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この図をご覧頂きたい。
(これはATの説明図だがマニュアルでも一緒)
この図の2番がエンジンのクランクシャフト、そして4番がミッションのメインドリブンシャフトで、その間に3番「アイドラーギア」なる物が入ってるでしょ?
ローレンス・ポメロイ著「ミニ・ストーリー」の中で、
アレック・イシゴニスはミニの設計段階でエンジンを左右逆に搭載していました。
つまりA型ターンフローエンジンのキャブレターも排気管も前方を向いていた訳です。
所がそのテスト段階で英国特有の湿度のせいで、キャブレターのアイシングが多発してそれでエンジン搭載方向を変更したのです。
(どっちが東ー西型だったか西ー東型だったか忘れた)
その時、既に完成していたミッションとエンジンの回転が逆になってしまうため、このアイドラーギアが必要になったのです。
(因みにそのテストで前方吸気車の最高速は120キロ/hだったのに対して後方吸気車では110キロ/hにダウンしています)
実はこのアイドラーギア、整備工場で何台ものミニを手掛けていた頃に2台、
ギアがケースを突き破ってクラッチハウジングに飛び出した車がありました。
(2台共パワーのあるクーパーチューン)
(従ってここを対策しないと幾らエンジンをチューンしても耐久性の保障が無く無意味)
このギアって接触面積を稼ぐ為に斜めにギアが切られた「スパーギア」ですよね。
当然ギアとケースの間には砲金か銅製のワッシャが入っていてギアが直接ケースに当たるのを防いではいるのですが、
駆動時スラスト側に過大な力が掛かり続けると油膜を保持出来なくなる様です。
このトラブルを逃げるにはギアをストレートカットにしてしまうしか無いのですが、
ストレートカットだとギア自身は面圧が減少する方向なので設計上面白くない。
何かええ手は無い物かと考えてたんです。
実は整備工場に勤めていた時代、
夜には自動車オートバイ関係の設計、試作をやってる会社でアルバイトをしていたので、
そこの大将と色々考えて最終的に出した結論は「コグベルトでミッションとエンジンを繋ぐしかない」と云う物でした。
(当時コグベルトの耐久性はかなり信頼出来るレベルになっていました)
しかしケースを加工してそのまま繋いだって前進一段、後退四段の車が出来てしまう。
となるとエンジンを逆転させなきゃならない。
エンジンを逆に回すだけならカムシャフトを作れば良いが、
ウォーターポンプやオイルポンプが逆転してしまったら潤滑も冷却も出来ない。
まあオイルと冷却水は電動ポンプで回す事でクリア出来る。
そして逆転カムシャフトを付けたOHVエンジンが出来上がる・・・が、しかしこんなの売れるか?
これだけの物でもキットで発売したら50万は掛かるだろう。
幾ら「アイドルギアが無くなってます!」と云った所で、
唯エンジンが逆転してるってだけなら素人にはアピール出来ない。
絶対売れない。
大将と相談して「いっそツインカム4バルブヘッドでも作るか?」と云う事になって、
大雑把な図面を書いて原価計算してたら原価で100万!位掛かってしまう。
大量生産するならヘッドとハウジングの金型起こすだけで200万はいるだろう・・・。
「市場で幾らでなら売れるんだろう?」と云う事になってミニのショップをあちこち回ってみた。
(当時「KADツインカム」や「ジャックナイトツインカム」なんてエンジンが既に市販されていた)
そしてショップで聞いて回って出た結論は、「絶対売れない」と云う事だった。
「ツインカムヘッドなら既に色々市販されているので名前が通ってない、しかも高いチューニングキットなんか、
誰も買わない」
「いや、そうじゃなくてこのキットの肝は「アイドラーギアが無く、従って出力を上げても不安が無い、
尚且一次変速比をエンジンを下ろさずに任意に変更出来る事です」と云うと、
「ミニのオーナーは壊れない事を望んでいない。壊れるのはしゃれの範疇だと思ってる人ばかりだ。
大体壊れたらそれだけショップが儲かる、だから良いと思っても誰も売らないし誰も買わない」と云う物だった。
俺、この時ミニが嫌いになったんだよね・・・。
皆さんも暇な時、対策手段を何か色々考えてみて下さい。
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補足:
何せ30年前の話なんで記憶が好い加減で失礼しました。
上記の生地を書いてから色々思い出しました。
元々この話は俺がミニのエンジンを降ろした時、
ミッションとエンジンの取り付けが殆どポン付けで逆に取り付けられると気付いた時に始まったので、
「エンジンの逆転」はあれこれ模索中にアイデアとしては出たのですがその必要は無く、
勿論補機類の取り出し、取り付けは一工夫必要ですが、 エンジンを逆に取り付けてコグベルトでミッションをくっ付ければ良かったのでした。
その際、既存のオイルポンプの吸い込み口がミッションケースに入らなくなるので、
ならばとオイルパンを作ってエンジンをドライサンプ化し、エンジンオイルを電動ポンプでタンクに導いてやろう、
そしたらミニのアキレス腱であるひ弱なミッションも専用のギアオイルで潤滑出来、
ミッションの信頼性向上にも繋がる、と、
こんな話で始まったのです。
で、エンジンが左右逆になると雨が降る度水を被って止まるんじゃ無いかとひやひやしていたディストリビューターもエンジン背後に回るんでありがたい、
しかし唯でさえ最低地上高の低いミニのオイルパンの下に排気管が通るのはマズい、
ならついでに不細工なターンフローヘッドを放棄してクロスフローにして前方吸気、後方排気にしてしまえば良い、
ならば「いっそツインカム4バルブヘッドでも作るべえ」てな話だったのです。
朝から晩までこんな事ばかり考えてた、あの頃は若かったですなあ・・・(笑)
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ご無沙汰してます 上田(うま)です。
以前、僕に熱弁されていたのを思い出しました(笑)
チェーンのセラミック化やバルブの電磁化などの楽しい話、又聞きたいですww
そういえば三菱の初代ミラージュも今まで使っていたFRエンジンを横置きにすると車がバックしちゃうので間にひとつギヤを入れて回転方向を変えていました。そのついでに蛇足のスーパーシフトなる副変速機で4×2の8速にしていましたね。。
2012/8/9(木) 午前 10:14 [ uma*90*3um* ]
相変わらず完璧なまでの説明・・・神か???ww
2012/9/5(水) 午後 8:35 [ koichi30 ]
このブログにお集まりの皆様、カードックの級友(こーいち)南部と申します。
管理人カードックさんは、本日2012年11月29日22時ころ永眠されました。
今までの間、沢山の方々よりご意見等頂き、生前彼もこのブログに関してどのように活かすか、二人で考えておりました。
今後、彼が残した貴重な資料などをふどのようにするか、ゆっくり考え公開してまいたいと、考えております。
尚、今後のご連絡につきましては、http://blogs.yahoo.co.jp/bigkoichi30までおお願いします。
合掌
2012/11/29(木) 午後 10:18 [ koichi30 ]
カードックさん 私と同時期に病気が発覚し、双方手術を受けましたが、私の発覚は早期故現在も無事過ごしております。
お亡くなりになる少し前にお会いした時は、そんなに悪くはなかったと記憶しておりますが、1週間ほどの出張から帰ったすぐ後に訃報を聞き、愕然としました。
20年以上のお付き合いの間、色々車の面倒を見て頂きましてありがとうございました。
心よりご冥福を祈ります。
2012/12/4(火) 午前 9:05 [ ryomler ]