Cartouche

肺炎で入院中。リコメ・ご訪問遅れております。

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   ***STORY***    2007年        フランス=チェコ=イギリス
1915年にパリのベルヴィルで生まれたエディットは幼くして両親と生き別れ、祖母が営む娼館に身を寄せる。一度は失明したものの奇跡的に回復し、後に大道芸人の父に引き取られ、日銭を稼ぐためにストリートで歌っているところを、名門クラブのオーナー、ルイ・ルプレに認められ、その歌声から“ピアフ(雀)”と名づけられる。やがて世界的なスター歌手となった彼女は生涯最愛の恋人マルセルと出会うのだった…。                    gooより      


もう〜〜あまりに素晴らしくて終わってから現実の世界へなかなか戻れず呆然と
してしまいました。
とにかくマリオン・コティヤールの演技が圧巻。
本当はかなりおきれいなのに、そうではない役ができるってびっくりです。
ほとんどピアフ自身の声の録音をデジタル技術で調整し、ダビングしていて
口パクなのですがまったく気づきません。
ただ。。これは扱いは大きいですがハリウッド映画ではなく、フランス=チェコ=イギリス映画
なので、けっこう暗い場面も多いですし、いい意味で重くて疲れますので、ご注意を。

時代背景的にむずかしくありませんので、彼女の生涯を含めて知らずに行ったほうが
断然いいと思います。
(・・ってことはこれも読まないでってこと?)

ふつう伝記映画というものは誕生のときから晩年まで順を追って撮られるものです。
でもこれは時折南仏での療養中の最晩年や、その数年前のカムバック、さらにその前の
交通事故や麻薬中毒のことなどをはさんでいます。
それも順番に。。ではなく前後するのですが、ちゃんと年代が字幕に出るので
わかりにくいことはありません。

これによってもたらされる効果はバツグン。スタッフに威張り散らす晩年の姿を早くに見せる
ことで少女時代の不遇さと卑屈におびえる姿を鮮やかに対比させているのですね。

それにしても彼女の人生は壮絶です。
まず貧困。1020年代のフランスというのは私にとっては一番の憧れの時代。
第一次大戦後のヨーロッパでは、荒廃の後、文学、演劇、美術、音楽、映画から
ファッションにいたる様々の文化が、絢爛と花開いていった時代でした。
でもそれは一部の人たちの間でのことで、普通の人々の暮らしはかなり厳しいもの。
彼女の生まれた環境は貧困のど真ん中で、しかもたらい回しで娼館で過ごします。
環境としては最悪かと思いきや、かなりみんなにかわいがられていたようで、充分な愛に
恵まれてました。

でもいきなりの別離。一生つきまとわれる”別離”はこのときから始まっています。
でもまあ強欲な父親に連れまわされたことがデヴューのきっかけになうのですから
そう悪いことばかりではありません。
キャバレーでのデヴューを果たすもののここにも辛い別れが・・

**ここから少々ネタバレです。
その後のマルセルとの出会いは彼女の人生にとっても、この映画にとっても最高のことでした。
この辺りのふたりの”想い”は見ていてドキドキするほど。
でも・・ここでも・・
マルセルに対する溢れんばかりの愛をこめて作った歌詞にマルグリット・モノーが作曲したのが
あの「愛の賛歌」でした。それを初めて発表する演奏会の当日、それを聞くためフランスから
やってこようとしたマルセルは・・

この瞬間から彼女の麻薬と病気に冒される日々が始まります。
でもよく考えてみるとピアフの歌手としてのピークは、50年代、「愛の讃歌」以降、この苦しみの
絶頂と重なります。
この映画の中で流れる多くの代表曲は、自暴自棄な暮らしで急速に肉体が衰えた頃になって生まれて
いるのですね。

他の歌手や有名な俳優さんの伝記的映画を見て思うことは彼らの人生が非凡であることです。
・・というかこういう映画というのは”才能のある人の人生は波乱万丈でどこか問題を抱えているもの
自分の人生は平凡だけれど、良かった・・なんて思って安心するためにできているのかと
思うほどです。

