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先月は「グローバルフェスタJAPAN 2005」が行われ、CAREブースもパネル
展示やCAREグッズの販売などを行い、大盛況でした。ご来場いただいた方
の中には、「いつもメールマガジン読んでいます」という読者の方もいら
っしゃって、大きな励みになりました。これからも、国際協力や
CARE International Japanの活動に興味をもっていただけるきっかけに
なるようなメールマガジンを目指して、スタッフ一同頑張ります!
┏━【CONTENTS】━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
■今月のPICK UP!!
▼都市に広がるスラム
−スモーキーマウンテン 〜マニラ・トンド地区
−メキシコのスラムとストリートチルドレン
▼HIV/AIDSに対する取り組み 〜タイの事例
■国際協力用語事典
「貧困」
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■□■ 今月のPICK UP!! ■□■━━━━━━━━━━━━━━━━━━
都市に広がるスラム
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私たちの住む日本の社会は、当たり前にインフラの整備がなされ、一般的
には衣食住を手にすることができ、公共サービスを受けることができる点
からみれば、その住環境はとても快適なものといえます。世界には最低限
度の生活水準をも満たしていない地域があり、そこに住み、生活している
人々がいます。「スラム」とは都市部で極貧層が居住する過密化した地区
のことであり、そこに住む人々は医療などの公共サービスが受けられない
状況にあります。
┼───スモーキーマウンテン 〜マニラ・トンド地区───┼
東南アジアの島国フィリピンの首都マニラは、かつて東洋で最も美しい町
のひとつと言われていました。しかし近年では、世界でも有数のスラムを
多くもつ町として知られるようになりました。
マニラのトンド地区には、かつて東洋最大のスラムとして有名になった
「スモーキーマウンテン」と呼ばれたゴミ捨て場がありました。マニラ
とその周辺から運び込まれた大量のゴミが山積みされ、放置されていた
ために自然発火が起こり、白煙が立ち上っていたことから、その名がつ
いたとされています。「スモーキーマウンテン」には3000世帯、2万人以
上もの人々が、小屋を建てて住んでいました。フィリピン政府はこの地
域の再開発政策を進め、1994年には廃棄禁止に踏み出しました。住民と
の激しい闘争のさなか、1995年に起こったゴミ山崩落の大惨事がきっか
けとなり、この「スモーキーマウンテン」は閉鎖されました。住人は、
一旦は政府の用意した仮設住宅に移動したものの、その後トンド地区か
ら約20km離れたパヤタスゴミ捨て場に移住し、以前と同じような生活を
送っています。しかし、ここでも2000年に崩落事故が起きており、この
ときの被害者は1000人以上ともいわれています。
では、なぜこのような危険な住環境と知りながらも、そこへ集まり、留
まる人たちが後を絶たないのでしょうか。
こうしたゴミの山に住みつく人々の多くが、農村で職を失って都市に流
入した貧しい移民たちです。仕事を求めて都市へ出てきたものの、仕事
が得られず住む場所もない人々はやがてスラムに住みつくようになりま
す。生活のためには働かなければならず、生きていくためのお金を得な
ければなりません。彼らはすさまじい悪臭と不衛生で危険が伴う劣悪な
環境の中で、日々ゴミの山から缶や鉄、アルミニウムなど再利用できそ
うなものを集め、それをわずかなお金にかえて生活しています。彼らの
ようなゴミを拾って生活する人々を、スカベンジャー(scavenger)と
いいます。その中には小さな子どもたちも多く含まれており、抵抗力の
弱い子どもたちは常に、汚染された空気と感染症の危険にさらされてい
るのです。
こうした子どもや女性たちを支援するため、さまざまな民間団体が支援
活動を行っています。安全な上水と衛生的な下水処理などの環境整備、
恒常的に持続可能な経済基盤を目的とした自立支援、子どもとその親た
ちの教育支援など、彼らの生活改善のために今日までさまざまな支援が
なされてきました。
┼───メキシコのスラムとストリートチルドレン───┼
メキシコシティは約2000万人が暮らすラテンアメリカ最大の都市であり、
標高約2,200メートルの高地に位置しています。世界一の大気汚染と
ゴミ問題で有名なこの都市では、スラムで生活する人々が年々増え続け
ています。
メキシコでは植民地時代の名残で、多くの農民が貧しい生活を送ってい
ましたが、近年の工業化による都市の発達に伴い、仕事を求めて多くの
農民が地方から都市へと押し寄せるようになりました。しかし、彼らの
仕事は肉体労働、家政婦、物売りなどに限られ、生活に充分な賃金を得
ることは困難でした。移住してきたものの、職に就けない人々はスラム
をつくって住むようになっていきました。メキシコは2002年に国内総生
産(GDP)が世界第9位へと上昇した中進国ですが、国民の半数以上が貧
困層に属しているといわれています。1994年にアメリカ、カナダとの自
由貿易協定(NAFTA)が発効され、貿易自由化により経済規模が成長した
にもかかわらず、貧富の差はいっそう拡大しています。スラムで暮らす
人たちの生活は非常に苦しく不安定ですが、その実態は特に子どもたち
にとって深刻なものとなっています。子どもたちの親は大半が教育を受
けておらず、賃金の低い職に就くため、収入は増えません。日々の暮ら
しがやっとで子どもたちの将来を考えることはおろか、子どもに愛情が
注げなかったり、ストレス発散のため虐待してしまったりする親も多く
いるのです。
メキシコシティのスラムでは、ストリートチルドレンと呼ばれる路上で
暮らす子どもたちが多く存在します。公的な統計データはなく、ストリ
ートチルドレンの正確な人数を知ることは困難ですが、現地で活動する
NGOによると、2000年時点でメキシコシティの路上に暮らす子どもたち
の総数は、2万人〜3万人にも上ると推定されています。ストリートチル
ドレンの境遇はさまざまで、家族と暮らしながら路上に働きにきている
場合、時々家に帰る場合、帰る場所がなく路上に暮らしている場合、家
族全員が路上に暮らしている場合などに分けられます。
メキシコシティでは、ストリートチルドレンを支援するため、政府や宗
教団体、たくさんのNGOが活動しています。路上で流行するHIVとエイズ
に関する啓蒙活動に力を入れる団体、ドラッグ依存症の子どものリハ
ビリテーションに取り組む団体、職業訓練を実施する団体など、組織に
よって活動内容や考え方はさまざまです。また、あるNGOでは、貧困地
域において、住民を含めた保育活動に力を入れています。ストリート
チルドレンが生まれる背景には、貧困を原因とする家庭の崩壊がありま
す。貧困を解決しない限りストリートチルドレンは増加し続けるという
厳しい現実があります。
(後半へ続く)
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