楽譜de散歩〜CARSメンバーだより

CARSメンバーの日ごろの雑感をリレー形式で紹介します

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夢の実現に向けて

三十数年前、師である矢崎節夫を中心に童謡の勉強をしていた。その勉強会は数年続いた後消滅し、それぞれの道を歩んでいった。その頃「いつかみんなで同人誌を作れたらいいな」と思っていたものの、ついぞそれは実現することはなかった。しかし、最近になって、その中のメンバーの一人が「また、あの時のように童謡の勉強会がしたいね」という言葉がきっかけで、矢崎先生に相談したところあっという間に月1回、6人の勉強会が復活した。その勉強会には「星の会」という名前をつけた。男性2人、女性4人からの発足だった。
三十年間のブランクはとても長い時間であったが、時間のネジが逆戻りしたようにとても自然な空間として蘇った。ぼくは、自分の新しい居場所ができたことでうれしさもひとしおだった。一人ひとりの過ごしてきた時間の重みを感じながら、成長の度合いと比例するかのように合評の時の緊張感は新鮮で、一人の時には何気なく見過ごしていたたくさんの発見があった。
6ヶ月が過ぎた頃、勉強会を通して推敲しながら完成した作品が少しずつたまってきたので、それを機にいよいよ同人誌を創刊しようということになった。「いつかみんなで同人誌を作れたらいいな」という漠然とした夢が、今は現実となり急に近づいてきたような気がして感慨無量であった。6名の同人の内新しく参加した2名新人には各3編、他の4人は8編の目標を立てて創作・合評が続いた。目指したものは、詩として存在できる文学性の高い童謡の創作であった。たかだか同人誌、自分たちにとってはされど同人誌なのだ。
いざ目標が決まったら、次は同人誌の名前を決めなければならない。童謡の草創期には北原白秋、西條八十、野口雨情などに代表される大正童謡があった。昭和時代には佐藤義美、まど・みちお、阪田寛夫等に代表される昭和童謡があった。しかし、今ぼくたちが暮らしているこの平成時代はどうであったろうか?大正童謡、昭和童謡があれば、当然平成童謡があるべきではないだろうか?ということで、自信をもって同人誌の名前を平成童謡と決めた。そして、平成28113日文化の日、同人誌「平成童謡」はぼくたちの思いを乗せて発行された。
現在、創刊号・第2号を発行したが、作曲家の先生方によって曲を付けていただいたりして、その反響の大きさに驚いている。今後の自分たちの活動が、どこまで広がっていくかこれからの推移が楽しみである。残念なことに平成時代は平成31年4月をもって終わるという。これは「平成童謡」も第3号で終わるということを意味しているが、「平成童謡」という名前を冠として自分たちの同人誌を発行し得たことに、ぼくたちは大きな誇りをもっている。何故なら、この名前を次の時代に確実に手渡すことができるからだ。
同人誌の制作と並行して、それとは別に児童文学雑誌に童謡の評論を書くことが多々ある。その場合、作品論では詩人の世界観を通して個々の作品を取り上げて論じることが定番である。しかし、ここで問題になるのが、著作権の問題である。本来は誰でも自由に使用できるといいのだが、そうもいかない。個々に許諾をとる作業の煩わしさは、それをやったことのある方でないとなかなか分からないだろう。童謡の場合、曲と一体化しているケースが多く、ジャスラックが一括管理しているので、詩の場合でも規定の手続きに沿って著作権料を支払えば、そのような煩わしさから解放され、自由に評論活動が可能になる。私としては実に便利なシステムとして歓迎している。
将来「平成童謡」の作品の中から、時代を越えて残っていく詩が現れることを夢に描いてこれからも仲間たちと一緒に研鑽を続けていきたいと思うこの頃である。 (つづく)

2017.12.22
織江 りょう (童謡詩人・日本童謡協会常任理事・CARS幹事)
CARS(楽譜コピー問題協議会)のホームページ http://www.cars-music-copyright.jp/


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