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*花よりもなほ*

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    ***STORY***              2006年     日本
 時は元禄15年、徳川5代将軍綱吉の時代。生類憐れみの令が幅を利かせた泰平の世。巷では、赤穂浪士が切腹させられた浅野内匠頭の仇を討つのかどうかが大きな関心事となっていた。そんな中、父の仇を討つため、信州松本から江戸に出てきた若者、青木宗左衛門(宗左)。貧乏長屋に腰を据え、仇である金沢十兵衛を捜して回るが、一向に見つけられず、いまだ使命を果たせずにいた。ところがそもそもこの宗左、武士とは名ばかりで、剣の腕はからっきしダメときていた。おまけにいつしか、向かいに住む美しい未亡人、おさえにほのかな恋心を抱いてしまう始末で…。        allcinemaより     


日本史に疎く、日本刀がコワい私はあまり時代劇というものは見ないのですが、大感動作だった「誰も知らない」の是枝裕和監督の作品ですから、もうこれは見なくては!・・でした。
今までの観念を変える”ニュー時代劇”とでもいうもので、見た後、ほんわかあたたか〜な気持ちになれる映画でした。

江戸幕府が開かれて約100年経った頃のお話で、天下泰平。舞台となるのは江戸の長屋で、屋根に石が乗っているようなあばら家です。住人達は貧乏ながらも何だか楽しそうで、共同井戸で野菜を洗い、住人たちはヒマそうで、いつもどこかで油を売っていたり子供達と遊んでいたり。。ととっても呑気な生活です。
そんな長屋で寺子屋を開いているのは、宗左。彼はあだ討ちという大きな任務?を背負っているのに、ちょっとしたケンカでも逃げごしだし、どうもお侍さんには見えません。むしろ子供達にお習字や読み書きを教えることに生きがいを感じていて、仇相手さえ探せてない始末です。
そんな彼がようやく見つけたのは、身重の妻と子供のいる仇の姿でした。そして彼は。。

人は家族が殺されると犯人を憎み、復讐してやりたいと密かに思います。又この時代は、彼の親の遺言でもあったように”親の仇は子が晴らす”のが当然だったようです。それは、もっともな感情ですし、”大儀”でもあったようなのですが、”憎しみを憎しみで返す”ことですべてが解決するのか、復讐が成功しても、その先には新たな犠牲者が生まれ、新たな憎しみを生むだけではないのか?という問いをこの映画は投げかけてきます。この問題は古来からの人間のひとつの課題でしたし、今の中東とアメリカ問題にも通じることです。多分、監督はそんな人間の愚かさに対する答えを描きたかったでしょうし、現代社会に対する問いかけでもあるのでしょう。ただひとつ残念なのは、彼自身の恨みと父を失った悲しみがあまり感じられなかったこと。それでちょっとインパクトが足りない気がしてしまいました。


そして又、この映画では”偉い人、そうでない人”が平等に描かれています。というか偉い人をちょっとあざ笑うかのような感じです。例えば、長屋のオーナーと住人達。当然オーナーが”偉い”訳ですが、ここでは家賃を滞納している住人達が威張っていておもしろいですし、お金持ちそうな子供達に、長屋暮らしの子供達は、いじめられるのですが、でも気にしてない。。というかそれがナンだ?っていういい意味での開き直りが感じられます。大体にして士農工商も崩れつつあるよう。それまでは、武士が一番偉いとされ、農民、職人、商人がその下に続いてましたが、こう天下泰平だと武士はヒマで、、同時に威厳をも失っていきます。そういう意味でも時代の転換期でもあったし、偉いって何?という監督のメッセージも感じられます。

ここのところ、邦画で素敵な作品がどんどん生まれています。時代劇というジャンルでもこのような新しいテイストのものが生まれて、昔のことを知らせてくれながら、楽しませてくれると嬉しいです。


監督・脚本:是枝裕和
出演:岡田准一、宮沢りえ、古田新太、香川照之、田畑智子、木村祐一、加瀬亮、浅野忠信

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今日『ポセイドン』と「花よりもなほ』を観て来て、『ポセイドン』から記事にしました。明日『花よりもなほ』を載せるつもりです。とてもいい映画でしたね。監督がこの映画で伝えたかったことがよく分かりました。斬新な時代劇だったと思います。

