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*愛を読むひと*

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   ***STORY***           2008年  アメリカ=ドイツ
1958年、ドイツ。15歳のマイケルは、気分の悪くなったところを21歳年上のハンナに助けられたことから、二人はベッドを共にするようになる。やがて、ハンナはマイケルに本の朗読を頼むようになり、マイケルの想いは深まっていくのだったが、ある日彼女は突然マイケルの前から姿を消してしまう。数年後、法学専攻の大学生になったマイケルは、ハンナと法廷で再会する。彼女は戦時中の罪に問われ、ある秘密を隠し通したために窮地に追いやられ、無期懲役の判決を受けるのだった。時は流れ、結婚と離婚も経験したマイケルは、ハンナの最後の“朗読者”になろうと決心し、ハンナの服役する刑務所に物語の朗読を吹きこんだテープを送り続けるのだったが…。   gooより


1995年にドイツの作家ベルンハルト・シュリンクが発表し、出版からわずか5年間で
20以上の言語に翻訳され、米国では200万部を超える大ベストセラーとなった小説『朗読者』を
映画化したものです。

久々にあまりの感動で、席が立てないほどでした。
まだこの感動をどう表現していいかわからないし、ネタばれせずにどこまで書けるのか
不安なのですが・・

原作をかなり前に読んでいるのですが、本は淡々とした文体で書かれていたし
当時はまだナチズムのことについてあまり考えてもいなかったので、正直言ってピンとは
きませんでした。
でもこうして数年を経て映画化され、視覚で感じると、ものすごい感動となったのです。
きっと本では文字になってなくて行間にあったものがシーンの端々に丁寧に描かれて
いるからなのでしょう。

最初の三分の一は36歳のハンナと15歳のマイケルとの出会いと一緒に過ごしたひと夏のことが
描かれます。本で読んだときに私が想像したハンナはとても堅い表情で武骨な感じの人だったので
ケイトがこの役と聞いたときに、なんだかそぐわないような気がしました。
きれいすぎだと思ったからです。
ところが登場した瞬間からうまい!。
あまり手入れのされてない髪型、重心をかかとに置いたようなおばさんチックな歩き方
うつむき加減で、そして半ば怒ったような表情・・
生活に疲れた感じがありありとしていて、実にぴったりなのです。

ふたりがしばしば入るバスタブの位置も大きさもそのもの。
シャワーもなくて簡単な湯沸かし器からいきなり蛇口が出てて・・

よくわかったのが少年は裕福な家庭に生まれ、兄弟もいるのにこの時点ですでに
言い知れぬ孤独を抱えていたということ。
そして彼女が少年に惹かれたのはその知性だったのですね。

ハンナの生い立ちは明らかにされませんが、多分かなりの貧困の中で育って
教育も与えられなかったよう。
でも彼女はマジメだし、生まれ持った知性がありました。
だから少年に朗読してもらうことによって彼女は本の魅力に浸かっていったのです。

中盤場面が変わって法廷シーンになります。
ここでハンナは戦犯として問われてました。
このときの様子がひどくて、当時仲間であった人たちが自分の罪を軽くしたいがために偽証を
繰り返すのですがハンナだけは正直で、そのうえ、ありもしないことまで・・
このとき少年には彼女を救える証拠があったのですが、それを明かしません。
本ではそこのところの意味がひとつしかわからなかったのですが、映画を見てもうひとつの意味が
わかったような気がします。
そこまでしたハンナが守りたかった秘密とは・・
これはきっと尊厳の問題なのでしょうね。

今回もうひとつ考えさせられたのは戦犯についてです。
邦画でも最近『私は貝になりたい』がありましたが、同じようなことで被害者にとっては
リーダーも現場の人も一緒の罪に思えるかもしれません。
でも本当にそうでしょうか
現場で働いていたハンナはただひたすら命令に忠実であっただけなのです。
あまりにまじめすぎただけなのです。
そしてまたドイツ人みんなが同じように被害者なのかもしれませんね。

20年後。ハンナとマイケルの再会シーンがあります。
このときあまりにも変貌してしまったハンナを見て全然動じないマイケル!
ここにマイケルの愛の大きさをものすごく感じました。

ラストは辛く悲しいものです。
でも!
悲しいだけではないことに気付きました。
朗読してもらうことによってハンナは色々な世界を旅することが出来たのです。
飛行機のビジネスクラスに乗って、★がいっぱいのホテルに泊まるより、
もしかしたらハンナの方が豊かであったかも・・
・・と思うと急に救われました。



