■雪と海の、ロマンス ■

大西洋航路の船長航海記を経て、現在は東京を拠点に港と船をめぐる毎日です。

乗船準備(完)

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七五三

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娘が3歳になったが、それはロンドンにいたときのことだ。
直後にわたしは英国を解任となり、3年ほどの欧州暮らしを終え、日本に帰国した。

さて、日本には七五三という行事がある。
これは数えの3,5,7歳で行うものであり、娘が3歳でしなければならない時機はとうに過ぎている。
しかし妻をはじめ親類縁者はみな、お参りをしてやらなければかわいそうだとわたしに訴える。

日ごろ神仏に手を合わせてなどいないくせに、子供や孫のことになると自らの満足感に浸りたいのが最近の日本人らしい。
わたしは反対だ。

七五三に反対なのではない。
日本にいれば、文句を言わず寺社におもむくのが義務だと思っている。この世には神仏も存在すると信じている。
だが、娘の場合、残念ながら必要な時期にロンドンにいたのだ。だから3歳時の七五三はできないのだ。
日本の風物詩は大切にしなければならないが、数え年4歳でも受け入れる寺社の商売第一主義にまで付き合う必要は無い。

人にはそれぞれ事情があり、本人の意思とは関わりなくいろんな条件を背負って生きなければならない。
それを現代生活は、無理強いして何とかなると思いすぎである。

「なぜわたしには七五三の写真がないの?」 (ロンドンにいたからだよ)
「どうしてわたしんちは引越しが多いの?」 (お父さんがそういう仕事だから・・・)
「どうしてうちはビンボーなの?」  (お金が無いからだよ。)
「どうしてお友達と一緒の学校に行けないの?」  (成績がかなり違うからだよ)

さまざまな、生まれながらの理不尽な状況を、将来子供は訴えてくることだろう。(カッコ内は模範解答)
が、それがゆえに卑屈になったり、あるいは他人を見下するような所作に出ないように育てるのが本当の教育である。
ある程度周囲を見て歩調を合わせることも必要だとは思うが、他人との格差は存在してはならない、かのような昨今の方針は間違っている。


・・・といったところが本音だが、実際にはそうすべてが上手くはいかない。
妻に押し切られる形で、娘の写真と、家族三人で写真を撮った。
スタジオで写真を撮るのは、生まれて初めての経験である。


写真
■様々な討論を経て撮ったスタジオ写真。わたしは制服なので貸衣装代が浮いた。


乗船前訓練 (2)

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操船シミュレータを使って、BTM訓練というものを受けている。

この訓練には、日本のパイロット(水先人。飛行機の操縦士ではない。)が講師として参加し、いろんなアドバイスをくれる。
決まりやマニュアルにない部分でのコメントが多く、とても勉強になる。

これまでわたしは、4年ほど陸上勤務を東京都ロンドンで送っており、まもなく久しぶりの乗船となる。
その上、実は船長としての乗船は初めてで、この日、パイロットには数々の質問を浴びせてしまった。
聞くは一時の恥、である。

BTMの訓練後には総括が行われるが、その中でわたしが、若手2人に対し、
「見張りが一番大事だ。近距離の船はレーダよりも、目で見えるのだから計器に頼りすぎてはいけない。」
「危険というのは、無音で、前フリ無しで近づいてくる。それを補足できるかどうかがプロとアマの違いだ。」
というようなことを(エラそうに)教えてると、となりで講師のパイロットがいちいち大きく頷いていたのが印象的だった。

最後にわたしがかれに、
「実際の船は、このシミュレータ通りの動きをしますか?」
と尋ねると、
「まあそうだね、大体こんな風に動くね。(シミュレータ装置は)よくできているよ。」
とのことで、少し安心した。


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■シミュレーション訓練風景。若手の一人は女性航海士だ。

乗船前訓練 (1)

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シンガポールで操船シミュレーション訓練を行ったが、これは主に船長としての技術レベルの確認が目的であった。
今回は川崎にあるシミュレータで、BTM訓練というものを受けた。

この訓練の目的は、操船技術そのものの見極めではなく、部下をいかに上手く使って航海するか、を習熟させるものだ。
BTMはBridge Team Managementの略である。

受講したのは4名、わたしのほかには55歳のベテラン船長、入社2年目の若手三等航海士2名だった。

各人が船長役で航海計画からブリーフィング、実際にシミュレーションまでをを実施し、各1日で4日間のトレーニングを行う。
チームマネジメントということで、配下の航海士を活用してさまざまな処理をするのだが、そのやり方はともかく、わたしは各人の操船方法を見て感心しきりだった。

