Cartouche

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*硫黄島からの手紙*

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   ***STORY***           2006年    アメリカ
戦況が悪化の一途をたどる1944年6月、ひとりの指揮官が硫黄島に降り立った。陸軍中将、栗林忠道(渡辺謙)。アメリカ留学の経験を持ち、それゆえにアメリカとの戦いの厳しさを誰よりも知り尽くしていた男。本土防衛の最後の砦とも言うべき硫黄島の命運は、この男に託された。
着任早々、長年の場当たり的な作戦を変更し、部下に対する理不尽な体罰をも戒めた栗林に、兵士たちは驚きの目を向ける。今までのどの指揮官とも違う栗林との出会いは、硫黄島での日々に絶望を感じていた西郷(二宮和也)に、新たな希望を抱かせる。従来の常識にとらわれない栗林のやり方は、古参の将校たちの反発も呼んだが、一方で頼もしい理解者もいた。そのひとりが、ロサンゼルス・オリンピック馬術競技の金メダリスト、「バロン西」こと西竹一中佐(伊原剛志)だった。
硫黄の臭気が立ち込める灼熱の島、食べ物も飲み水も満足にない過酷な状況で、栗林の指揮のもと、掘り進められる地下要塞。島中に張りめぐらせたこのトンネルこそ、米軍を迎え撃つ栗林の秘策だったのだ。                                    gooより      
*基本*
*何故硫黄島に両国がこだわったのか?
まだアメリカの戦闘機の性能が高くなく、中継地点を置かないと日本本土まで飛行できませんでした。
そのため中継地となる硫黄島を死守する事は本土を守るためであり、非常に大きな意味があったのです。

この作品の主眼は玉砕。そして救いとなるのは手紙でした。

「玉砕」の思想。
硫黄島で日本軍が、信じられないような兵力の格差にもかかわらず米軍が予測した5日をひと月以上うわまわる期間もちこたえることができたのは、総指揮官である栗林忠道によるものでした。
ひとつは誰もが思いもつかなかった地下要塞作戦。前作では上陸したときの不気味な静けさが怖かったのですが、こちらを見ると少人数で立ち向かうことができた唯一の作戦であったことが改めてよくわかりました。
もうひとつは今まで日本兵が貫いてきた「玉砕」という思想に対して距離を置くことができたからではないでしょうか。これには兵士への体罰の禁止なども含み、ひとりひとりの命を大事にするということでもあります。アメリカ留学を経た彼ならではの合理的な発想ですが、、日本古来から続く、”切腹”の思想をここで断ち切ったとも言えましょう。

**ちょっとネタバレ**
とはいえ、栗林忠道も最後は「玉砕」しました。でも。。これは少々意味が違うと思います。
傷を負ってもう戦えなくなったとき、アメリカ兵であれば、投降するのがあたりまえなので、もし彼が普通の一平卒でしたらそうしたでしょう。でも彼は総指揮官。立場が違います。埋めて欲しい。。というのは彼ならではの”精神論”であったと思うのです。


両作ともかなりリアルで迫力あるシーンの連続でちょっと辛かったです。
前作では戦地と化していないアメリカへ帰還したときの情景など明るい(シーン的にはと言う意味で)
場面もあったのですが、こちらはひたすら戦地。しかも暗い塹壕の中。。
そんな中での救いとなったのは”手紙”でした。最近、まさに『手紙』という映画があり、刑務所と家族をつなぐ唯一の糸、そして彼らの自浄作用として描かれていましたが、戦地の兵士にとってもそれは同じです。
家族からの手紙を手に握って亡くなったアメリカ兵のサム。
故郷に残してきた妻につづる手紙。。
手紙の持つ力に思い至りました。


外国が日本や日本人を描くときにありがちなステレオパターン化は、ほとんど感じませんでした。
『SAYURI』は論外として『ラストサムライ』などはかなりのものでいたが、それよりも自然。
何の違和感なく、しかも前作も本作も”どちらが悪い。。”というようなことにはまったく触れずに第三者的な目、兵士からの視線です。
『父親たちの星条旗』では個人が戦場外でも国威発揚のために使われる姿が描かれていましたが、この映画では、個人が進んで国のために天皇陛下のために尽くす姿が主です。
どちらの映画も、いわゆる『国家』と『個人』の関係を、また両国の『文化論』『精神論』の違いを描いたもので、やはり傑作だと思います。


監督: クリント・イーストウッド
出演: 渡辺  謙/ 二宮 和也/ 伊原 剛志/ 加瀬  亮/中村 獅童/裕木 奈江

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今までの戦争映画でなんとなく「生きて虜囚の辱めを受けず」といって自決する兵士の精神性を美しいと思っている自分がいました。5日で落ちるはずだった島を数十日持ちこたえさせた栗林中将を期待して見に行ったところがありました。でも監督はそんなヒロイズムの描写は微塵も考えずただ淡々と戦争を描いていました。描写の仕方って恐ろしいと思いました。

2006/12/16(土) 午後 8:45 ちいず

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陸軍中将、栗林忠道のとった政策で物量の違う戦争を36日間も持たせることが出来ました。淡々と描いていたようですが、しっかしりと伝わってきましたね。

2006/12/17(日) 午前 0:01 car*ou*he*ak

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私は「硫黄島からの手紙」しか見てないので、こちらで両方見られた方の感想を拝見して、改めて素晴らしい作品なんだと実感しました。あちらも第三者的な描かれ方なんですね。すごく興味が沸きました。