**おまけ**
『オデュッセイア』を書いたホメロスって盲目の人でした。
物語は10年間の長い苦難の放浪生活なので「長い航海」とも言われてます。


アカデミー賞で主要5部門(作品賞、監督賞、主演女優賞、脚色賞、撮影賞)にノミネートされ、
ケイト・ウィンスレットが、見事、主演女優賞を獲得しました。
外見的な変貌ぶりもですが、何よりもハンナのことを心から理解し、まさに魂で演じていました。

他にやはりドイツ系の俳優さんが多いのですが、懐かしかったのがレナ・オリンです。
[『存在の耐えられない軽さ』]で、ビノッシュのライバル役だった印象が強いのですが
今回もまた重要な役どころ。
彼女の苦悩はラストのシーンから始まっていくと思うのですが、無言の演技でそれを語っていました。

ドイツ人ではなく、正確にはスイスの人ですが、『ベルリン・天使の詩』のブルーノ・ガンツも!
マイケルを見ていてすべてを悟るのに法律家として無理強いしない、奥深い役でした。

去年お亡くなりになったアンソニー・ミンゲラとシドニー・ポラックが製作に加わっています。

監督: スティーヴン・ダルドリー
製作: アンソニー・ミンゲラ /シドニー・ポラック
ドナ・ジグリオッティ /レッドモンド・モリス
製作総指揮: ボブ・ワインスタイン /ハーヴェイ・ワインスタイン
原作: ベルンハルト・シュリンク 『朗読者』
脚本: デヴィッド・ヘア
撮影: クリス・メンゲス /ロジャー・ディーキンス
音楽: ニコ・ムーリー
ケイト・ウィンスレット--- ハンナ・シュミッツ
レイフ・ファインズ--- マイケル・バーグ
デヴィッド・クロス--- 青年時代のマイケル・バーグ
レナ・オリン ---ローズ・メイザー/イラナ・メイザー
アレクサンドラ・マリア・ララ--- 若き日のイラナ・メイザー
ブルーノ・ガンツ ---ロール教授

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本を読み始めて映画を観に行き、何度か読み返してまた映画館に。
最初に観た時に想ったのは、「人生でやり残したことはないだろうか」。15歳で愛したハンナに法廷で出会った時のマイケルのたじろぎ、被告席の女性と親密な関係であった動揺、そのままハンナを見殺しにしていいものかという懐疑、そして朗読テープを贈る決断。
男性の心の動きが手に取るようで、積極的に近づけず、といって知らぬふりを決め込むことができない心の葛藤が分かりますね。
エンディングは、マイケルの心の揺れを察知したハンナが、彼の朗読テープを読む至福の時を永遠のものとしたかったからだと思います。

2009/7/9(木) 午前 11:10 [ バヴァリアの薔薇 ]

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やっとレヴュー記事を書きました。TBさせていただきます。

2009/7/15(水) 午後 4:31 [ バヴァリアの薔薇 ]

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Mさん。そうですね。私たちにはちょっとわからないことですが
○○であるということがどれほど恥ずかしいことであったのか
それを秘密にすることがどんなに大事だったのか
そしてそれが尊厳に関することだったということまで達する
だけでも大変でした。
確かに観客にゆだねるような撮り方でもありました。
原作読んでない人にはむずかしかったかもしれないですね。

2009/7/15(水) 午後 6:04 car*ou*he*ak

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そうですね。やはりこうして映像になるということの意味は
大きくて、しかもケイトのハンナが適役だったため、嬉しかったです
そうですね。マイケルとハンナはあまりにも考え方も育った環境も違ったのかもしれません。でも何か共通点があったのですね。
私はハンナは本当は知性のある人では?という解釈をしました。

2009/7/15(水) 午後 6:08 car*ou*he*ak

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バヴァリアさま。私はどうしてもハンナ側の気持ちにしか立てなかったのです、どちらかというとマイケルの心のゆれに多く感じられたようですね。なるほど。そこまで色々考えが至りませんでした。
映画も本も一度だけでは理解しきれない作品ですね。

2009/7/15(水) 午後 6:10 car*ou*he*ak

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明後日、上京しますが又上映時間が外れて観られません。
朗読シーンに興味があるので、何回も観たいから
DVD発売を待つことにします。此処にも何回もお伺いさせて
頂きますね。

