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*バベル*

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   ***STORY***                  2006年  アメリカ
壊れかけた夫婦の絆を取り戻すために旅をしているアメリカ人夫婦のリチャードとスーザン。バスで山道を走行中、どこからか放たれた銃弾が、スーザンの肩を撃ち抜く。なんとか医者のいる村までたどり着くが、応急処置がやっと。彼は英語がなかなか通じない村の住人たち、対応が遅いアメリカ政府に苛立ちを露わにするが…。同じころ、東京に住む聴覚に障害を持った女子高生のチエコは、満たされない日々にいら立ちを感じていた…。


見終わった後、帰る道すがら涙が溢れて止まりませんでした。
静かに深いところでこころ揺さぶられかなり感動!!

イニャリトゥ監督独特の手法で、異なる舞台を時勢をずらしながら描いて行く方法ですが、
時間が大きく前後しないので、他作品よりははるかにわかりやすいです。

(かなりネタバレしてますので未見の方はご注意ください)
同じひとつの地球で、ほぼ同じ時間を共有しているのにこんなにも違う生き方をしている人間たちが丁寧に描かれています。
モロッコの荒れた土地で山羊と暮らす人たち。
子供が銃を持つことの恐ろしさ、痛々しさ・・は最近アフリカを舞台とした映画を見るたびに思ってきました。でも今回は生活のための必需品であり、彼らにももちろん何の悪気もありませんでした。
でも起こってしまったことの重大さは他の映画の何倍もの大きさ!であり、彼自身が受けた天罰も莫大なものでした。そしてその銃弾を受けてしまったアメリカ人女性。
彼らにとって壊れかけてしまった夫婦関係を修復しようとしていた旅でしたが、思わぬ展開となってしまいます。
そして他方、アメリカに遺してきた子供たちはメキシコへ。普段は母親の命令で入国してはいけないことになっていました。でも純粋な子供たちには見ること、聞くこと、すべてが新鮮!!そして現地の子供たちともすぐさま打ち解けていきますが、そこには国や言語により壁など存在しませんでした。

ところがこの家族は地球上の違う場所で命の危機にさらされます。
・・で!そのときに立ちはだかったのは、国や法律でした。
1分、1秒でも早く病院に搬送したいのに法律で阻まれて飛べないヘリコプター。
探したいのはアメリカ人の子供なのに、不法滞在をうたがわれ、手錠を掛けられ、思うように歩けないメキシコ人シッター。融通の利かなさがもどかしく、辛いです。

でもこの映画には大きな救いがありました。
モロッコでバスに同乗していた同郷のアメリカ人たちはご高齢の人たちが多かったので、自分たちの体調が心配なのは充分わかりますが、元気な人の何人かはリチャードの手助けをし、大使館に連絡をとったりしてあげるべき。それなのに最後の命綱でもあったバスに乗ってみんな走り去ってしまいました。
でも手厚く看病し、ヘリが飛び立つときにみんなで見送ったのは地元住民でした。
そこには国境も人種の違いもなかったのです。

そして不法滞在を問われて留置されているシッターが一番心配したのは子供たちの安否です。それは雇い主である夫婦に対する責任からではなく、生まれたときから世話をしミルクやゴハンを与えてきた子供たちが自分の子以上にかわいい。そんな純粋な気持ちからの心配で、ここにも”壁”はありませんでした。

そしてもうひとつ。
一見かけ離れた日本が銃の関係から日本人の父と娘が描かれていましたが、ここにも見えない”壁”がありました。それは人種が同じなのに、聾唖者だというだけで出来てしまう壁。
私の母も少々耳が遠くなり始めていますので、最近用事は父にのみ伝えます。でもそれって母をどんどん孤独にしていることなのですよね。ゆっくり大きな声で言えば何とか伝わるのに、ついついメンドーだからとコミュニケーションとるのを避けてしまうこと。これも立派な壁なのです。
でもその壁も超えてくれる人物がいました。

3つの大陸に暮らし、4つの言語を使う、
一見、何の繋がりもないと思われる人間たち。
でも結局同じベースで同じことを訴えたくて描かれていたことがわかり、深い感動を得ました。
素晴らしい作品だと思います。



**「東京」でのストーリー。チエコがクラブで踊る場面で、クラブの照明が1分程度早い点滅を繰り返すシーンがあり、光過敏性発作により体調不良を訴えていたことが明らかとなりました。これはこのシーンだけでなくその数分前から始まるチエコの”隔離された世界”の描かれ方に問題があるように思います。音楽、映像ともに窒息しそうなほどの息詰まりを私も感じました。うまい・・ということでもありますが、場合によってはお気をつけください。

監督は 『アモーレス・ペロス』 『21グラム』
脚本はトミー・リー・ジョーンズが監督の『メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬』も手がけているギジェルモ・アリアガです。
そうか。。どちらも私の好み。




監督: アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ
出演: ブラッド・ピット/ケイト・ブランシェット/アドリアナ・バラーザ/ガエル・ガルシア・ベルナル/役所  広司/菊地  凛子/二階堂  智

閉じる コメント(62)

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あのシーンはそうか。音がなくなったのですね。水の中で溺れているような妙なコワサがありました。国は法律は違っても人間同士は温かいし、触れ合おうとしていることを改めて感じました、いい映画です〜〜

2007/5/15(火) 午後 11:28 car*ou*he*ak

深い繋がり、絆を感じる作品でした。キャストも素晴らしかったのですが、坂本龍一さんの音楽にとても心打たれました。トラバお願いします!