2006/6/7(水) 午後 9:56 つらら 返信する

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時代劇という形をとっていますが、監督が伝えたかったことは、今の世に通じること。そういう意味で力強いメッセージでした。岡田クンすがすがしかったですね〜。あしたTBしてくださいね。

2006/6/7(水) 午後 10:48 car*ou*he*ak 返信する

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是枝作品は見る機会がありませんでした。新しい時代劇。期待できそうですか?松竹ヌーベルバーグやATG(世代ではないけど)のようなものが生まれるといいですね。宮沢りえ、いいですね。黒木和雄の「父と暮らせば」、、、が好きです。あれも浅野忠信がらみでしたね。

2006/6/8(木) 午前 5:48 eureka 返信する

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是枝作品は私も一作だけなのですが、やっぱり視線がやさしくて好きです。エンターテイメント性の高くちょっとコメディーっぽい時代劇がどんどん出てきてくれたら、邦画ファンも増えると思います。りえちゃんはしっとりとした未亡人役が似合っていました。しかし。。浅野さんという人の存在感はすごい!

2006/6/8(木) 午前 8:04 car*ou*he*ak 返信する

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TBさせていただきますね。お返しお待ちしています。

2006/6/8(木) 午後 0:31 つらら 返信する

最近の時代劇には、「昔の人も今の人と同じなんだなぁ」と思わせてくれるようなものも随分とありますね。浅野さん、素晴らしい俳優さんですよね!「地雷を踏んだらサヨウナラ」を観てから大好きになりました!!

2006/6/8(木) 午後 4:03 vac*n*ier71 返信する

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turaraさん。TBありがとうございました。最初はあの長屋が汚く見えたのですが、そのうちそこに暮らす人々の楽しさが伝わってきて羨ましいとさえ、思うようになりました。なかなかいい映画でしたね。

2006/6/8(木) 午後 10:44 car*ou*he*ak 返信する

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MAPLEさん。そのとうり!イギリス映画、”プライドと偏見”などでもそうなのですが、当時の人と原代の私たちで、考えていることはけっこう同じだな〜と思うことがあります。浅野さん。すごい。あれじゃ誰も手出しできませんね。

2006/6/8(木) 午後 10:48 car*ou*he*ak 返信する

宮沢りえさんは、芸幅が広がって、おお化けしましたね。今後が楽しみ♪

2006/6/9(金) 午前 10:03 るしゃな 返信する

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るしゃなさん。そうですよね。りえさんはすっかり後家さんが似合う俳優さんになってました。他の登場人物が地味なので、彼女のきれいさだけが救い。

2006/6/9(金) 午前 10:22 car*ou*he*ak 返信する

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cartoucheさんもご覧になられたんですね〜(^^)私は予告を観て面白そうだったのと、ミーハーに岡田君目当てで観たのですが(笑)とても温かくて素敵なお話でした。時代劇からは結構考えさせられる事も多いんですよね。しかし最近の邦画はよくなりましたね〜見応えのある作品も増えて嬉しいことです。TBさせてくださいね。(^^)

2006/6/9(金) 午後 10:58 choro 返信する

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岡田クン。東京タワーのときと又違う魅力。実に爽やかでした。時代劇は私も今までは食わず嫌いでしたが、こんなタイプのものがたくさん出てきてくれるといいですね。それにしても邦画堅調。

2006/6/10(土) 午前 9:36 car*ou*he*ak 返信する

TVの時代劇を全然見ないので、映画で時代劇を見ると、なんだか、自分は、日本人なんだな〜〜って、しみじみ感じてしまいます。この時代を知っている訳じゃないんだけど、なんだか、ホッとするのは、不思議ですね〜〜(^^)

2006/7/2(日) 午前 10:29 kuu 返信する

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私もテレビで時代劇ってそういえば見ませんね。でもこれはそういうものより新しい感覚で作ってありましたね。そしてそう。なにかほっとするような感じがありました。もう少しだけインパクトがあると良かったのに。。

2006/7/2(日) 午後 2:54 car*ou*he*ak 返信する

是枝監督なりに、憎しみが憎しみを産み続けていいのだろうかという疑問を解決するかもしれない答えを示そうとした映画なんでしょうね。優しい面白い映画でした。

2007/2/4(日) 午後 5:20 かりおか 返信する

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やさしい映像ながら後からじんわりときました。憎しみの連鎖を断ち切ることのむずかしさ、重要さ・・が描かれていましたね。

2007/2/4(日) 午後 9:02 car*ou*he*ak 返信する

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