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7月になりましたが、蒸し暑い日が続きますね。そんな日には、映画館で涼ん
でみるのもいいかもしれません。この夏は、アフリカを舞台にした「ナイロビ
の蜂」、温暖化によって溶け出している北極の動物たちを追った「ホワイト・
プラネット」など、観るだけで世界をより身近に感じることのできる映画が豊
富です!
┏━【CONTENTS】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
■ 今月のPICK UP!!
ジャワ島のその後―インドネシア・ジャワ地震1ヶ月
■ コラム
動物保護とレッドリスト
■ 国際協力用語事典
世界人口デーとカイロ会議
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■□■ 今月のPICK UP!! ■□■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ジャワ島のその後―インドネシア・ジャワ地震1ヶ月
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2006年5月27日、インドネシアのジャワ島中部の都市・ジョグジャカルタ周辺
に大規模な地震が発生しました。地震多発国であるインドネシアにおいては中
程度の規模といわれるマグニチュード6.3(米地質調査所発表)の地震ですが、
死者5700人以上、負傷者は3.7万人(インドネシア社会省、6月8日発表)に及
ぶなど、大きな被害をもたらし、今も多くの人々が避難生活を送っています。
▼スマトラに学ぶ復興支援
今回のジャワ地震では、35万軒以上の家屋が倒壊し、インフラにも大きな影響
を与えました。何よりも急がれたのは食糧や飲料水、衛生用品などの生活物資
の供給です。昨年末に起こったスマトラ沖津波から1年半。同じインドネシア
で起こった地震被害からの復興には、スマトラ沖津波での経験が多く生かされ
ています。
たとえば、CAREがとっている既存の市場システムを活用した食糧支援のアプロ
ーチは、スマトラ沖での津波支援で用いられたもので、事前に選定した業者か
ら食糧を購入できるクーポンを渡すものです。このプログラムは、アチェでは
食糧不足対策として実施されました。今回のジャワ地震では、インドネシア政
府も迅速に動き、被災した家庭に米などを支給する補償プランを発表している
ため、食糧不足は比較的抑えられているようです。そのためジョグジャカルタ
では、歯磨き粉や女性の生理用ナプキン、石鹸などの生活必需品も購入できる
ようになっています。被災者が食べ物以外の物品や他の食材を自由に購入する
こともできます。また、物資の供給に地元の市場を利用するので、地元業者を
支援し、経済の回復を助けることができます。
飲料水の供給に関しては、水に加えるだけで浄化が可能な液剤 「Air Rahmat
(=健康な水の意)」の配給を行っています。地震後の衛生状態の悪化は、下痢
や感染症の拡大を招く原因となります。こうした「第二の災害」を防ぐため、
安全な水の確保は不可欠です。インドネシアでは平常時でも、水道水は煮沸し、
滅菌してからでなければ、飲料水として利用できません。地震の被害により、
電力や燃料へのアクセスが滞り、安全な飲料水を「作る」ことがますます困難
になっています。
▼地震の後遺症:障害への心のケア
このように目に見える地震の影響に加え、人々の心にも深い傷が残っています。
病院など医療施設の損壊も著しく、負傷者への適切な処置が取れない状況が続
いたジャワ島。負傷者の中には、重度の骨折や脊髄の損傷などから、長期的な
身体機能の低下が見込まれる人も少なくありません。ジャワ島の今後について
考えるとき、こうした人々を一時の負傷者として対処するだけでなく、障害を
もち生活する人の社会復帰をいかに支えていくかを考えていく必要があります。
インドネシアにおいては、障害者に対する福祉制度は決して十分とはいえませ
ん。人々の障害を負うことへの精神的なショックは大きく、自殺を図るなど、
精神的に不安定な状態に陥る人もいるといいます。この記事を書くにあたり、
私はインドネシアに住む友人に連絡をしました。その友人、スナルマン氏は、
自らもポリオの障害を持ち、地元の障害者自助団体でリーダーを務め、こうし
た「最悪の状態」から、人々を救うことを使命とし、活動を始めています。地
震へのトラウマをもつ人々に対するカウンセリングや、障害者の経済的自立に
向けた起業トレーニングなどにより、人々に新たな希望を見出していこうとし
ているのです。
