Cartouche

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   ***STORY***          2006年  スペイン・メキシコ
1944年、内戦終決後のスペイン。父を亡くした少女オフェリアは、身重の母と共にゲリラが潜む山奥で暮らし始める。そこは母が再婚したフランス軍のビダル大尉の駐屯地だった。体調の思わしくない母を労りながらも、冷酷な義父にどうしても馴染めないでいた彼女の前に妖精が現れ、森の中の迷宮へと導く。そこではパン(牧神)が王女の帰還を待っていた。オフェリアは魔法の王国に戻るために3つの試練を与えられるのだった。   gooより


思っていた以上にリアルで残酷なシーンの連続で、相当メゲてしまいました。
現実世界では終始雨が降っていて石造りの家は寒そう。
いつどこから襲われるのかわからない陣営でビダル将軍はあまりにも残酷なのです。
しかも迷宮も決してキレイなものではなくて、手のひらに目玉が付いた半漁人に追いかけ
回されたりして、泥んこになるし、クローネンバーグ映画のようなベトベト感も・・

特に現実世界のシーンでは怖くて見られないシーンもかなり多く、英語ならキャッチして
筋は追えるのですが、スペイン語はもちろんムリ。
理解しそこねた部分もあるかもしれません。

しかし・・
これある意味で傑作であることもまた確かです。
ただ私にはあまりにきつかったし、再見など絶対できませんけれど。



スペイン内戦を背景にした映画には、ヘミングウェイの『誰が為に鐘は鳴る』。
未見なのですが、ケンローチ監督の『大地と自由』もあります。
そしてなんといっても有名なのは『蝶の舌』です。でも今調べてみましたらあれは1936年、
冬の終わりから夏の始まりにかけてだったのですね。
スペインの人民戦線派が総選挙で勝利した頃から、クーデター勃発までの最も緊迫した
揺れ動く時期でした。そして内戦は39年で終わります。

でもこの映画の時代は1944年。
スペイン内戦は終わってまして、フランコ独裁になり、ヨーロッパは第二次世界大戦に突入
していました。ですからこれは内戦を描いた映画ではありません。
・・で。スペイン内では、反フランコ側のバスク地方独立運動がフランコ独裁体制の
過酷な弾圧にさらされていました。

どこの映画紹介の文にも反フランコ側は”ゲリラ”としか書いていません。
でもそうではなくて、このゲリラたちは自由と平等を求めて戦うバスク地方の
”善良な市民”だったのですね。
ここのところがしっかりとわからないとこの映画のもつ意味が全然違ってきてしまうように
思うのですけど・・(特にラスト)


それからこの少女の名はオフェーリア。
シェイクスピアの戯曲「ハムレット」の登場人物で、主人公のデンマーク王子ハムレットの
恋人であり、ハムレットに父を殺され、気が狂い、川に落ちて、流されて死んでしまいます。
父を殺された・・というところ。永遠の少女・・という意味で重なってくると思います。


もうひとつ気づいたのが、子守唄です。
冒頭、そして途中にも一貫して流れていますがこれはオフェーリアがメルセデスのせがんで
歌ってもらいます。もう母の死を感じていた彼女はメルセデスに母の役割を求めていたのでしょう。
そしてそれはラストのシーンにもつながってメルセデス=母となってくるのです。


ところでこの映画が一番言いたかったことは人間の愚かさでしょう。
このバスク地方の争いは今尚くすぶっているものですが、なんといっても醜いのは
やはり同じ民族間の殺し合いであること。
内戦のときには密告が辛いものでしたが、ここでは拷問による自供の怖さ!