最後にマルセルの言葉を・・

「君は多くの人の心を慰めるため、休ませるために子守歌を歌い続けてきた。しかし君の
ために子守歌を歌ってくれる人はいないのではないか?その役割を僕はしたいのだ」




ところでこの映画には抜け落ちていることが何点か。
ひとつはイヴ・モンタンとの関係です。誰もが知っている巨匠ですが、彼は、ピアフが
いなければシャンソン歌手にはなれなかったかもしれないほどなのです。
彼女のバックアップがあってシャンソン歌手になり、「枯れ葉」のヒットをとばします。
叉、2度目の結婚は21歳も年下のギリシャ人青年テオ・サラポと。
テオを歌手として一人前に育て上げることに全身全霊を傾けました。
きっと自分がルイに見出されたから、お返しをしたい・・という気持ちだったのでしょうね。
もうすでにボロボロになっていた身体を酷使してのことでエディットは1年間の結婚生活を
過ごしただけで過労に倒れ、世を去るのです。

ただ・・これは抜けているとはいえ、”あえて”のこと。
マルセルとの恋にフォーカスさせたかったのだと思います。
叉彼女の周辺にはジャン・コクトー、モーリス・シュバリエ、マレーネ・デートリッヒなどが
いました。才能を見出した後輩にはシャルル・アズナブールもいます。

**追記
記事を書いた後でマリア・カラスのことを思い出しました。
どちらも4〜50年代を絶頂期としています。
生まれ育ちも環境も違いましたが、その満たされない”何か”を必死で歌にこめた・・という
ことには共通点がありました。
とぢらの歌も今尚人々を魅了してやみません。
・・がふたりとも厳しい人生でした。




**監督のオリヴィエ・ダアン
クリムゾン・リバー2 黙示録の天使たち(2004)
いつか、きっと(2002)

**ところで撮影はテツオ・ナガタさん。
永田さんは82年に渡仏して以来、98年にフランスで公開された「スタンバイ」で初めて
長編映画の撮影監督を務め、01年アヴィニョン映画祭撮影賞を受賞。
『うつくしい人生』でも
撮影担当してますが、この映画の独特の美しさは彼によるものです。
そして一昨年の邦画『大停電の夜に』で撮影監督なさってます。
現在はパリ郊外にお住まい。


監督+脚本:オリヴィエ・ダアン
脚本:イザベル・ソベルマン
撮影:テツオ・ナガタ
音楽:クリストファー・ガニング
出演:マリオン・コティヤール ジェラール・ドパルデュー ジャン=ピエール・マルタンス
配給:ムービーアイ

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コクトーなどとの関わりがもう少し描かれていれば面白かったかも知れませんね・・・。遅ればせながらTBさせていただきます!

2008/3/23(日) 午後 10:18 takutaku!

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YKさん。色々な人がこの役をやってますが、ほんとこれほどピアフになりきった演技はないでしょうね。
そして壮絶な人生なくして名曲は生まれませんでした。

2008/3/24(月) 午後 6:32 car*ou*he*ak

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ちいずさん。彼女の恋愛関係はこのほかにもたくさんありそういう意味でもとても華やかでした。
でもマルセルとのことは痛々しかったですね。

2008/3/24(月) 午後 6:34 car*ou*he*ak

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たくたくさん。そうなんです。私も当時のパリの文化人との交流のことなどもうちょっと知りたかったです。でも素晴らしい映画でしたね。

2008/3/24(月) 午後 6:35 car*ou*he*ak

やっと観ることができました^^;
その壮絶な人生と歌が重なり、見応えありました。女優賞も納得のマリオンの演技でした!

