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これは『愚社の毒』よりさらに内容に触れるのが難しく、恐縮です。ただピアニストと調律師のお話ということはお伝えできます。音とか匂いとか、目に見えないものを言葉に置き換えるのは大変苦労しました。それぞれの章は、ピアノ曲のタイトルにしてありますし、そもそも『死はすぐそこの影の中』という本のタイトル自体も、ショパンの有名なピアノ曲『雨だれ』のもうひとつの表題です。
軽やかに耳に馴染んでいる『雨だれ』も、聴いているうちに、短調に転調して、陰鬱で重々しい雰囲気をまとい始めます。その曲の性格から、ピアニストの巨匠、アルフレッド・コルトーがのちに『死はすぐそこの影の中』と名付けました。
このミステリーも、正面から見ただけではわからない人間の怖さを描いたつもりです。モチーフは「人間の狂気」でしょうか。例によって、心理描写と物語性で回していく手法をとりました。主人公のピアノ調律師が最後に選んだ生き方が、この小説の主題です。したたかさや生への貪欲さが狂気を凌駕していく様にぞっとしていただければ―ー。いや、嫌悪感でもいいですよ。それぞれの感性で読んでいただければ、作者としては満足です。
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