Cartouche

肺炎で入院中。リコメ・ご訪問遅れております。

全体表示

[ リスト ]

*ゆれる*

イメージ 1

    ***STORY***             2006年   日本
東京で写真家として成功し、自由奔放に生きる弟・猛。母の一周忌に久々に帰郷した彼は、そこで父と共にガソリンスタンドを経営する兄・稔と再会する。猛は頑固な父とは折り合いが悪かったが、温厚な稔がいつも2人の間に入り取りなしていた。翌日、兄弟はガソリンスタンドで働く幼なじみの智恵子と3人で近くの渓谷に足をのばす。ところが、川に架かる細い吊り橋で、智恵子が眼下の渓流へと落下してしまう。その時、そばにいたのは稔ひとりだった。事故か、事件か、やがて裁判が始まる。その過程で稔は意外な一面を覗かせる。一方、一部始終を目撃していた猛も激しく揺れ動く。〜 allcinemaより   



監督さんが夢で見た異様な光景を原案としたお話だそうです。女性が男兄弟の関係を描くのは想像力が必要だったと思うのですが、これはもしかしたら女性の姉妹でも同じこと。この例はちょっと特殊としても同性の兄弟や姉妹というのは兄妹や姉弟よりも葛藤が強いように思います。回りを見渡してみると、姉妹がやたら多いのですが、毎日のように連絡をとるくらいの仲良しか、半年に1回渋々か。どうもどちらか両極端のような気がしてなりません。

田舎に残って家業を継いだ兄。兄貴肌が強く、法事で帰ってきた弟は売れっ子カメラマンで兄の何倍もの稼ぎがあるというのに、兄は弟にそっとおこづかいを渡します。でも現実には、もう比べようもないくらい兄弟の差はついてしまっています。どうもこういう設定は小説や映画に多く、”生真面目・独身・堅実派・誰からも“いい人”って言われ敬愛される兄””自由奔放・遊び上手・楽観的・ちょいワルなモテる弟”という図式が出来上がっているようですね。稔と毅のお父さんとそのお兄さんは逆ですが、やはり同じような状態にあります。

中盤から裁判のシーンが続いていきます。そしてここではこの事故の真実というより、ふたりの相手に対する思いが語られていきます。思いもかけないほど、強く深い、兄の弟への嫉妬、怒り。。今までの生涯は”兄として””跡取り息子として”誰からも好感のもたれるいい人であろうとした兄・稔。そんな彼の感情はここで爆破し、また弟も毅も。。
ここがヤマ場で、それまでほとんどステイ状態で撮っていたカメラが拘置所でお互いのホンネをぶつけあうシーンで、感情の爆発を表現するために『ゆれる』んです。

『ゆれる』この映画の表題であるこの言葉は、つり橋の”ゆれる”。ふたりの感情の”ゆれる”。ふたりの間で”ゆれる”智恵子。色々な意味を含み、余韻の残す言葉でこの映画そのものをうまく表していて、これ以上の題はないかと思うくらい素晴らしいです。

水。もモチーフとして出てきます。しずくが落ち、輪のように拡がる様子。ポタポタとお酒がこぼれるように憎しみや嫉妬が溜まる様子。心象風景をそのまま表しているようでした。

ところで、この映画で結論は出ていません。見る人の感性に委ねられます。
う〜ん。どうなのでしょう。


どの解説や記事にも故郷を飛び出して、好きなことをやり有名カメラマンになった弟。。というように書かれていますが、この売れっ子カメラマンになるというのは有名タレントさんになるよりももしかしたらむずかしいことです。ふわふわとテキトーに生きて、写真撮っていい生活しているように描かれていますが、決してそんなことはなく、故郷を出てからどんなに苦労し、苦しい下積み生活をし、どんなに厳しくプロとして撮っているか。
嫉妬にかられた兄はどれだけ理解しているでしょうか。
自分の殻から抜け出せなかった。。と言っていた智恵子さんは本当はそんなリスキーな貧乏生活をするのがイヤでついて行かなかったのではないでしょうか?

しかし、それにしても後々まで思いが残り、多分これからもひきずってしまう映画です。

**ネタバレ**
結局勝者はどちら?
別に”勝ち・負け”をはっきりさせたいのではないのですが、一見、色々と奪ったように見える弟、毅。でもラストの映像で余裕の微笑みをみせたのは、兄でした。罪を負った兄より負わせた弟がこれからも一生苦しんでいく。。つまり刑期を終えサッパリとした兄の勝ちかもしれません。でもそんなことより、小さな頃の夏休みのふたりに戻ったかのような表情。それまでの葛藤を払拭して、原点に戻ったかのようでした。



原案&脚本&監督:西川美和
出演:オダギリジョー、香川照之、伊武雅刀、新井浩文、真木よう子、木村祐一、蟹江敬三、他

閉じる コメント(54)

ラストシーンが余韻を残しましたが、香川照之の笑顔に心が安堵した、そんな気がします。ゆれる、というよりゆらぶられる映画でした。
TBさせてくださいね。

2007/8/25(土) 午後 9:12 [ yk ] 返信する

顔アイコン

そうそう。ラストがいいですよね〜
なるほど。そういう解釈なんですね。
確かに色々な意味で揺さぶられます。

2007/8/25(土) 午後 11:24 car*ou*he*ak 返信する

猛の裁判での証言は結局嘘だったのでしょうかね。だとするとそれに反論せずに受け止めて刑に服した兄はどういう思いだったのか考えさせられますね。仰るように弟はその罪を一生背負うことになるのかも知れませんね。TBお返しします。