2008/3/26(水) 午後 7:29 くるみ

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くるみさん。あの人生だったからこそ生まれた名曲だったのですね。
今更ながら、彼女の歌の底力を思います。
マリオンの歌も演技も最高でしたね。

2008/3/26(水) 午後 7:45 car*ou*he*ak

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んもう、マリオン・コティヤールは圧巻でしたよねぇ〜。
時間軸のずれが効果的というのも、頷けます〜。
イイ〜〜映画を観ました。 ^^;
TBさせてくださいませ。 m(__)m

2008/6/28(土) 午後 9:32 サムソン

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サムソンさん。時間軸のズレはキライなのですが、ここでは効果的でした。それにしてもマリオンは素晴らしい〜

2008/6/28(土) 午後 11:00 car*ou*he*ak

ピアフの壮絶な人生に驚き、歌声に心打たれ、マリオンの熱演に拍手を贈りたい!そんな思いです。
次はマリア・カラスの映画を見たのですが、
この映画がすばらしかったので、
もう少し時間を置いてから鑑賞したいです!
TB,させてください!

2008/7/6(日) 午前 1:24 A☆co

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A★COさん。私も彼女の人生がここまで壮絶だったとは知りませんでした。だからこそあの名曲の数々が生まれたのかもしれませんね。
マリア・カラスの映画もファニー・アルダンの演技がすごかったですね。

2008/7/6(日) 午前 10:01 car*ou*he*ak

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またもや“遅れてきた観客”です。(^^)ようやく観ました。
この映画は、圧倒的な役作りと演技を披露した主演のマリオン・コティヤールに尽きると思います。それとCartoucheさんも指摘されていた撮影も光っていました☆
しかし、監督は???で、作品全体の印象は少々希薄、、、というような記事を書きましたので、TBします。

2008/9/13(土) 午前 11:07 [ 8 1/2 ]

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そうでしたか。私はかなり感動したのですが。。
そうそう。永田さんの撮影は素晴らしいですよね。
日本人として彼は誇りです。

2008/9/13(土) 午前 11:25 car*ou*he*ak

ピアフのことは何も知らずに見たのですが、すばらしい歌をありがとう〜〜!と言う気持で映画を見終えることが出来ました。そして、マリオンの演技は、すばらしかったですね〜〜。本当にこれがマリオン?!と思ってしまうほど、ピアフになりきっていました。感動です!(^^)

2008/9/20(土) 午後 9:42 kuu

マリオンの演技は素晴らしかったですね♪
それに日本人の永田鉄男氏のカメラも素晴らしい!
フランスでの活躍、嬉しい限りです^^

2009/1/8(木) 午後 9:30 やっくん

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kuuさん。彼女の人生は辛かったでしょうがだからこそ私たちは
素晴らしい歌が聴けるのですよね。
ほんと”ありがとう〜”って気持ちになります。

2009/1/8(木) 午後 9:33 car*ou*he*ak

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やっくんさん。マリオンの演技には驚きました。
そうなんです。永田鉄男さんという人、海外で活躍されていて
素敵ですね。

2009/1/8(木) 午後 9:35 car*ou*he*ak

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マリオンの演技に圧倒されました。もう脱帽ですね。
そうそう、歌声はご本人の音源みたいですけど、マリオンの演技で違和感なく聴けました。
魂乗り移ったんじゃないかと思うほどでした。
マルセルの言葉、胸に染みますねぇ。
トラパさせてくださいね♪

2009/2/27(金) 午前 0:18 じゅり

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じゅりさん。マリオンはいつもきれいな人なのに鬼気迫る感じでした。マルセルの言葉も温かく、そして感動的でした。
これは今思い出しても素敵な映画ですね。

2009/2/27(金) 午後 8:56 car*ou*he*ak

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演技がすごくて、脱帽ってこのことだな〜
って感じでしたよ〜

TBおねがいします

2011/1/15(土) 午後 6:34 る〜

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る〜さん。ほんと。マリオン・コティヤールの演技に引き込まれてしまいました。すごいですよね。

2011/1/16(日) 午後 10:18 car*ou*he*ak

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