2007/5/29(火) 午後 9:00 くるみ

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またまた遅ればせで観ました、静かに涙する映画でした。なんだかいつもは埋もれているココロの何かがムクっと目を覚ますようなそんな映画で感受性みたいなモノの感度が良くなったせいの涙なのでしょうか?こういう眠っていたモノが覚醒する映画はきっといい映画ですね♪

2007/6/4(月) 午前 0:06 Papillon Effet

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pappilonさん。封切られた頃は社会派映画ラッシュでしたから今頃静かに鑑賞するほうがいいかと思います。
そうそう。コレと明確なものはないのですが、心のどこか奥底にあるものに触れられたようなとっとドキっとする感じです。
21グラムもそういう類でしたので、この監督のスゴさがわかりますね。

2007/6/4(月) 午前 0:11 car*ou*he*ak

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混んでいると思ってのフェイントもあるのですが思ったより人が入っていてちょっとビックリしましたw明確さが薄いから日本での反響はイマイチだったのでしょうかね?薄味が苦手な人が多いのかなぁ?w

2007/6/4(月) 午後 9:37 Papillon Effet

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これはある程度、映画を見慣れている人でなとむずかしい映画だったかもしれませんね。でも自宅近くのシネコンでもロングランになってます。

2007/6/4(月) 午後 10:16 car*ou*he*ak

微かな希望も感じさせられた映画でした・・・。深い映画ではありましたね。遅ればせながらTBさせていただきます。

2007/12/2(日) 午後 11:09 takutaku!

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たくたくさん。国や人種の違いが壁になっていましたがでも結局は人間の温かさが描かれていて、大好きな作品です。

2007/12/3(月) 午前 10:39 car*ou*he*ak

2007年に観た映画のベスト1です。非常に深い映画だと思います。痺れました。TBお返しします。

2007/12/23(日) 午前 9:36 [ BARRY ]

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私も多分ベスト3に入れると思います。
一回では把握しきれないくらいすごく深い映画でしたよね。

2007/12/23(日) 午後 5:14 car*ou*he*ak

素晴らしい作品だと思いました。
深くて、見ごたえがあり、色んなことを考えさせられました。
それぞれのストーリーが散漫にならず、静かな感動を覚えました。
トラバさせてくださいね。

2008/4/6(日) 午前 0:59 hazakura

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はざくらさん。世界のどこにでもある”壁”。
でもそこを突き抜けようとする人々のことが温かいまなざしで
描かれていました。
素敵な映画でしたね。

2008/4/6(日) 午前 9:15 car*ou*he*ak

わたしには理解不能の映画でした・・・映画同様コミュニケーションが上手く取れないでいます・・・(笑)反論もまた映画の魅力でしょう!あえてTBさせてくださいm(_ _)m

2008/4/6(日) 午前 10:12 [ - ]

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yaskazさん。これはかなりわかりにくい映画でしたよね。
コミュニケーションの欠落が色々な悲劇を生んでいたと思います。

2008/10/26(日) 午後 8:03 car*ou*he*ak

ブラッド・ピット、ケイト・ブランシェット、菊地凛子、アドリアナ・バラーザは良かったですね。
心が痛くなるような話でしたが、父娘の和解、ケイトの命が救われたことなど、希望の欠片もあったのかな?

2008/10/26(日) 午後 8:27 やっくん

旧約聖書でいうバベルを知らずに観た私。
予習をしれば良かった。。。

菊地凛子の眼力が凄かったですね。。
股を広げるシーンには、驚きでした。。。

2009/7/13(月) 午後 10:40 sei

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やっくんさん。ほんとみんなの演技が迫力モノでした。
そうですね。ちゃんと明日への希望が感じられるところが
よかったです。

2009/7/13(月) 午後 10:53 car*ou*he*ak

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seiさん。私もバベルのことについてはちゃんとわかっていません。
どうも宗教がらみのことになると日本人はとたんにダメですね・・
菊池凛子さんの演技にはほんとびっくりでした。

2009/7/13(月) 午後 10:55 car*ou*he*ak

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時間が交錯して、最後に行きつくさまが
うまいな〜っておもいました〜

TBおねがいします

2010/12/17(金) 午後 1:44 る〜

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る〜さん。時間軸も場所も揺れますが、それが却って
効果的でしたね。

2010/12/29(水) 午後 7:09 car*ou*he*ak

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