2006/12/17(日) 午後 4:59 [ rei*mov*e ]

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日本人が観て納得できる映画が、戦争映画というのは素晴らしいことだと思いました。やはり人間は、感じるものが一緒なのでしょう。欧米でVJdayが近づくと火炎放射器で焼け出される日本兵や、日本兵の死体の映像がたくさん流れます。まるで虫けらのように。日本人としては複雑な心境でしたが、この映画を観て、彼らも普通の人間だったんだ・・戦争もお上に逆らえないから、仕方なくしてた・・とういのを知ってもらえると良いのですが。いずれにしても公平な描き方でイーストウッドは凄い。戦争はどこを切っても悪でしかありません。

2006/12/17(日) 午後 5:01 [ nomad ]

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トラバありがとうございます。今の日本の政治家のひとたちにも見てもらいたい映画だと思いました。戦争につながるような法改正がじわじわとおこなわれているようでちょっと怖いのです。。。

2006/12/17(日) 午後 9:07 poeko

同じ事件を違うアプローチで撮って、それがまたそれぞれにお見事。イーストウッドの手腕に脱帽です。TB返しポチッ☆

2006/12/18(月) 午前 9:01 こん

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REIさん。もちろん、どちらかひとつ見てもちゃんと独立した映画となっていますが、できればやはり両方を。。どちらがいい、悪い。ということが焦点になっていないところが好きです。

2006/12/18(月) 午前 9:37 car*ou*he*ak

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catpurrさん。そうなんですか。その日本兵の映像の話は知りませんでした。それは何のために流されるのでしょう?日本兵の本当の気持ちを二宮クンが素直に演じてくれたので、この映画は説得力のあるものになっていました。

2006/12/18(月) 午前 9:41 car*ou*he*ak

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ぽえこさん。そうです。ぼんやりしてる間に、庁を省に変えて戦争がじんわりと容認される方向に向かっているような気配があります。本当にいつも政治家の人たちは、現場の戦場を見ないし、知らないまま外交だけで戦争に持っていってしまっています。この映画を見てほしいです。

2006/12/18(月) 午前 9:44 car*ou*he*ak

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こんさん。物事には多面性があってどちらから見てもそれなりの理由や事情があります。それを両方からしかも公平に描いてくれたので、とってもわかりやすくなりました。素晴らしい作品ですね。

2006/12/18(月) 午前 9:45 car*ou*he*ak

こんばんは。Cartoucheさんのレビュー、頷きながら読ませていただきました。「父親達の星条旗」では国に利用される兵士達、「硫黄島からの手紙」では国のために死んでいく兵士達・・・その通りですね。ハリウッド映画なのに日本人のことが丁寧にしっかりと描かれていたのが嬉しかったです。

2006/12/19(火) 午後 10:23 キノ

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kinoさん。ありがとうございます。アメリカ映画なのに敵国だった日本のことを悪い。。と言っていないところが素晴らしいですよね。両国の兵士の悲しみは同じだということがよくわかりました。

2006/12/21(木) 午前 0:18 car*ou*he*ak

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クリント・イーストウッドに感謝したいです。日本人が作ると韓国や中国の反発を買うんでは?と思ったり…。とにかく訴えることは戦争はよくないこと。当たり前のはずなのに、今でも戦争があるっていうのは悲しいことです。TBお返ししますね。

2006/12/21(木) 午前 10:31 りーめい

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確かにそうですね。日本もアジアの国々に対してビミョーな立場にあるので、こういう映画は作れなかったかもしれません。それにしても戦争がなくなる日ってあるのでしょうか?

2006/12/21(木) 午後 10:04 car*ou*he*ak

国家と個人の違いというのはわたしも感じました。あの当時の思想は「天皇、国のためなら死を選ぶ」という悲しい考えが支配してましたね。今の日本では考えられないことです。イーストウッドからの手紙は本作も力強く、悲しかったです。。。

2007/1/2(火) 午後 0:13 sha**owgra*e197*

父親たちの星条旗をみるとより一層歴史背景や本作の理解がふかまりそうですね。テーマ的には私には重すぎる場面もあり、目をつぶってしまうところもありましたが、頭が麻痺するくらいの衝撃作でした。

2007/1/5(金) 午後 11:14 rucola

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ぐれいぷさん。あの頃は学校などでも洗脳されていたのでしょうね。今とは比べ物にならない考え方です。それにしてもイーストウッドはすごい!

2007/1/6(土) 午前 0:19 car*ou*he*ak

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ルッコラさん。私もなんとなく避けて通りたくなってしまう主題なのですが、やはりこういう映画を見ておくのも”ひとつの責任”のような気がします。

2007/1/6(土) 午前 0:20 car*ou*he*ak

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アメリカ人の手による作品とは思えないほど、心情が描かれていましたね。ラストの手紙がこぼれ落ちるシーンに、思いが凝縮されているように感じました。トラバさせていただきますね♪

2007/4/26(木) 午後 11:08 じゅり

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そうですね。アメリカ人なのにどうしてこんなに日本人の精神がわかったのでしょう。また外から見た目線もあり、素晴らしいできばえとなっていました。TBありがとうございます。

2007/4/26(木) 午後 11:11 car*ou*he*ak

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