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*母べえ*

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   ***STORY***              2007年  日本
日中戦争が泥沼化しつつある頃。野上家では、ドイツ文学者の夫・滋と妻・佳代、そしてしっかり者の長女・初子と天真爛漫な次女・照美の4人が貧しくも明るく暮らしていた。お互いを「父べえ」「母べえ」「初べえ」「照べえ」と呼び合う仲睦まじい家族だったが、昭和15年2月、滋が治安維持法違反で検挙されてから苦難の日々が始まった。そんな折、滋の教え子・山崎徹が訪ねてくる。それ以降、徹は一家の手助けをするのだった…。             gooより



戦地での戦闘を描いた作品を見て、戦争のことを知ることは大切です。
でも去年の『夕凪の街 桜の国』やこの作品のように普通の市民が受けた戦争の痛手を映画にしてもらい
見られることで、戦争の悲惨さ、人を失うことの無念さ・・を改めて感じることができます。

まず治安維持法というものをうっすらとは知っていたけれど、地下活動をしていない人にまで
及んでいたことは知りませんでした。
これはロシア革命後国際的に高まりつつあった共産主義活動をけん制するためのもの。
この映画では滋は特に活動をしてなくても日中戦争を批判する論文を書いた・・ということ
だけでつかまってしまったのですね。
しかも夜明け前、小さな子供がいる前で書斎を荒らし、彼に縄の手錠をかける・・という
非情なものでした。

そのうえこの時代の留置場、拘置所、刑務所の環境のひどさったら!
与えられる食事があまりにも粗末で栄養をとれず、皮膚病でしょうか?が流行っていたみたいで
他にもたとえその後、釈放されても衰弱死した人が多かったと聞きます。
また、かなり拷問もあった様子。
彼は”日中戦争が聖戦ではない”
ということを曲げませんでしたから、もしかしたら受けていたかもしれませんね。

ただこの映画はそんな暗い部分だけ描いてなくて、当時の人々のやさしさ、助け合いも
たくさん出てきます。
いまは出版社で働いているという設定の山さんは、滋の教え子。
師の逮捕を聞いて駆けつけてきてその後ずっとこの家族を守っていくのですが、
居候ではないけれど、それに近いものがあります。
広島に住んでいる、滋の妹の久子も、お見舞いにやってきた後、そのままこの家にいついていたり
佳代の叔父も奈良から突然やってきて、そのまま泊まり込んだり・・
別に家が広いわけでもないのに、何となくみんなで助け合いながら一緒に暮らしていた
こういうのってこの時代のほんわかとした良さですね。

ご近所の人たちの助けもありがたいです。
一家の主が”逮捕”されているのですからそういう目で見る人もいますが、温かな手を
差し伸べてくれるきっぷのいいおじさんも存在してました。


・・ところで。
この映画の言いたかったことは・・
滋の恩師の家に行ったときにわかりました。
どういう思想を持っているにせよ、とりあえず表面的に”つくろっていれば”滋も多分
どこぞのすごい大学の教授の地位につけていて、一家安泰だったのです。
それをあえて正直に生きたからこそこんなことになってしまいました。
でもそれも素晴らしいこと。
そして佳代の理解があったからこそできたことで、この一家は最高に”誇り高かった”のです。


**ちょっとネタバレ**
ただ・・臨終のときに佳代が言った言葉。
(ダンナさん滋さんに)「死んでなんか会いたくない、生きて会いたい」

ああ・・そういう生き方がどんなにか辛かったでしょうと私たちは改めて気付くのです。
又、戦争では死を美化することがありましたがそれを拒否する言葉でもありました。

これは戦争を描いた邦画の中でも何年経っても心に深く残る映画になることと思います。







監督:山田洋次
出演: 吉永小百合、浅野忠信、檀れい、志田未来、戸田恵子、坂東三津五郎、
笹野高史、笑福亭鶴瓶、吹越満、大滝秀治

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この時代の思想の弾圧が酷いものであった事はいろんなもので見聞きしておりました。ただ残念ながらその当時の食糧事情や思想犯の家族に対する世間の冷たい目が映画で描かれていたような生易しいものとは程遠かったように思います。独身の男性が主が留守中の家庭に頻繁に出入りできる時代でもなかったはずで、それがネックになって作品の中に全く入る事が出来ませんでした。
反対意見になってしまいますがTBさせてくださいね。

2008/2/2(土) 午後 8:37 つらら

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yassunさん。はじめまして。最近の邦画は見ごたえのあるものが
多くなってきています。東京タワーも良かったですよね。
ブラピの映画はジェシー・ジェームズですね。地味ですが心理的なものを丁寧に描いているのでオススメです。

2008/2/3(日) 午前 0:34 car*ou*he*ak

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サムソンさん。これは題名からするとただの家族愛だけ描いた
作品かと思われがちですが、背景となる戦争下の規制や統制が
綿密に描かれていました。見ごたえたっぷりです。

2008/2/3(日) 午前 0:36 car*ou*he*ak

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つららさん。そうなのですか。逮捕者が出た家はもっともっと
世間から冷たい目で見られていたのですね。
私は独身男性でも書生さんは特別なものかと勝手に理解していたのですが、実際はこんなことできなかったのかもしれませんね。

2008/2/3(日) 午前 0:39 car*ou*he*ak

吉永小百合が苦手なので…
好き嫌いが多くてほんと視野が狭くなりますよね。
ニュートラルと自分では思ってますが戦中の左派狩りには疑問を感じざるを得ません。
チャンスがあればチャレンジしたいと思います!