ジャワ地震から1ヶ月たった今、求められるのは長期的な視点にたった復興へ
の歩みなのです。
■□■ コラム ■□■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
動物保護とレッドリスト
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▼2006年版「レッドリスト」にはカバ、シロクマも記載
5月2日、世界的な自然保護NGOのIUCN(国際自然保護連合)が、絶滅が心配され
る動植物を掲載した「レッドリスト」の最新版を発表しました。2006年度のレッ
ドリストに記載されているのは、16,118種。IUCNのレッドリスト基準で評価され
ている生物は40,168種。両生類の3分の1、針葉樹の4分の1、鳥類の8分の1、ほ乳
類の4分の1が危機的な状況にあるのです。
これらの動物の中には、私たちになじみの深い動物が多く含まれており、たとえ
ば哺乳類ではジャイアントパンダ、オランウータン、アジアゾウ、マウンテンゴ
リラ、チンパンジー、トラ、ジュゴン、ライオン、チーターなどが、鳥類では、
アオコンゴウインコ、キガシラペンギン、シマフクロウなど、爬虫類・両生類で
はウミガメ類のすべてやオオサンショウウオなどが記載されています。さらに今
回、ホッキョクグマ(シロクマ)やカバ、サメなども新たに加わりました。
また、今回公式に「絶滅」とされたのは784種、野生絶滅種は65種にも及びます。
しかし、およそ100万種にのぼるといわれる地球上の動物の中で「レッドリスト」
の評価対象になっている40,168種というのは、ごく一部に過ぎず、中には「レッ
ドリスト」に記載されることなく絶滅してしまう種も少なくないはずです。
▼環境庁の「日本の絶滅のおそれのある野生動物」その中身は?
IUCNが発行する「レッドリスト」とは別に、日本国内でも環境省や各都道府県、
学会、NGOレベルで独自の「レッドリスト」が作成されています。たとえば、日
本の環境省の発表している「レッドデータブック」(正式名称「日本の絶滅のお
それのある野生動物」)の中では、日本国内の絶滅のおそれの高い種=絶滅危機
種(亜種)と指定されている動物は668種あり、これは改訂前の91年版の229種の
約3倍に及びます。
環境省では保護の優先度の高い掲載種について、さらに詳細な調査を実施し「種
の保存法」に基づく国内希少動植物の指定など、保護措置を検討していくとして
おり、この指定によって、保護計画(個体保護、生息地保全、保護増殖)が策定
され、野生個体の採集には罰則規定も用意されることになっています。しかし、
この「種の保存法」の施行令よって、国内希少動植物に指定された動物は2000年
5月現在でわずか49種と、きわめて限定された範囲にとどまっているのです。6月
8日には「鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律」(鳥獣保護法)の改正案が
衆議院本会議にて可決・成立しましたが、議論は鳥獣被害対策に終始し、どのよ
うな制度で動物を保護していくかという具体的な案はおざなりになったままです。
動物たちを絶滅に追い込んでいる原因は、ほぼ人間の生活や活動に起因している
と考えてよいでしょう。IUCNでは、絶滅の恐れのあるほ乳類のうち、生息地と喪
失と劣化が原因となっているケースが83%を占めると発表しています。動物が絶
滅するような環境が人間にとっても同様な影響を及ぼすことは明らかですし、人
間の生活が状況は危機的です。
日本に関していえば、絶滅寸前の四国のツキノワグマ、外来種に脅かされる沖縄
の“やんばる”の森の生態系などが注目されていますが、とくに都会に暮らす多
くの人にとっては動物の暮らしは縁の遠いものとなりがちです。しかし日本は
“野生生物の世界三大消費市場のひとつ”とされており、装飾品や医薬品、食料
に多くの野生動物を使っている国なのです。とくに爬虫類の革製品やペットは、
世界でもっとも輸入量の多い国のひとつであり、また国際的に取引が禁じられて
いる鯨肉やベッコウ、象牙の消費国として国際社会で注目されていることも忘れ
てはいけません。革や毛皮製品はもちろん、毎日使っている化粧品は動物たちを
使って品質実験が行われるなど、実は私たちの生活は自分たちが意識していない
ところで、たくさんの動物たちを犠牲にして成り立っています。動物保護は決し
て一部だけに関係する運動ではないことを忘れずに、私たち一人ひとりができる
ことを考えていきませんか?
(後半へ続く)
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