Cartouche

肺炎で入院中。リコメ・ご訪問遅れております。

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*しあわせな孤独*

   ***STORY***             2002年  デンマーク
セシリは23歳のシェフ。ヨアヒムは地質学専攻の大学院生で、博士課程がとれたら結婚する予定。
ちょっと趣味の悪い婚約指輪も、ヨアヒムのユーモア溢れる性格も、何もかもセシリは好きで
ふたりはとても幸福だった。
そんなある日、その幸福は一瞬で崩壊した。セシリのクルマから降りた途端、目の前で
ヨアヒムは轢かれてしまったのだ。
からくも一命を取り留めたが、首から下が麻痺で、回復の見込みはない。
話すことだけはできるヨアヒムは、絶望のあまり、愛するセシリに、医師に、看護婦に、
怒鳴り散らしたり当り散らしたり。。。。
そして石のように黙りこくってしまった。

一方、彼をこんな目に遭わせてしまった加害者側も、苦しんでいた。
ヨアヒムが入院している病院の別の科の医師、ニルスの妻、マリーが、車の中で、娘との
口論に苛立って起こした事故だった。
若いスティーネは荒れ始めるし、マリーは自分を責め、苦しむ。
ニルスはいてもたってもいられず、病院の待合室で放心状態のセシリに会う。
その後、彼女に会おうとしないヨアヒムにセシリは傷つき、ニルスに救いを求める。
マリーも、気の毒だから傍にいて話をきいてあげてと、夜中の電話にも怒らなかった。
申し訳なさと同情が、若く美しいセシリへの恋慕へと形をかえるのに、さして時間が
かからなかった・・・。


これはいつも通いつめている映画館で上映されていたのに、何故か見逃してしまっていた作品
なのですが、とーっても良かったです。この後、かなりネタバレな私のレヴューなど読まず、
レンタル屋さんに走ってください。って感じ。(ただの好みの押し付けですが。。)

全体的にすごくリアル。特に事故のとき、取り乱す運転者マリーがバッグの中を
かきまわして ケイタイ、ケイタイって叫ぶシーンはこちらまで動揺してしまいます。
そしてその後ずっと交通事故の加害者と被害者の苦悩が両方の立場から描かれて
いるのですが、登場人物全員が善良で知識人。だからこそ浮かび上がってくる苦しみが、
これまた本当にリアル。
そしてきょうにでも自分がこの4人のうちの誰かになってしまう可能性があるという
コワさがあるので、すべての人の気持ちになれるのです。

セシリ  最愛の人が一生動けない体になってしまっても最初はもちろん彼につきっきりで
     看病するけれど、彼に心を閉ざされてしまったとき、差し出された救いの手に
     すがってしまうことを否定できません。これは別に復讐の意味などひとかけれも
     なかったのです。
ヨアヒム 彼はわがままで心を閉ざしてしまったように見受けられますが、これから本格的に
     始まるはずだった幸福な日々をすべてベッドの上で過ごすことになってしまった
     彼の苦悩は深く、セシリを思いやるからこそ、冷たくし、別れを告げます。
     ”海を飛ぶ夢”のようにこの彼はその後、尊厳死を選びそうです。
マリー  自分の不注意で人の一生を奪ってしまった罪の重さを背負って生きていくのですから
     これまた辛い一生です。
     自分のダンナが夜中にセシリの元に行くときにも言ってあげてと言うのは
     元々の優しさと罪の償いのため。

でも苦しい状況から段々と希望のある日々へと向かっていくので、辛い映画ですが
後味の悪さはなく、感動的です。

デンマークと言えば、”奇跡の海”や”ダンサー・イン・ザ・ダーク”のラース・フォン・トリアー監督が有名。(どちらも苦手なんですが)そのトリアー作品を作った人がこの映画のプロデューサーで、
95年にトリアーが提唱して始まった「ドグマ95」のルールに則って作られています。
なので、セシリの希望的気持ちを手ブレするカメラで撮られた映像が挿入されてます。

監督:スザンネ・ビエール
出演:ソニア・リクター、マッツ・ミケルセン、ニコライ・リー・カース、
   パプリカ・スティーン、スティーネ・ビェルレガード

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ネタばれ有難うございます。やっぱりお気楽な映画が好きなので、つらい映画はこのレビューで充分です。トリアー作品を作った人がプロデューサーなんですか。

2005/10/9(日) 午後 4:32 ann**in_*ei

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これはネタバレなしには無理だったので、思いっきり書いてしまいました。私ってやっぱり、つらーい、くらーい映画が好きなんですね。北欧映画に惹かれます。

2005/10/9(日) 午後 8:33 car*ou*he*ak

こういう内容だったんですね。辛そうですが暗い映画が私も好きなので^^;見てみたいです〜。「ドグマ95」のルールってすごく気になります(^^)/

2005/10/9(日) 午後 11:03 豆猫

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ああ、この映画。。。トラバしますね。でも、ヨアヒムは尊厳死選ぶかなあ。。。?彼にこそ別の形で強くシアワセに生きて欲しいと望んでしまうのは私のエゴかな。。。

