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城山が怖い

イメージ 1 実業之日本社さんより新しい本が出ました。初めて松山だけを舞台にして書いた『少女たちは夜歩く』。私が生まれ育った街、松山市には、街の真ん中にお椀を伏せたようなこんもりとした山があって、その上に三層の天守閣のある松山城が建っています。私はその麓の女子高から城北の大学に通ったので、この周辺にはすごく馴染みがあります。松山人なら、旧市内どこからでも見えるお城山には、馴染んでいらっしゃると思いますが。
 でも、子供のころから変わった子だった私は、「なんでこんな繁華街の真ん中に深い森があるんだろう」とか、「城山に『お』をつけて『お城山』呼ぶのは、松山の人だけじゃないかな」とか「この街の形状の不思議さ、不便さを当たり前として受け入れている城下町の人たちってどうなんだろう」とか、「ライトアップされたお城山ってきれいよりも怖いよね」とかめんどくさいことばっかり考えていました。きっとこれを読んだ大半の松山人は、「そんなこと、考えたこともなかった」と言われると思います。
 さて、この本はそれぞれ独立した短篇集ではありますが、読んでいくうちに別の枠組みが見えてくる仕掛けになっています。きっと誰もが心の中に闇を持っている。その闇と、夜の城山の深い闇が結びついた時……これを読んだ後、今までとは違ったお城山に見えたなら、うれしいです。ものごとは、ひとつの方向だけからでは、わかりませんよ。
 『骨を弔う』で小学生たちに冒険をさせましたが、今度は思春期の複雑な少女が主人公。あの小さな範囲に広がる森が、出口のない迷宮に思えて、めまいを起こすような感覚を味わってもらいたいです。

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宇佐美まこと
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