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┏━【CONTENTS】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
■ 今月のPick Up!・・・ マイクロ・ファイナンスにおける住民のグループ化
■ コラム・・・パラリンピック
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■□■ 今月のPick Up! ■□■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
マイクロ・ファイナンスにおける住民のグループ化
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▼マイクロ・ファイナンスとは
貧困削減の対策として、以前はモノやサービスの提供が考えられてきました。しかし、
今日ではそういった考え方には問題があると言われています。提供という方法だけで
は、貧困層の人々に依存心を発生させ、自立して自ら貧困削減に取り組む努力を妨げ
ることにつながりかねません。そのような理由から、現在では貧困削減策として、収
入向上のための支援が考えられるようになりました。収入向上支援では、モノやサー
ビスを購入するために、人々が持続的に現金収入を獲得する手段をもつことを目的と
するものが多くあります。
しかし、収入向上を目的としてプロジェクトを実施したとしても、女性や子どもとい
った社会的弱者はなかなかプロジェクトにアクセスすることができないことが多くあ
ります。なぜなら、一般的に男性に比べて移動の自由が制限されているからです。例
えば、女性は家事労働の役割を負っていることが多く、自由に家から出ることができ
ないことが多くあります。
そのような女性にとっても可能な収入向上の手段の一つとしては、自宅での内職(手
工芸品の製造)や自宅での商売(雑貨店)などが考えられます。自宅での労働であれ
ば、現在の生活を変えずに収入の向上を図ることができます。しかし、起業しようと
しても、彼女たちの多くは最初に必要な費用(内職であれば材料、雑貨店であれば商
材を買うお金など)を持っていません。日本に住む私たちであれば金融機関からの借
入を考えますが、貧困層である彼女たちに貸付を行う金融機関はなかなか存在しませ
ん。
そんな彼女たち社会的弱者が起業しようとしたときにも、貸付を行うマイクロ・ファ
イナンスプログラムも存在します。有名な例はバングラデシュのグラミンバンクなど
です。マイクロ・ファイナンスでは、多くの場合が、無担保・小額・低金利で貸付が
行われています。
▼グループへの貸付
多くのマイクロ・ファイナンスプログラムでは、個人ではなくグループへの貸付を特
徴としています。グループへの貸付により、借り手の集団の中で相互監視と相互選抜
が機能することになります。
相互監視とは、グループ単位での貸付により、グループが全体として返済の義務を負
い(すなわち連帯保証)、それゆえ借り手同士が互いに返済するよう監視するように
なることです。貸し手側は、借り手(グループ)に対して新しい貸付を行うことはあ
りません。このため、グループに加入している人は、現在のグループの返済が完了し
ない限り、新しい貸付を自分に対して受けることができません。このため、グループ
内に貸付を希望する人がいるということは、貸付返済への大きな促進要因となります。
これにより、貸し手は不良債権を背負うリスクを軽減することができます。
相互選抜とは、貸付を希望する人に明らかに返済能力がない場合に、他の人々がその
人をグループに入れるのを拒むことです。これにより、返済能力のない人々の申し込
みを防ぐことができます。
▼マイクロ・ファイナンスと住民
以上のように、マイクロ・ファイナンスでは、住民自身がグループ化することが必要
となります。たとえ実際に起業するのは一人であっても、その人は住民をグループ化
して貸付を受けなければなりません。
しかし、マイクロ・ファイナンスのグループ化の大きな利点として、社会的弱者であ
る女性が貸付を受けられるようになることが挙げられます。実際、マイクロ・ファイ
ナンスは女性に対して多く行われています。社会的弱者である女性は、コミュニティ
の中でも表にでることは多くはありません。そのような状態であっても、貸付を希望
する女性は住民でグループを結成する必要があります。この点が、今までのモノ・サ
ービスの提供という考え方と大きく違うところです。たとえ貧しい人であっても、グ
ループ化をして貸付を受けることで、自立した生活基盤を築くきっかけを手にするこ
とができます。
一方、グループ化は貸し手側のリスクを軽減する装置であるともいえます。貸し手は
グループ化の促進といった事業も行いますが、それもリスクの軽減の目標としている
部分があります。あくまでも、グループができたことにより住民がどう行動するかは、
住民次第なのです。
▼住民のグループ化の活用
貸付を目的として結成されたグループですが、それだけの目的を達成するだけではせ
っかくの機会が有効には活用されません。グループ化という多くの人が集まる機会を
活用して、教育を行ったり、社会的立場の向上を図ったりすることも可能です。例え
ば、グループメンバーが貸付け等のために集まる機会を利用して、識字や人権につい
てのセッションを行うという例もあります。
貸付という1つの目的を持ったグループに対して、様々な国際協力のアプローチを行う
ことで、事業の効率化や多様化が実現可能です。様々な援助団体などの今後の活動に
期待したいと思います。
参考文献
藤田幸一「農村の貧困と開発の課題」絵所秀紀・穂坂光彦・野上裕生編著『シリーズ
国際開発第1巻 貧困と開発』日本評論社、2004年.
三重野文晴「マイクロ・ファイナンスの金融メカニズム」絵所秀紀・穂坂光彦・野上
裕生編著、同書.
佐藤寛『開発援助の社会学』世界思想社、2005年.
(担当:トリ http://blogs.yahoo.co.jp/care_bora/3250400.html)
マイクロ・ファイナンスはまだまだ定義の定まっていない言葉です。今回の原稿を書
いていて、自分の知識と違う部分もあり、困ってしまいました。
(後半へ続く)
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