2005/10/10(月) 午前 11:01 poeko

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ぽえこさん。7月にそちらで記事読んでコメントまで書いていたのに忘れてました。ごめんね〜swも、同じような意見だったので、とっても嬉しい!!尊厳死については、”海を飛ぶ夢”を見ていただけると、ただ弱いから選ぶのではないということがわかってもらえると思います

2005/10/10(月) 午後 0:25 car*ou*he*ak

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豆猫さん。これとってもお奨めです。レビュー読まないで〜ってもう読んじゃいましたね。ドグマ95のことについては別途書いておきます。

2005/10/10(月) 午後 0:28 car*ou*he*ak

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【海を飛ぶ夢】まだ見ていないんです。でもみなきゃ。。半身不随になってから絵を描き始めた星野富弘さんという画家がいますが、彼の作品からすごく勇気とか命の意味とか考えさせられたものでつい。。。でもほんとケースバイケースで、どういう生き方(あるいは死に方)を当事者が選ぼうと他人はそれを非難・批判できないのでしょうね。。。ねがわくば安らかな気持ちになれることを。

2005/10/10(月) 午後 4:57 poeko

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なるほど。星野さんのことは知っていますし、絵も見たことがあります。そうですね。そうやって力強く生きていく人もいるからヨアヒムもそうあってほしいです。ただ彼はかなり重度で、両手足をこれから切断しなければならない状態だし、人によってはずっと痛みに襲われていたり。。ですからなんとも言えません。むずかしい問題です。

2005/10/10(月) 午後 6:04 car*ou*he*ak

ほんとにいつ自分がこの立場になってもおかしくない・・と思いましたし、それぞれの人の気持ちに感情移入できるものでした。重い映画でしたが、cartoucheさんが書いてらっしゃるように後味が悪いわけではなかったですよね。余韻に浸ってしまう映画でもありました。TBありがとうございました♪こちらからもさせていただきましたm(_ _)m

2006/6/11(日) 午前 8:57 mer*l*n732*2*02

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メルさん。こんにちは〜お久しぶり!そう。最初の事故はきょうにでも自分に降りかかるかもしれないリアルさがあって、とっても怖かったです。こんなに辛い状況なのに、何故か後味は悪くなくて、いい映画でした。

2006/6/11(日) 午前 11:05 car*ou*he*ak

おそらく北欧映画の良さが現れているのでしょうね。現実をきちんと把握した社会主義国家が生み出す、人間の苦悩と癒し…。人は不完全な生き物だから、どんな国・環境にいても同じ苦しみを味わうのでしょう。希望があることが救いです。捜してみたくなりました。原題は何というのでしょうね。

2007/12/5(水) 午後 6:09 NZ_RR

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nzさん。北欧映画は精神的に厳しい作品が多いですよね。
かなり重いですが、現実に向き合っていく姿がとても好きです。
原題はOpen Heartです。

2007/12/5(水) 午後 6:38 car*ou*he*ak

どうもありがとうとざいます。捜してみますね。

2007/12/7(金) 午後 1:52 NZ_RR

本当にリアルですよね。登場人物の苦悩、葛藤がリアルでした。
この監督さんこういう状況の心理を描くのがすごく上手いと思います。難しい選択をしなくてはならないというとこは『アフターウェディング』を思い出しました。DVDでたら是非〜。TBお返ししますね

2008/2/1(金) 午後 10:58 LAGUNA

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らぐなさん。これは人間の心理にぐいぐいと迫るすごい映画でした。
その後の作品といい、いつも本当にむずかしいところを
ぴたりとついてきますね。
は〜い。『アフターウェディング』見ます。

2008/2/2(土) 午後 1:10 car*ou*he*ak

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スサンネ監督は最近知りましたが、リアルな作品を撮る方ですよね〜。
本作も悲惨な設定の中、ドラマ作りもきちんとしていて見応えがありましたです。
まだまだ観たい監督さんですね。 TB、お願いします。

2009/3/7(土) 午後 11:46 サムソン

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サムソンさん。スザンヌ監督さんの作品はどれもこれも好きです。
細やかに心の隅のことまで描いてますね。
他の作品もどうぞ〜

2009/3/7(土) 午後 11:59 car*ou*he*ak

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鑑賞しました
良かったです!こういった作品好きですね。〈アフター・ウエディング〉は置いておいて、〈ある愛の風景〉とドチラを東の大関にしようか迷うところですー笑
スサンネ監督の作品、これからも注目ですが洗練され過ぎないようにと祈っています。ヨアヒムは〈ある愛の風景〉と共にチョット魅力的でした。TB させて下さいね

2009/5/10(日) 午前 9:40 [ Maria ]

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Mariaさま。これいいですよね!
『ある愛の風景』とこれとどちらがいいか?と聞かれると確かに
困ってしまいます。
でも『悲しみが乾くまで』はちょっとやりすぎだったような・・

2009/5/10(日) 午前 9:56 car*ou*he*ak

いやぁ、まさに「リアル」な作品でしたね〜^^;
これが初スサンネでしたが、ここまで「現実」というものを叩きつけるとは思いもしませんでした。
そうそう、あのラストは本当に感動的だったと思います。
これで一気にスサンネファンに! これからも注目の監督さんですね〜^^
TBお返ししますね〜♪

2011/10/2(日) 午後 2:11 映画大好き人間

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