギルモア家の人々はそれを「ゴースト」と呼ぶ。

 遠い過去から、深い暗闇から現れ出て、彼らの襟首をひっつかんで地獄につれていく恐ろしい永遠の死霊。それは逃れることのできない伝承であり、遺産である。

 マイケルが勇気を振り絞ってこの本を書き上げたことによって、果たしてゴーストの追跡からうまく逃げおおせるのかどうか、僕にはもちろんわからない。

 僕にわかるのは、この物語を読んだ多くの読者が、本の最後のページを閉じたあとで、おそらくはそれぞれのゴーストに向かい合うだろうということだけだ。

 多かれ少なかれ、向かい合わざるを得ないだろう。

 もちろん僕も、その「向かい合わざるを得ない」読者の一人であった。



(『心臓を貫かれて』マイケル・ギルモア著/村上春樹訳/文藝春秋

             /1996年/訳者あとがきより)

 

              ■ □ ■ □ ■



この本における戦争とは、あるいはこれはいささか極端な言い方かもしれないけれど、一つの比喩的な装置である。

 それはきわめて効率的に、きわめて狡猾に、人を傷つけ狂わせる装置である。

 それがオブライエンにとってはたまたま戦争であったのだ。




(『(『本当の戦争の話をしよう』ティム・オブライエン著/

               村上春樹訳/文藝春秋/1990年/あとがきより)




                    ■ □ ■ □ ■





僕は小説家として、原則的にはフィクションを翻訳することが自分の仕事だと思っている。

 フィクションという形態が基本的な 洗いなおしを迫られている今の時代に、フィクションの持つ可能性を、いろんなかたちで意欲的に追求していくことが、僕の役目であるし、翻訳についてもそれはおなじだろうと。

 しかし先にも 述べたように、この『心臓を貫かれて』を訳したことによって、僕が一人の人間として学ぶことのできたものは数多くあった。

 予想を超えて数多くあった。

 そしてまた同時に、事実の――少なくともある種の事実の――巨大さと強烈さというものを、一人のフィクション・メイカーとして、身にしみて感じることになった。

                  (『心臓を貫かれて』訳者あとがきより)




                    ■ □ ■ □ ■



 でも僕も今度日本に落ち着いたら、何か自分にできることを身近に探してみようという気にはなっている。

 (『やがて悲しき外国語』/村上春樹/講談社

                 /1994年 /P.62)




【おまけ】


                     オシム語録87


「昨夜のことですが、ふと問題が一番最初のところに戻ったような気がしたんです。

 今更ですけど、小説を書くのは何故だろう、なんて考えていました。

 それは、ふと「三島は小説をコンプレックスの附属物に貶めてやしないか」と思いついたからです。

 商売や、見栄の為なら、小説なんて書かなくてもいいのです。

 書かなくてはいられない、なんてのは一種の病気ですから、そこには分析すべき病因というものがある筈なのです。

 私はそれを仮に今、コンプレックスと呼びましたが、そちらが主であれば、それを治療しないで自殺してしまったのは間違った行動です。

 そこで小説は症状でしかありません。

 でも、そういうロジックの道筋を否定する感情があるのですね。

 また、初期の三島、そして定家に関する文学観には、コンプレックスの附属物とはいい難い何かがある。

 それを今、じっくり読み解いている最中です。

 時間はかかりますが、そうした作業を通じてしか、前に進めないと考えています」


   なんて言うわけないですね。

転載元転載元: 負荷

閉じる コメント(3)

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村上春樹は「ねじまき鳥」までは結構読みました。長編はほとんど読んでいると思います。それ以後の作品を読んでいないのは単にブックオフで100円で出ていないからです。350円だと買う気がない、という事。私にとってはそんな作家。嫌いな訳じゃないけど、熱狂的に好きでもない。でも、かなりの作品は制覇しています。とらえどころがないですね。私の中で村上春樹のイメージが固まらない。村上龍とか宮本輝とか山田詠美とかは間違っているかも仕入れないけどある程度のイメージがあるのにね。

2012/6/16(土) 午後 1:37 [ kohrya ]

>>kohryaさん
村上春樹はかなり読みました。僕の中で村上春樹のイメージは、ノルウェイの森のワタナベ君であったり、国境の南、太陽の西の始です。満ち足りた生活を送っていながらも、何かが欠けていると思っているような。喪失感という言葉が合っているかどうか僕にはわかりません。その意味では、僕は最近の作品よりは少し前のもののほうが好きです。

2012/6/18(月) 午前 11:51 いち

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こんにちは。
映画や文学のブログを書いているふじまるです。
今回は村上龍について書きました。
よかったら覗いてください。

2012/7/5(木) 午前 9:16 [ ふじまる ]

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