でもラストでは自己犠牲により生まれたのが“希望”でした。
まだまだ人間には望みがあるということも同時に教えてくれます。


**追記
しつこくてすみません。
でもナンでメキシコの監督さんがスペインのことを書いたのかしら?と
思っていてハタと気づきました。
メキシコってスペインに支配されてたのです。
スペインの植民地支配システムはエンコミエンダ制と呼ばれるもので、ものすご〜く
搾取的でしたし、暴力的でした。
メキシコ原住民は激減し、しかもなんと300年も続きました。
1821年に独立していますが、ずっと後遺症もありました。
ですから自分たちの受けた屈辱を、フランコさんに重ね合わせてこの映画を
作ったのかもしれません。
より迷宮=平和と思えてきました。           〜〜一部Wikipediaより




監督・脚本=ギレルモ・デル・トロ
主演=イバナ・バケロ(オフェリア)、セルジ・ロペス(ビダル)、マリベル・ベルドゥ(メルセデス

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やっと見ることが出来ました。ダークな映像は、私好みでしたが、現実の世界が、少女にとって、あまりにも過酷だったので、悲しい気持でいっぱいになりました。
メキシコとスペインの関係も、cartoucheさんの説明で、勉強になりました。どうもありがとう。(^^)

2008/11/12(水) 午前 11:24 kuu 返信する

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kuuさん。私も怖いシーンはいやだったのですが、現実がそれ以上だったのでとても悲しくなりました。
この頃のスペインは大変でしたね。

2008/12/12(金) 午後 9:28 car*ou*he*ak 返信する

深いです!ちょっと、目から鱗かも・・(^_^;)
自分が迷宮にハマったようでここまでの事は読めませんでした!
ゲリラ=人民軍で、明らかに独裁政権が悪いし、最後にオフェリアが身を呈して守った弟やメルセデスには希望がありましたね!
オフェリアって言う名前も気にはなってましたが・・永遠の少女ですか〜。それに、迷宮=平和。すっきり!!(笑)
最後に・・クローネンバーク話に思わずニンマリしました!
TBありがとうございました!お返しさせて下さいませ(_ _)

2008/12/13(土) 午前 0:14 ふぇい 返信する

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フェイさん。ありがとうございます。
この記事はやたらしつこく書いてしまいました。
ここまで深読みすることはないかと思いますが・・
オフェリアの意味はかなり込められていそうですね。

2008/12/13(土) 午前 9:28 car*ou*he*ak 返信する

こんにちは。スピノザです。またわざわざお越しいただいてうれしかったです!

Cartoucheさんは映画館でご覧になったのですね。うらやましいです。ファンタジーの部分はどんなにか美しく映じられていたことでしょう。そして、現実部分はなおさらグロかったでしょうね・・。(苦笑)
映像の美しさと物語の切なさにおいて、この映画は後世に語り継がれて良い作品だと思います。そして、反戦のメッセージもまた、このように映画や書物や公共の場、家庭で、語り継がれねばならぬのだなあと思いました。

残酷なシーンにはまったくもう辟易、耐えがたかったですが・・。

「ラストのシーンにもつながってメルセデス=母」というご意見。この映画の基調に、子守唄をうたう母=メルセデスがいたのですね。そして、ラストでやはり、彼女は母となる。なるほど! そういうふうに観ると、この映画の構造がすっきり見えてきました。

わたしもTBさせてください!

2009/1/16(金) 午前 8:56 スピノザ 返信する

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スピノザさん。ご丁寧にありがとうございます。
はい。映画館で見てしまったので、よりグロかったです。
素晴らしい作品ですが二度と見られません。
そのあたらいは私の勝手な解釈なのですが賛同してくださって
ありがとうございます。子守唄って他の作品でもそうですが、
キーとなることが多いような・・

2009/1/16(金) 午前 9:52 car*ou*he*ak 返信する

ダークファンタジーとは聞いてましたけど、私も思った以上でした。
なるほど〜メキシコの監督が撮ったというのは、そういう意味もあったのですねぇ。
ラストは悲劇と取るか救われたと取るかは観た人次第でしょうけど、両方の感覚になりました。子守唄というのも、この内戦で命を落とした子供たちへのレクイエムという意味もあったのかもしれませんね。
作品として素晴らしいものだったと思います。
こちらからもトラバさせてくださいね♪
遅くなってごめんなさい〜

