楽譜de散歩〜CARSメンバーだより

CARSメンバーの日ごろの雑感をリレー形式で紹介します

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タイムカプセル

凍てつく寒い日には、ありきたりと言われても、ヴィヴァルディの「冬」が聴きたくなります。有名なヴァイオリン協奏曲「四季」を構成する一曲です。特に第一楽章は、透き通った音色と洒脱なメロディで、ポップスやロックに慣らされた耳で聴いても素直にカッコいいと溜息が出ます。現代でもコマーシャル音楽として採用する例もありますが、300年近く前に作られた曲とは思えない普遍性を持ち合わせています。
 
「四季」を構成する各楽曲には、その楽曲の元となったソネット(ヨーロッパの定型詩)があることが知られています。この詩の作者は不明(ヴィヴァルディ自身ともいわれています。)ですが、詩に表された風景や情趣が曲の調子や表情に正確に描写されていて驚かされます。ソネットの「冬」の第一楽章部分は、凍てつく雪の寒さに震え、荒々しい風の中を足踏みしながら走っても、寒さで歯の根も合わない、という内容です。確かに、この情景が目の前に浮かび上がってくるような曲です。
 
ヴィヴァルディは、イタリアのヴェネツィアで生まれ、1741年に没するまで、500曲を超える協奏曲を作曲したほか、オペラ作家としても人気を博していました。しかし、その死後は、200年もの間、忘れられた作曲家となりました。当時のイタリアでは亡くなった作曲家の曲を演奏する機会が少なかったためとも言われています。ヴィヴァルディの作品は、J..バッハがヴィヴァルディの曲に影響を受け、自らその編曲バージョンを発表していたことから、その原典を知ろうとした研究者によって偶然に発見されます。そして、「四季」が出版されるのが1949年のことです。1725年の初版出版時から実に224年の時を経て再び出版されることとなったのです。つまり、「四季」が世に広まったのは戦後の時代ということになります。
 
このように、時の流れを超えて、遠い過去から運ばれてきたヴィヴァルディの作品。今では、多くの人が「四季」の音楽に親しんでいます。このタイムカプセルとして、役割を果たしたのが楽譜です。再発見された「四季」の楽譜のヴァイオリン独奏部には、上で書いたソネットが記載されていたそうです。時を超えても色あせない音とともに、詩をもって当時の情景さえ運んでできた楽譜。楽譜の秘めた可能性を感じました。
 
2018.1.26
江見浩一(CARS幹事)
CARS(楽譜コピー問題協議会)のホームページ http://www.cars-music-copyright.jp/

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