2008/2/3(日) 午後 1:00 marr

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marrさん。小百合さまってファンも多いけれど、苦手という人も
多いですね。もう62歳とのことですが、40歳前くらいの役で違和感
ないところがすごかったです。

2008/2/3(日) 午後 3:20 car*ou*he*ak

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のびたです。
ラストの小百合さんのセリフ、何故本人に言わせなかったのでしょうね。単に死の淵だったからでしょうか。蚊の鳴くような声でも、処理の仕方によっては、聞き取れるとおもうのですが…。

2008/2/6(水) 午後 10:18 出木杉のびた

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のびたさま。あ。ほんと今言われて、なるほどそうだったと思いました。映画の肝心なところですからもったいなかったです。

2008/2/6(水) 午後 10:35 car*ou*he*ak

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昨日、見てきました、帰りのトイレで鏡を見たら、目が真っ赤になっていました。山田洋次さんは、心に残る素晴らしい作品を撮ってくれました。

2008/2/17(日) 午前 10:10 bornin195151

あかん・・・母べえだから「おかん」、じゃなくあかんですわ〜(笑)カルトゥーシュさんの「いわん」とするところはわかりましたし、感じられもしましたが、何故今この映画なのか?今この映画を世に出す理由が全くもってわかりませんでした。何故吉永小百合なのかも・・・かなり辛口ですが、TBさせてくださいm(_ _)m

2008/2/23(土) 午前 6:49 [ - ]

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borninさん。私の周りの人っちも号泣ものでした。
かなり年齢層が高かったので実体験もある方たちだったのかもしれません。

2008/2/23(土) 午後 0:44 car*ou*he*ak

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yaskazさんの記事はかなり辛口でしたね。確かに?・なところもあったし小百合さまは小百合さまの作品になってしまうのですよね。
それもわかります。
TBありがとうございます。

2008/2/23(土) 午後 0:46 car*ou*he*ak

日本の夏は決して楽しいことばかりではなく、悲しい過去もありますよね。
その中でも家族の絆や近所の人、親戚、教え子、たくさんの優しさがありました。
吉永さんの美しいお母さんも素敵でしたね。平和を次世代へ・・。トラバお願いします!

2008/7/31(木) 午後 10:33 くるみ

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くるみさん。まったくそうですね。
夏になると戦争のことを思い出してしまいます。
こんなに悠長な暮らしだったかと突っ込みの評論もかなりありましたが、ご近所さんの温かさが嬉しかったです。

2008/8/1(金) 午前 0:18 car*ou*he*ak

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本当に過酷な時代でしたよね。
現代に育った我々には想像もつかないほど、戦地に直接出向いていない人々にも辛い時代たったんだということがよくわかります。
しかし、母べえは当時の世のお母さんの姿をよく表していましたね。信念を曲げずご主人と共に自分の人生を全うしたのとは裏腹に無念さを表した母べえのラストの姿には涙がこぼれました。
こちらからもTBさせてくださいね。

2009/3/18(水) 午後 8:51 choro

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Choroさん。戦場以外でも人々の日常生活は過酷で、大変なものでした。今当時のことを知る人たちがだんだんと減ってきていますので
こうして映画にして残しておいてほしいですね。
そうですね。母べえは信念を曲げず、きっぱりとしていて気持ちよかったです。

2009/3/18(水) 午後 9:32 car*ou*he*ak

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暗黒時代でも、信念を貫いた母べいの生き方は、たくましいです。
時代背景が、よく伝わりました。山田洋次監督は、こういうドラマがすばらしいですね。TBお返しさせてください。

2010/2/9(火) 午後 0:21 fpd

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fpdさん。そうですね。こんなに厳しかったこと。実は
知らなかったのですがそんな時代に信念を曲げなかったって
偉いです。

2010/2/12(金) 午後 9:37 car*ou*he*ak

吉永小百合、浅野忠信、笑福亭鶴瓶ももちろん名演でしたが、私は坂東三津五郎の演技が素晴らしかったと思います!それと山田洋次監督の、いつもながらの丁寧な映画作りも良かったです♪

2010/4/3(土) 午後 11:40 やっくん

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やっくんさん。なるほど。坂東さんの演技も確かに良かったですね。
辛い思いをしても正直に生きることはどういうことか
この映画を見ていて考えてしまいました。

2010/4/5(月) 午後 10:22 car*ou*he*ak

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