2009/6/11(木) 午後 6:22 じゅり 返信する

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じゅりさん。私も覚悟はしていたものの、すごいキョウレツで・・
メキシコの監督さんの件は私の勝手な解釈です。
私は救われたような気がしました。

2009/6/11(木) 午後 10:54 car*ou*he*ak 返信する

カンヌのスタンディングオベーションをはじめとして、数々の映画賞で絶賛されただけのことはありましたね!確かに子供向けではありませんが、こういファンタジーもあっていいのかと…^^

2009/8/17(月) 午後 9:18 やっくん 返信する

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やっくんさん。そうですね。映像的には厳しかったですが
これもやはりファンタジーです。
そうそう。けっこう賞もとりましたね。

2009/8/17(月) 午後 11:29 car*ou*he*ak 返信する

ひどく悲しいお話でした〜
もう可哀相で
しかもおっかない世界でしたよね〜
うん、でも傑作ですな〜TBします(o´∀`)ノ

2010/7/7(水) 午前 9:25 [ 翔syow ] 返信する

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syowさん。ラストは悲しいですよね。
怖くて仕方なかったけれどこれは傑作ですね。
覚悟を決めて再見したいです。

2010/7/7(水) 午後 7:53 car*ou*he*ak 返信する

メルセデス=母なるほど・・あの子守唄で繋がるのですね
恥ずかしながら僕は大学でスペイン語を専攻してまして
半分くらいは字幕なしで見れたことに自分でも驚きでした
もう30年も前なのに耳覚えあるもんですね〜
口を裂かれた大尉が自分で縫うシーンはキツかったです〜
TBしますね〜

2010/12/27(月) 午後 11:08 pony 返信する

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ポニーさん。まあ単なる私の意見なのですが・・
え〜スペイン語をされていたのですか!!
しかも半分もわかったとは・・すごいです。
私はドイツ語だしたが、映画見ててもダメで・・
映像がちょっとキツかったですね。

2010/12/27(月) 午後 11:15 car*ou*he*ak 返信する

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見ていて「心」もほっぺもいたくなってきました〜

TBおねがいします

2011/1/17(月) 午後 1:01 る〜 返信する

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自分も調べたんですが、内戦がいつ終わったかよくわかりませんでした。レビューを読ませてもらって、色々なるほどって。ありがとうございました。映画の訳では「ゲリラ」でしたが、市民グループによる革命だったんですね。だからメキシコ出身の監督がフランコ政権を批判し、大尉を異常なほどの残酷さにしているのも理解できますね。大尉の自分で縫うシーンが何故必要なのかと思っていましたが、なるほどです。

2011/1/29(土) 午後 11:43 シーラカンス 返信する

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この作品も、ブログを始めていなければ出合っていない作品だと思います。
最近の映画だと思っていましたが、3年も前に鑑賞されていたのですね。
そう、「ゲリラ」と言う表現、余り適当ではないですね。
自由と平等を求めて戦うバスク地方の”善良な市民”でした。

『誰が為に鐘は鳴る』は高校生の時に見ました。
ケン・ローチ監督の作品はアイルランド内戦を描いた『麦の穂を揺らす風』を見たことがあります。
どちらも辛い作品でした。

丁寧なレヴュー、更にこの作品への思いが深まりました。

2011/2/10(木) 午後 6:58 alf's mom 返信する

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る〜さん。ほんと痛くなっちゃいますね。

2011/2/10(木) 午後 9:29 car*ou*he*ak 返信する

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シーラカンスさん。そう。ゲリラっていうと印象がコワイですよね。
でも市民グループでした。そのメキシコ出身だからとかって単に
私の想像でしかありませんが・・

2011/2/10(木) 午後 9:32 car*ou*he*ak 返信する

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alfさん。私も同じくブログをしてなかったら見なかったかもしれません。ゲリラというとどうしても悪者を想像してしまいますよね。
でも善良な市民だったのですよね。
そうそう。ケンローチの麦の穂〜もそうでした。
内戦って見てるだけでも辛いですよね。

2011/2/10(木) 午後 9:34 car*ou*he*ak 返信する

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