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┏━【CONTENTS】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
■ 今月のPick Up!・・・HIV/AIDS 〜偏見と差別が命を奪う
■ コラム・・・クリスマス
■ お知らせ
・バングラデシュサイクロン募金
・ニュース配信のお知らせ
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12月1日は世界エイズデーです。これは、WHO(世界保健機関)が世界レベルで
エイズのまん延防止、および患者の差別と偏見をなくすために定めた日で、啓
発活動などの実施を提唱しています。世界では、今日もHIV陽性者およびエイズ
患者が増え続けています。日本では、HIV感染者の報告数が1996年以降、増え
続け、昨年はHIV感染者およびエイズ患者をあわせた報告数が過去最高を記録し
ました。そこで、今月号のメルマガでは、世界エイズデーに合わせ、HIV/AIDS
をピックアップとしてお送りいたします。
また、コラムでは、12月のメインイベントの一つ、クリスマスについて取り上
げます。
■□■ 今月のPick Up! ■□■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
HIV/AIDS
〜偏見と差別が命を奪う
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530,000人:2006年、母親からヒト免疫不全ウイルスを受けついで生まれてきた
赤ちゃんの数
HIVに感染した赤ちゃんの多くが、生後1年以内にエイズを発症します。頻繁な
下痢やその他の日和見感染症に見舞われ、2人に1人が2歳の誕生日を迎える
前に亡くなっています。たとえ生き延びることができても、「偏見」と「差別」
が子どもたちを待ち構えています。
・ラニ、10歳(インド)
ラニは、母親からエイズウイルスを受け継いで生まれてきました。両親がエイ
ズで亡くなると、親戚はHIV陽性の母親を持つラニにミルクを飲ませたりするこ
とはおろか、触れることさえも嫌がり、80歳の祖母のみが引き取ってくれまし
た。インドの身分制度で低い身分にある2人は、月400ルピー(約1,100円)と支
援組織が支給する食糧で命をつなぎました。ラニは6歳になると、牧師さんの支
援で学校に通えるようになりました。しかし先生は、彼女がHIV陽性であること
を知ると、他の子どもたちから引き離しました。「誰もお昼を一緒に食べてく
れません。先生は他の子たちに、私と話をしてはいけないと言っています。だ
からいつも一人ぼっちです。それでも私は学校が好き。タミル語と算数と図画
の時間が好きです」。ラニは、そう話しました。小学校3年生の時、免疫力が低
下している彼女を重い結核が襲いました。大きくなったらお母さんになりたい
と言っていたラニは、2003年1月、息を引き取りました。
・ビック 26歳(ベトナム)
ビックは、夫にHIV陽性だと知られ、2人の小さな子どもたちと共に家から追い
出され、市場の露店で寝泊りを始めました。後に妊娠していることがわかり、
病院に行きましたが、病院は彼女のHIV感染を知ると診療を拒みました。その
ため、ビックは自力で3男、ホアンを生みました。その後、わずかなお金を借
りてケーキを仕入れ、それを販売して生計を立てようとしましたが、その収入
では3人の子どもを養うことはできず、上の2人の子どもを養護施設に預けざ
るを得ませんでした。「私は、明日死ぬかもしれません。子どもたちがどうな
るのか不安でたまりません」。辛さに追い討ちをかけるように、最近新たなシ
ョックが彼女を襲いました。ホアンもHIV陽性であることがわかったのです。
・・・適切に処置しなければ、HIV陽性の母親から生まれた赤ちゃんの30〜40%
がHIVに感染してしまいます。母親と新生児への薬剤投与、帝王切開による出
産、粉ミルクによる授乳などの必要な対策を行えば、HIVに感染した母親から
生まれた100人の赤ちゃんのうち98人の感染を防げます。しかし現在、これら
の適切な処置を受けているのは、HIV陽性の妊産婦の10%に過ぎません。
年に25万人以上の赤ちゃんが誕生と同時に「余命2年」を宣告される原因の一
つが偏見と差別です。病院がHIV陽性の妊産婦の診療や出産介助を拒んだり、
母親になる女性自身が差別を恐れて、HIV抗体検査や産前検診を受けないまま
出産したりすることがあるのです。
偏見や差別がなくなると、次のことが可能になります。
(1)母親になる女性が、検査を受け出産前に自らのHIV感染を認識し、母子感染予
防処置を受けられる
(2)母親が適切な授乳方法、栄養の摂取方法、定期的な産後検診の必要性などを
学び実行できるようになる
(3)夫や家族、コミュニティ全体の理解が得られ、生まれてきた赤ちゃんや母親
が周囲から差別を受けないことでその子の健康、教育などにプラスの結果を生
み出すとともに、エイズで両親が亡くなっても、孤児となった子どもが公共の
支援を受けられる可能性が高まる
(4)地域全体がエイズの正しい知識を得ることで、感染の予防が促進され、地域
全体のHIV感染率が下がる
・CAREのHIV/AIDSに対する取り組み
CAREは世界各地で150余りのプロジェクトを実施しています。HIV陽性者の数が
最近5年間で2倍に増えたベトナムでは、CAREは、HIV陽性者やエイズ患者の人々
のグループの自立を支援しています。「スマイリング・グループ」もその一つで
す。グループの創設者、ニュエンは言います。「メンバーの大半は貧しい上に家
族からの支援はなく、さまざまな差別に直面しています。仲間がいて幸せな気
持ちになれることは、時として薬よりも重要です」。メンバーは、互いに心の支
えとなって、辛い状況に立ち向かっています。CAREは、グループが感染予防、
抗レトロウイルス療法(エイズウイルスの増殖を抑える薬の投与によって、エ
イズの発症や病気の進行を抑える治療)、苦痛緩和医療、エイズ孤児たちのサ
ポートなどに取り組めるよう、支援しています。
しかし、HIV陽性の人々が互いに支えあうだけでは、HIVに感染して生まれてく
る子どもの数を減らすことはできません。自分のHIV感染を知らなかったり、知
っていても差別を恐れその事実を夫や妻にまで隠したりすることが、配偶者や
周囲に感染が拡大するリスクを高めています。
CAREは、HIV陽性者自身がエイズ対策のリーダーシップを取り、周囲の人々に働
きかけてエイズに関する正しい知識を広めることで、偏見を取り除こうとして
います。また、HIV陽性の人々自身も、地域で重要な役割を果たすことで自分に
自信を得て、前向きに生きることができるようになります。CAREは、HIVととも
に生きる人々が自らの権利を守るために医療関係者・法曹界・政府機関と話し
合えるよう、人権やHIV政策に関する彼らの知識を深めるための活動も行ってい
ます。
(後半へ続く)
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