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*エル・スール*

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       ***STORY***                   1983年  スペイン=フランス
エストレリャ(イシアル・ボリャン)が、父アグスティン(オメロ・アントヌッティ)がもう帰ってこないと予感したのは15歳の時、1957年の秋の朝、枕の下に小さなまるい黒い箱を見つけた時だ。その中には父が愛用していた霊力のふりこがのこされていた。エストレリャが7歳か8歳の頃(ソンソレス・アラングーレン)、一家は“かもめの家”と呼ばれる郊外の一軒家に住むことになった。父は、家の前の道を“国境”と呼び、バイクに乗せてくれる。そして、水脈を発見する奇跡を行なって村人に尊敬される父−―そんな父と一緒にいられることだけで嬉しいエストレリャ                                           gooより
エリセ監督の『ミツバチのささやき』は名作中の名作。
それを称賛しながらも『エル・スール』の方が好きって言う人が多いのですが、
それが今ようやくわかりました。
こういう作品を比べるなんていう大それたことはできませんが、好みとしては私もこちらかも・・
 
見た後なんとも言えない感動に包まれて、これまた言葉になりません。
悲しい・・っていうのとも違いますし、胸が詰まるっていうのかしら・・
 
まず冒頭、暗い画面に右上に小さな窓だけが映し出されます。
夜が明けて少しづつ陽が射してくるとそこはエストレリャのお部屋で、彼女がベッドにいることが
わかります。
なんていう素敵な出だしでしょう。
しかもお父さんはもう帰ってこないという暗示でこの段階でぐっと引き込まれます。
 
それから回想形式でこの一家の変遷が描かれていくのですが、そのほとんどが少女エストレリャが
お父さんを追うという目線です。
 
このお父さんがとっても個性的。自分の家の前の道を国境と呼んだり、バイクに乗ってお仕事へ。
妙な、お祈りみたいなのをして水脈を当てて、村の人から尊敬されていますが、本職はちゃんと
お医者さんです。
でも彼の過去は謎に満ちたもので、どうもお父さんとの間がうまくいってないことがわかってきます。
この父と息子の関係のむずかしさについて描かれた作品はたくさんあるので、これもそうなのね・・と
思っていたら、ここではそんなに単純なものではなく、歴史的背景が関係していました。
 
それは、そうフランコ政権。
映画の途中、”内戦の前の共和制の頃は おじいさまが悪い側で パパが良い側だった
ところがフランコが勝ってから おじいさまは聖人に パパは悪魔になった 
世の中 勝った方が言い放題なのよ”というセリフがあります。
 
同じ家の中でふた派に分かれてしまっていてはどうにもならなかったのでしょう。
上のセリフは”南”からお母さんと乳母が訪ねてきたときのもの。
ああ・どんなにお父さんも息子とその家族に会いたかったことでしょう。
でもそれはできなかったし、お母さんもこの時しか彼らを訪ねることはできませんでした。
 
またもうひとつ、お父さんには秘密がありました。
それはある女性の存在。同じような理由で別れなければならなかった人なのでしょうか
 
普通、父と娘が仲良くても普通のお父さんって別にこんなに大きな秘密を抱えてるわけでは
ありませんから、こんなに父の心の中にまで踏み込んでしまうことはないかもしれません。
でもこんなに知ってしまったエスtレリャもさぞかし辛かったことでしょうね。
でもお父さんは彼女がいるから生きることができたのではないでしょうか
 
最後南は行く決心をした彼女には政権なんかに人生左右されたくないという堅い決心が
みなぎっていたように思います。
 
戦争や独裁政治のひどさを描いた作品は数多くあり、そのどれもが凄惨なシーンなど含んで
いるものですが、そういう場面はひとつもなく、普通の人の心を壊してしまった政権への批判を
静かに描いていて素晴らしい作品でした。
 
またこの作品は冒頭のシーンから始まり、どのシーンも自然の光と影を計算しつくして
撮っていてまるで、、中世の絵を観てるかのようでした。
それでいて、たまに真っ青なスペインらしい空や並木道がはさまれ、重くなりすぎないよう
になっていました。
 
 
監督 ビクトル・エリセ 
脚本 ビクトル・エリセ 
原作 アデライダ・ガルシア・モラレス 
製作 エリアス・ケレヘタ 
撮影 ホセ・ルイス・アルカイネ 
美術 アントニオ・ベリソン 
オメロ・アントヌッティ (Agustin)
ソンソレス・アラングーレン (Estrella(8 years old))
イシアル・ボリャン (Estrella(15 years old))
ロラ・カルドナ (Julia)
ラファエラ・アパリシオ (Milagros)
マリア・カーロ (Casilda)
 
 
 
エンリケ・グラナドスの「エン・エル・ムンド」。
エストレリャの初聖体拝受式の祝宴の席で父と子が踊るシーンに使われています。
これは因みに”南”の曲でそして・・もう1回は・・

閉じる コメント(18)

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私も、ご多分に漏れず、『ミツバチ』よりもこちらが更に好きです。
オメロ・アントヌッティの容姿が、父に似ているからかもしれません。。。

2012/1/5(木) 午後 9:14 紫桜

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私はどっちも好き。選べません。

2012/1/5(木) 午後 10:44 [ ぶんじん ]

こんばんわ♪♪
(´・ω・`)


これ、すごい
面白そうですねぇ♪♪


観てみたいなぁ〜♪♪

(´・ω・`)

2012/1/5(木) 午後 10:54 ma-ko

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この作品、だいぶ前に見たのですが、静かすぎて、美しすぎて、
全然ストーリーを覚えてません!若かったのかな・・・(苦笑)
今ならもっと味わえるかも。見てみたくなりました!