2007/12/23(日) 午前 7:04 [ BARRY ] 返信する

遅ればせながら最近観ました。あの猛の証言は嘘だったんですね、衝撃でした。昔のフィルムで手を差し伸べる稔、泣きながら迎えに行く猛、再会のラストまで涙が止まりませんでした…
オダジョーにはいつも引き込まれます♪

2008/1/17(木) 午前 0:01 chiyo 返信する

顔アイコン

BARRYさん。これはきっとナゾだからこその映画で、結論はいらないのだと思います。ただ汲み取りたいのは兄弟愛ですね。
しかも色々な今までの思いのこもったもの。

2008/1/19(土) 午前 10:35 car*ou*he*ak 返信する

顔アイコン

CHIYOさん。はい。あの証言はウソだったと思います。
でもそれも色々な想いがあってのこと。
オダジョーはほんとうまいですね。

2008/1/19(土) 午前 10:37 car*ou*he*ak 返信する

“ゆれる”猛の心、“ゆれる”稔の心、“ゆれる”智恵子の心、“ゆれる”吊り橋。秀逸なタイトルでした。真実は?犯人は?事故か?事件は?本当のところは誰にも解からないのでしょうか?

2008/6/22(日) 午後 4:07 やっくん 返信する

顔アイコン

やっくんさん。そうですね。”ゆれる”にはたくさんの意味が
こめられていました。
真相がわからないところが好きです。

2008/6/22(日) 午後 9:06 car*ou*he*ak 返信する

私もずっと引きずってる映画です^^;
2人のその後は、観る者に委ねられる。
稔のあの最後の笑顔・・さっぱりとしてますが、はたして猛を受け入れるのかどうかまでは・・謎のまま。
猛のこれからは苦しい日々にちがいない・・稔にどう接していくのか・・とか。思いは尽きません^^;。
TBありがとうございました!(_ _)

2008/10/31(金) 午前 1:26 ふぇい 返信する

顔アイコン

観ましたよ。
心理劇、台詞と表情で表現された文学作品の映像化という印象でしたね。
タイトルから、アート系の視覚芸術かなあ〜と想像していただけに、拍子抜けでした@@;
でも、オダギリジョーと香川照之はいい演技をしていましたね。

2009/7/12(日) 午後 7:40 [ 8 1/2 ] 返信する

顔アイコン

フェイさん。これはずっと引きずってしまう作品ですね。
こういうラストは見る人の感性に委ねられる作品って好きです。
そうそう色々想像してしまいますね。

2009/7/12(日) 午後 7:56 car*ou*he*ak 返信する

顔アイコン

81/2さん。確かに視覚的に芸術的ではありませんでした。
でも内容的に深くて、そうそう文学作品の映像化っていう点で
素晴らしいですね。
おふたりの演技も素晴らしかったです。

2009/7/12(日) 午後 7:58 car*ou*he*ak 返信する

顔アイコン

なるほど、勝ちか負けかで見るのも面白いですね。
兄弟の確執、リアルに描かれていて、ぞっとするほどでした。
香川さんの演技はインパクトありましたね〜。
TB、お願いします。^^

2009/7/17(金) 午後 11:17 サムソン 返信する

顔アイコン

サムソンさん。ふたりの勝負でしたね。
勝ち、負けっていう考え方はいいかどうかわからないけれど・・
香川さんってほんとすごい役者さんですね。

2009/7/18(土) 午前 11:17 car*ou*he*ak 返信する

やっと観ました★ 揺れにゆれ〜 た作品で ずっしり今でも。。。。 TBさせていただきます☆

2009/8/1(土) 午後 11:47 wakuwakuwakappchan 返信する

顔アイコン

わかさん。余韻が残る作品ですよね。
弟と兄のそれぞれの気持ちが痛いほどわかりました。
そう。まさに”ゆれる〜”

2009/8/2(日) 午前 9:04 car*ou*he*ak 返信する

顔アイコン

西川美和の才能が光った一作でしたね。香川照之のラストの表情が印象に残ってます。

2009/8/2(日) 午後 11:38 mossan 返信する

TBさせていただきますポチ凸

2009/8/11(火) 午後 8:43 wakuwakuwakappchan 返信する

顔アイコン

もっさんさん。そうですね。西川監督らしい作品でした。

2009/8/11(火) 午後 9:52 car*ou*he*ak 返信する

顔アイコン

わかさん。はい。ありがとうございます。

2009/8/11(火) 午後 9:53 car*ou*he*ak 返信する

コメント投稿

顔アイコン

顔アイコン・表示画像の選択

名前パスワードブログ
絵文字
×
  • オリジナル
  • SoftBank1
  • SoftBank2
  • SoftBank3
  • SoftBank4
  • docomo1
  • docomo2
  • au1
  • au2
  • au3
  • au4
投稿

開く トラックバック(38)


.


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事