ベテランの船長は、常に慎重に船を持っていく。
シミュレーションなので、ある意味失敗してもよく、もう少しチャレンジしてもいいのではないかと思ったが、それがこの船長のやり方なのだろう。
訓練時にも実船と同じように安全だけを見てゆっくり操船する、その姿勢には学ぶところが多い。
わたしも、これに倣って無事故であと20年の船員生活を終えたいものだと思う。

若手2人の操船だが、意外に上手なので驚いた。
まだ細部で船の動きというものを分かっていない部分はあるものの、わたしがかれ等の年代のときとは雲泥の差であり、将来が楽しみだ。

かれら2人は親船(就職して初めての船)を終えたばかりであり、わたしが、「船の仕事はどうだね。続けていけそう?」と聞いたら、
「ますます船が好きになりました。」
「いつかぜったい船長になりたいです。」
と言い、希望に満ち溢れている。(これもわたしの頃とは違う。)

若者の目標としての船長が、それにふさわしいのかどうか、それはすでにその地位にいる者の所作に責任の一端が存在している。


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上■宿泊した部屋からの眺め。東京は建物がひしめいている。
下■ベテラン船長がシミュレーション前に行う航海計画ブリーフィング風景。

関連記事:2年前の訓練

シンガポール (4)

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シンガポールからの帰りはJALとなった。
JALに搭乗した記憶は4年も前、東京勤務のころの長崎出張で、帰りに利用した1回のみだ。

残念ながら、今回の旅行は訓練が目的なのでエコノミー席となる。(BA資格でラウンジは利用できた。)
エコノミーになんら不満はないが、イギリス帰りの身としては、外航船員にたいする日英両国での扱いが全く異なることをあらためて感じる。

イギリスでは、外航船員は所得税を免じられ、消費税も減免を受ける。
キャプテンだ、と明かすと、だれもが見る目を変え、入国審査さえ甘くなる。航空機の機長と間違う人などいない。
島国のイギリスでは、船員が特別待遇を受けるのは当然とだれもが認めており、わたしのような若造がC席、F席にいても名前に「CAPT.」とあることで納得される。

日本での船員職は、数ある職業のひとつに過ぎず、なんら特別な処遇は与えられていない。
(税金も高い・・・何とかなんねえか・・・)
それどころか、日本に外航船員という職業が存在することさえ知らない人もいる。遠洋漁業の船員との違いが分からない人に至っては、非常に多い。

このような状態で、有事の際、紛争・テロ海域に日本人船員が行かなければならない理由は現在、皆無だ。
(まあ、わたし個人的には乗るが。)

なぜこのようなことを書くのかと言うと、日本は今、有事に備え、さまざまな分野で制度変更を開始しているからだ。
具体的に外航海運会社に対しては、近く税法上の特例を認めることとなっている。
いずれ、代わりに何らかの代償を国が求めることは、民意を含めても、自然である。

その際は、英国並みに所得税の免除まではしてもらわなくてもいいが、イトーヨーカ堂の商品券ぐらいは欲しいものだ。

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上■入港中の小型コンテナ船から。
中■オーチャードロードの年末。
下■シンガポールの繁華街、タカシマヤの装飾。

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操船シミュレータによる訓練を終えた。
訓練は、会社の施設で行ったものと、シンガポール港湾局で行うものとの2種。
実際に、シンガポールの水先人に2日間同行し、その操船を実際に見学するという内容も含まれており、興味深い経験ができた。

わたしのシミュレーションの成績だが、高得点だ。安全、効率の両面からみて、完璧といってよい。
社内の訓練での好成績はまあ、いつものことだが、水先人の評価も「君のハンドリングはmathematicalだ」、評価基準は同じだと分かり、安心した。

船のもっていき方(操縦方法)は、とにかく丁寧にやさしくやさしく、やんわり続け、ここぞという瞬間にバーン、だ。
(何かの扱いに似ているが、その話は省略だ。)

わたしはプロの外航船長で、航空機の機長がするのと同じく、シミュレーションの段階で完璧にこなせて当たり前である。
大切なのは本番、実際の乗船時にへまをしないこと、どのような楽勝な状況でも、全力で望むことだ。
特に驕ってはいけない、謙虚に行くこと、それだけだ。


写真
上■操船シミュレーション中の風景。
中■実際の入港操船中の船橋から。
下■大型コンテナ船でタンジョンパーカー埠頭目指して入港。

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