2012/1/6(金) 午前 0:36 [ こなが ]

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『エル・スール』、本当に“素晴らしい”の一言に尽きますね…!
光と闇の描写が本当に巧みで、「見惚れてしまう」とはこのことを言うんだな…などと思ったものです。
DVD廃盤中、どうしてもこの作品が観たいがために、オークションでVHSを落札して、デッキまで買って鑑賞したので、思い入れもまた半端ない…。
『ミツバチのささやき』も同様ですが…甲乙つけがたい!
あと、オメロ・アントヌッティがやはりあまりにも素晴らし過ぎます!(どーでもいいですが、私の崇拝俳優)

興奮しっぱなしのレビュー内容ですが、TBいたします。

2012/1/6(金) 午前 2:55 Mijah

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おっしゃるように多いですよね。「エル・スール」派の方。
でも、それも解る作品ですよね。
ずいぶん前に名画座で見たっきりなので、ぜひ再見したい作品です。
スクリーンで見られだけマシな気がしますが、こう云う作品こそ、ぜひリマスターでブルーレイでお願いしたいです。

2012/1/6(金) 午前 6:42 [ miskatonic_mgs_b ]

自分もずいぶん前に観たきりで
記憶が薄いですが
『エルスール』の方が好みだった気がします
録画したのでまた観返してみますね
あと、その2本とは別に
この少女主演の映画を観た覚えが・・・

2012/1/6(金) 午前 8:38 [ HK ]

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なぜ、去年はぜんぜん映画を見なかったんだろう・・・。
ブログ復帰して、こうしてcartoucheさんのところでレビューを読ませてもらってるうちに、映画鑑賞も復帰できそうな気がしてきてます。
ありがとう!

2012/1/6(金) 午後 5:42 セニャ

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紫桜さん。すごい。どちらもご覧になっているのですね。
比べるなんて不遜ですが、でもこちらが好きになってしまいました。
お父様に・・それは素敵です。

2012/1/8(日) 午後 0:26 car*ou*he*ak

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ぶんじんさん。こういう作品を比較してはいけませんよね・・

2012/1/8(日) 午後 0:27 car*ou*he*ak

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ma-koさん。とても渋い作品ですが、機会があったら・・

2012/1/8(日) 午後 0:27 car*ou*he*ak

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こながさん。こういう作品はある程度、トシを重ねてから
見る方がいいかもしれませんね。
私は今見たので、ものすごく心に沁みました。

2012/1/8(日) 午後 0:28 car*ou*he*ak

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Mijahさまの感想自体も素晴らしすぎです。
<オークションでVHSを落札して、デッキまで買って鑑賞したので、
そうなのですか。
ほんとレンブラントの絵画を観てるかのようでした。
私は録画したものをどんどん消してしまいますが
これだけは残します。

2012/1/8(日) 午後 0:30 car*ou*he*ak

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miskatonic_mgs_bさん。『エル・スール』派が多いことに
納得しました。
でもこういう作品を比べるなんてこと自体、バチ当たりなこと
ですけれど・・
スクリーンで見たいです。

2012/1/8(日) 午後 0:32 car*ou*he*ak

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miskatonic_mgs_bさん。『エル・スール』派が多いことに
納得しました。
でもこういう作品を比べるなんてこと自体、バチ当たりなこと
ですけれど・・
スクリーンで見たいです。

2012/1/8(日) 午後 0:34 car*ou*he*ak

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HKさんもさすがちゃんとご覧になってるのですね。
少女ふたりの経歴をググって見ましたが、出てきませんでした。
でも日本未公開作品などに出てるかもしれませんね。
とにかく、とにかく・・素晴らしい作品。

2012/1/8(日) 午後 0:39 car*ou*he*ak

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セニャさん。それは良かったです。
映画って見始めるとどんどん見たくなるのですよね。
今年はぜひ!

2012/1/8(日) 午後 0:40 car*ou*he*ak

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はじめまして。

映画ファンにとっていちばんきつい質問はベストワンはどれ?というものです。

20年以上も前に「エル・スール」を見てからはいまのところこの映画が私にとってのベストワンです。

「エンエルムンド」のシーンでは胸をしめつけられます。この曲はスペイン映画「蝶の舌」でもじつに効果的につかわれていました。

2012/1/8(日) 午後 7:49 [ hisa24 ]

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