2009/7/19(日) 午後 4:27 mic*ilu*2*5

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みちるさん。そうですね。この作品はDVDでじっくりと
ご覧になったほうがいいかもしれません。

2009/7/25(土) 午前 0:18 car*ou*he*ak

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ハンナにのような過去と秘密があり、それをマイケルは察するも彼女のために他言しない。
凄く辛かったろうな。
マイケルにとって、きっとハンナにとってもこれ以上の人はいないというような存在だったでしょうね。
TBさせてください。

2009/9/1(火) 午前 7:42 かず

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かずさん。そうですね。決して秘密を明かさないことが愛でした。
一生忘れられない人だったのですね。

2009/9/1(火) 午後 10:28 car*ou*he*ak

なるほど、ハンナは彼の知性に惹かれたのですね!原作でも二人の肝心なところの心情については多くは語られていなかったような記憶があるのですが、映画を観ても私にはまだ色々と理解したとは言えない難しい作品となりました。もう一度原作を読み、何度か確かめるように鑑賞してみたい作品でした。観客や読者に想像させるから、より心に残る作品になるってことなのかも知れませんね。TBさせてくださいね!

2009/10/11(日) 午後 8:38 + kuroneko +

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くろねこさん。私もすべて推測でしかないのですが、ハンナは
教育がなかったけれど知性があったから、彼の知性がまぶしかったのかもしれないと思いました。
私ももう一度、原作を読んでからまた映画も再見したいです。

2009/10/11(日) 午後 8:51 car*ou*he*ak

これって『朗読者』の映画化だったと知ったのは、公開終了後くらいです(笑)。このポスターが至るところにあったので知ってはしたんですが。『朗読者』がドイツのものだとも知りませんでした。
日本にいる時、わざわざ購入した本だったにもかかわらずです。
レナ・オリンが出てるのは意外でした。

2009/11/4(水) 午前 7:29 anemone*DDR

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anemoneさん。そうでしたか。私は『朗読者』は読んでいたのですが
これは映像化されてすごくナットクしました。
レナ・オリン。ちょっと前のドイツ映画を見てる人にとっては
懐かしい女優さんですよね。

2009/11/4(水) 午前 8:20 car*ou*he*ak

深さをもった作品でしたね・・・非常に丁寧な描写に息詰まる思いでした。そうそう・・ブルーノ・ガンツの存在感も印象的でした。
TBさせていただきます。

2010/1/31(日) 午前 0:30 takutaku!

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たくたくさん。原作もすごいですが、それを丁寧に、丁寧に
映像化したこの作品も深くて素晴らしいです。
ブルーノ・ガンツ、存在感がありますよね。

2010/2/1(月) 午後 10:27 car*ou*he*ak

ケイト・ウィンスレットの演技は素晴らしかったです!
「タイタニック」の時とはまるで違う女優に成長してましたね♪
青年にとって年上の女性は常に憧れの的です♡
その彼女が…マイケルにとっては相当なショックだったのでしょう。
それが、面会を土壇場で拒絶してしまったのかなぁ〜!
最期に、釈放されて世間で暮らすという選択肢はやはり無かったですね…。

2011/2/28(月) 午前 0:00 やっくん

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やっくんさん。ほんとタイタニックの時とは別人です。
そうですね。彼女のプライドがそうさせたのでしょう。
ナチズムの残した罪も感じました。

2011/2/28(月) 午前 9:58 car*ou*he*ak

ケイトの女優魂を感じる作品でした。
レイフ・ファインズの好演も光りました。
面会をせず、同級生の元へ、面倒を避けてしまった自分。
心を閉ざしてしまったマイケル。
過去を取り戻すように、テープを送り続けた。
いざ出会ってみると、抱き締めることも出来ない自分。
哀愁を感じる印象的な背中でした。。。。

2011/11/7(月) 午前 1:30 sei

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seiさん。ほんと素晴らしい演技でした。
その後の展開も現実味があり、辛口。
でもだからこ伝わってくるものも大きかったです。

2011/11/7(月) 午後 10:06 car*ou*he*ak

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記事をよませていただいて
改めて「本」のほうを読んでみたいと思いました〜

勘違いの入った記事ですがTBさせてください

2011/11/13(日) 午後 3:17 る〜

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