Cartouche

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                              2006年 ドイツ映画
先日、『あなたになら言える秘密のこと』を早々今年のベスト10入りさせてしまいましたが
この作品は2007年ベストではなく、今まで見た映画の中で・・のベストに入れます。
ほんと。それほどの作品で、倒れそうになりました。

この映画のあらすじを読まれてしまった方もいるかと思いますが、どうしてもネタ元に触れてしまうことになるので、今回あえて、いつものようにあらすじを転載することは控えます。

でも見る前にやはりその時代背景は知っておいた方がいいと思いますので、少し。。。

日本がバブルの真っ只中でみんなが浮かれていた17年前の1989年。
冷戦時代の終わりを告げる出来事としてベルリンの壁崩壊がありました。
そのときのニュース映画は鮮明に覚えています。
でも。。そこに至るまでにはこんな想像を絶する”世界”があったとは!!
それはシュタージと呼ばれるものでした。

**シュタージ(Stasi)とは**
東ドイツの秘密警察・諜報機関である国家保安省の通称。
ドイツ語の「Staatssicherheit」の太文字部分を読んで 「Stasi」 と呼ばれました。
これはSED(ドイツ社会主義統一党)によってなされたもので、特定の”個人”というものを抹消しようとしていました。
あらゆる手段を使って、人々を“幸せ”にしようとした独自の勝手な道徳を作り、人々の行動をただそうとしていたのです。でも首脳部の人たちには罪悪を感じる事はまずありませんでした。

さらにコワイのはシュタージは軍隊式の階級を持ち、制服を着ている人もいましたが、またそれ以外にIM という非公式協力者と呼ばれた密告者が多数いて彼らによって国民を監視し、国内の反体制分子を弾圧しました。反体制分子とされた人々の個人情報記録は東ドイツが崩壊した後、本人に限り閲覧ができるようになりました。でもそれによって新たな悲劇が!!家族や親友が実はシュタージの協力者であったという事実を知り、家庭崩壊や人間不信に陥った人々も少なくなくありません。
正規局員91000人。IMはなんと17万人!!       (一部Wikipediaより)
  
・・・と以上、少々むずかしいことを書いてしまいましたが、この映画自体は難解ではありません。
反戦映画でありつつもドラマティックなラブロマンスであり、密かな人間愛の物語です。


そしてポイントになるのはふたつの芸術です。
演出家イェルスカが持ってきたのは題名となっている『善き人のためのソナタ』
この曲を本気で聴いた人は悪人になれない
というセルフのとおり、現代音楽なのですが、天からもたらされたかのような不思議な音楽です。

そしてもうひとつはブレヒトの詩集です。
20世紀を代表する劇作家・詩人。彼はアメリカに亡命しましたが世界の自由と変革を求めてやみませんでした。この詩集も重要な役割のひとつとなります。

ああ。本当はもっともっと書きたいことがあるのですが、あとは知らないで見た方がいいと思うのでこのへんにしておきます。・・が本当に今思い出しても辛くなるほど。。特にラストは。。
でもそんな状況下でありながらも人間って素晴らしい!
捨てたもんじゃありませんね〜




映画の原題は「DAS LEBEN DER ANDEREN」。直訳すれば「あちら側の人々の生活」という意味。
これは反国家分子のことなんでしょうが、もしかしたらそれまでなんの疑いもなく国家に忠実だった
ヴィースラーがふたりに出会って初めて他者(ANDEREN)を意識した・・ということなのかもしれません。

音楽はガブリエル・ヤレド
ベイルート出身のフランスの作曲家。
メッセージ・イン・ア・ボトル、愛人/ラ・マン、イングリッシュペイシェント、ベティ・ブルーなど
私が好きな作品を多く手がけていてこれまたびっくりです。

同じく壁の崩壊について描かれた作品に『グッバイレーニン』があります。表面的にはコミカルですが、実はかなり深くそのときの国内の状態が描かれています。



監督:フローリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク
音楽:ガブリエル・ヤレド
出演:ウルリッヒ・ミューエ
   マルティナ・ゲデック
   セバスチャン・コッホ

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閉じる コメント(85)

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YKさん。現代の私たちは自由が当たり前だから日々何も考えずに
過ごしていますがこういう映画を見るとそれがどんなに大切であるかわかります。でもこういう状況下で人間に善があるのがうれしいですね。

2008/1/14(月) 午前 1:17 car*ou*he*ak 返信する

カルさんが一番とおっしゃていたので、観てみました!
東ドイツの壁崩壊までの様子を知らなかったので、驚きました。中国映画でも文化大革命を描いた映画は悲惨でしたが、監視国家の悲劇が描かれてる深い映画でしたね。その中で善き人であるにはと、言われてるようでした。もっとブレヒトについて知ってたらなーと残念でした。「三文オペラ」書いたくらいしか理解してなかったので・・・。
TBさせてくださいね。

2008/1/15(火) 午後 1:59 かりおか 返信する

DVDでたった今観終わりました。
こういう状況が戦時中でなくてつい20年ほど前にあったんですね〜
国家に忠実で仕事としてやられているとしても後から感謝できるほど私は人間できてないなぁと思っちゃいました。
うむむむ・・・

2008/2/21(木) 午後 2:27 - 返信する

政治的背景は複雑かもしれませんが、ストーリーも構成もシンプルでかつ分かりやすかったと思います。ラストの感動は、心震えましたね。TBありがとうございました、お返しさせてくださいm(_ _)m

2008/3/1(土) 午前 11:33 [ - ] 返信する

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かりおかさん。私はここ10年で1本の作品だと思っています。
そうなんですよね。壁お崩壊は知識としては知ってても具体的に
どういうことだったのかわからないです。
私もブレヒトについてはよく知らないので、今一度調べてから再見したいと思ってます。

2008/3/1(土) 午後 10:31 car*ou*he*ak 返信する

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mareさん。どうしてこんなに国家に忠実になれるのかもわかりませんが、後から感謝できるほど・・というのもみんななかなかできませんよね。

2008/3/1(土) 午後 10:33 car*ou*he*ak 返信する

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yaskazさん。最近思う名作の条件がそれです。
詳しく知ろうとしたら奥が深いけれど、といってそれがわからなくても感動できる。なかなかむずかしいことですが・・

2008/3/1(土) 午後 10:35 car*ou*he*ak 返信する

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シュタージの存在を知ると同時に、思想や文化、個も統制してしまうという恐ろしい実態があったんですね。あの最後の監視する立場から守る立場になった主人公に、温かい贈り物が用意されてましたね。TBさせてください。

2008/3/6(木) 午後 3:17 mossan 返信する

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もっさんさん。私も具体的に秘密警察については知りませんでした。
戦争ってこういう別のイヤな面もあったのですね。

2008/3/6(木) 午後 3:36 car*ou*he*ak 返信する

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今までご覧になったベストに入るの分かります!!すごくいい作品でした。ドイツに秘密警察があるとは私も知りませんでした。予備知識を持ってみるとまた違う気がします。それにしても感動的でした。
TBさせてください。

2008/3/9(日) 午後 3:38 lukagekkai 返信する

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そうなんです。これは自信をもってオススメできます。
未だ感動冷めやらず・・

2008/4/14(月) 午後 7:51 car*ou*he*ak 返信する

凄いですね、IMの数!!!
シュタージの事、芸術家が表現することの自由でない情勢・・
いろいろ知ることが出来ましたし、考えさせられる事も多いですね。
映画としても、緊張感あり、ハラハラする展開あり、
そしてラストにかけては本当に心に染みる展開で・・
素晴らしい作品でした!
Tb,させてください!

2008/7/7(月) 午前 2:33 A☆co 返信する

映画史に残る素晴らしいラスト・シーンでした♪ アカデミー受賞は納得!

2008/10/29(水) 午後 11:02 やっくん 返信する

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さすがCartoucheさん、ドイツ語が分からないもので、原題はどういうことなのかなぁと思っていたらそういうことなのですね。英語タイトルも忠実ですがやっぱり『The Lives of Others』とはニュアンスが違う気がします。とにかく素晴らしい映画でした。TBさせて下さいませ〜。

2008/10/30(木) 午前 10:02 M 返信する

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A★COさん。ほんとコメもTBもたくさんいただきました。
ナチの時代というと、どうしても収容所の人たちのことばかり映画になってきましたが、こうして一般市民がどのような暮らしをしていたのかわかるとこれまた興味深いです。
ほんと素晴らしいですよね。

2008/10/30(木) 午後 0:14 car*ou*he*ak 返信する

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やっくんさん。ラストはほんと心にしみますね。
アカデミー受賞もやはり・・でした。

2008/10/30(木) 午後 0:16 car*ou*he*ak 返信する

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Mさん。ほとんど忘れてるドイツ語ですが、かろうじてわかりました。そうそう。言葉って翻訳しちゃうと意味合いがちょっと変わってしまうものですよね。
これは十年に一本の作品といってもいいと思います。

2008/10/30(木) 午後 0:18 car*ou*he*ak 返信する

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芸術は人の心を、これほどまでに変えてしまうのですね。
ブレヒトの詩集と「善き人のためのソナタ」。
原題は少し味気ない感じがするので、なかなか良い邦題ではないでしょうか。
あの監視して当然の社会は、とても恐ろしいものですが、その中で自分の立場を危うくしてまで、手助けをしようとしたヴィースラーの心の、何という美しさでしょうか。
とても素晴らしい作品でした。もう傑作です。

2009/4/2(木) 午後 10:50 出木杉のびた 返信する

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のびたさん。これは私も十年に1本の傑作だと思っています。劇場で見たときはあまりの衝撃でしたので今度じっくりと再見したいと思います。
そうですね。芸術の持つ力が人の善の気持ちに届いたのでした。
あの時代のこんなことがあったというのは救いです。

2009/4/2(木) 午後 11:22 car*ou*he*ak 返信する

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ドイツ映画で、これほどずしりとした感動を覚えた作品はこの四半世紀ではなかったような気がします。

Cartoucheさんの高い評価を以前から知っていましたが、重苦しいのではという印象を振り切り、見てみました(笑)。・・・XXXに捧ぐというのは、感動でした。TBさせてください。

2010/5/16(日) 午前 11:24 fpd 返信する

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